世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

WWE WrestleMania XL Sunday Review ローマン・レインズ対コーディ・ローズ 2 /イヨ・スカイ対ベイリー他

WWE WrestleMania XL – Sunday 4/7/2024

youtu.be

 

WWE世界ヘビー級王座戦
セス・”フリーキン”・ローリンズ(c)対ドリュー・マッキンタイア
 スコットランドとフィラデルフィアの民族音楽をモチーフにした入場を披露した両者。

 いきなりクレイモアを放つ幕開けを皮切りに、得意技をすっ飛ばして、必殺技を乱れ飛ぶ派手な攻防に、場外戦をミックス。観客?のスマートフォンを奪い取り、その場でXにポストを行ったり、実況席のパンクを挑発したりと傍若無人な振る舞いが魅力的なマッキン。

 昨日のダメージは勿論、元々病み上がりで無理を押して出場しているセスのコンディションもあり、比較的短時間での試合だが、出来る事は詰め込んで仕事は遂行し、次に繋げて行く。セスのプロフェッショナル意識も光った見事なオープニングでした。
 中々良い試合。
評価:***1/2

 

WWE世界ヘビー級王座戦
ドリュー・マッキンタイア(c)対ダミアン・プリースト

youtu.be


 試合後、パンクを挑発し続け、Suck It!まて決めたマッキンだが、業を煮やしたパンクが襲撃し、マッキンタイアをKO。その隙にプリーストが登場! キャッシュイン成功で最高の形で王座奪取!

 

フィラデルフィア・ストリート・ファイト(SPレフェリー:ババ・レイ・ダッドリー)
ザ・プライド(ボビー・ラシュリー、アンジェロ・ドーキンス&モンテズ・フォード)(w/B-ファブ)対ファイナル・テスタメント(キャリオン・クロス、エイカム&レーザー)(w/ポール・エラリング&スカーレット)
 世渡り上手のババレイがスペシャルレフェリーということでダッドリーズ絡み、テーブル破壊があるのは確定。その通りになったが、その他も各選手パワフルな動きは行っており、思ったよりは悪くない。

 Bファブとスカーレットがテーブル葬まで行ったのは予想外。これもプロダクションの変化といっても良いでしょう。キャッシュイン後のブレイクとしては十分な出来。これくらいが丁度良い。平均レベル。
評価:***

 

AJスタイルズ対LAナイト
 乱戦ベースからスタートし、他の試合に配慮し、凶器を使わないハードコアを展開。グラッジマッチの様な荒々しい攻防を多く配置し、場外のマットを剥き出しにするシーンもあり。

 観客を乗せることに長けている人気者ナイトと天才AJの持ち味を反映出来ており、勢いを途切れさせることなく、盛り上げ過ぎず盛り上げる。適切なミッドカード。ベテランの腕が光る一戦でした。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

WWE US王座戦-トリプル・スレットマッチ
ローガン・ポール(c)対ケビン・オーウェンス対ランディ・オートン

youtu.be


 ローガン・ポール絶対ぶちのめす隊の2人がローガンをボコボコにするスタートから、裏切りの名人2人なので当然仲間割れ。

 そこからはローガンの高い身体能力とわかりやすい嫌われ者のキャラクターを活かしながら、ベテラン2人が盤石の働きでボリュームアップしていく形。拙い動きはあるものの、それ以上に攻めも受けも映える動きをするローガンの非凡さが際立つ。ここまで受けてくれるならば文句のつけようはない。

 ローガンの試合恒例の助っ人絡みもオートンが制裁することで爆発。ハードコア度は想像よりも少なかったが、この3人のキャラクターと戦いぶりで満足させた好勝負。
評価:****

 

WWE女子王座戦
イヨ・スカイ(c)対ベイリー

youtu.be

 まずは煽りVが完璧。ベイリーが生演奏を熱望していた人気バンド・パラモアのボーカル、ヘイリー・ウィリアムズのソロ名義の曲『Simmer』に乗せて、長きに渡るストーリーを振り返っていく。近年でもベストの煽りVでした。

(『Simmer』は、歌詞に「Control」というワードが多く出てくるのも、沸き起こる静かな怒りを表現した曲なのも、このDamage CTRL対決に相応しく、グッド・チョイスでした。)

youtu.be

youtu.be


 そして試合。レインズ対コーディというメガカードの前で観客のリアクションはイマイチ。派手な動きが武器のイオがヒールで、インサイドワークに長けているベイリーがフェイスのため、わかりやすく凄い攻防は生み出しにくい。

 しかし、長期間築き上げてきたフェイス・ベイリーの復活ストーリーと稀代のトップレスラー・イヨの力は、誰がやっても苦しい試合順かつ盛り上がりが起こらない会場を前にしても屈しない。ヒールだからという固定概念に縛られず、美しいブリッジのジャーマンや多数の空中殺法を披露し魅了していくイヨは必殺フルコースを見舞うも、何とか立ち上がっていくベイリー。

 さすがにイヨほどは華やかな動きは出来ないものの、フェイスらしい技セットを使用することで上手く対応していく。最後はイヨにしか出来ない脅威の受けの連発。決して派手ではない必殺技のローズ・プラントや慣れていないラリアットを威力十分の攻撃に昇華させたのも見事。ベイリーのことを凄く理解しているからこそ成せる技。

 卓越したレスラーの実力と長きに渡るストーリーが最高に噛み合った一戦。正直この位置、この会場でなければもっと盛り上がりを生み出せて、評価も上がったはず。ロープワークすらミスしてしまう極限状態の中、ここまでの試合を作り上げたのは立派。
 好勝負。
評価:****

 

アンディスピューティドWWEユニバーサル王座戦-ブラッドライン・ルールズ
ローマン・レインズ(c)(w/ポール・ヘイマン)対コーディ・ローズ

youtu.be

youtu.be


 こちらも人気バンド、イマジン・ドラゴンズの新曲を起用した煽りVは、ヤング・バックスが映った写真も出るなど、気合い十分。更には特別仕様の入場で最終決戦の雰囲気を改めて作り上げる。

youtu.be

youtu.be

 

 


 オーソドックスな攻防は早々に切り上げ、場外戦や竹刀を使う攻防にスイッチ。ハードコア一辺倒というわけではなく、あくまでも壮大な幕引きへの1要素に過ぎない使い方に留めている。場外戦も短過ぎず長過ぎず。上手く攻められないコーディと尊大なレインズのヒールプレイを楽しむのがメインである。その中でもクラバットでしっかりと締め上げるなどぬるさは一切出さない、手を抜かないのが一流である。

 中盤は、レインズによる掟破りのクロスローズを号令に、互いの掟破り技や得意技、必殺技を放って行く派手な展開に。WWEのビッグマッチらしい大技がメインとなるのは想定出来る形だが、そこからの豪華ゲスト祭りは他を寄せ付けない長い歴史と巨大なスケールを併せ持つWWEにしか出来ない所為。

 シナ、ロック、テイカーという団体を代表するアイコンは勿論圧倒的だが、クロスローズ1発目を放ったところでジミー介入、クロスローズ2連発を決めようとした2発目でソロ介入、クロスローズ3連発を決めてフィニッシュという絶妙な韻の踏み方と、シールドバージョンのセスが身を挺して、完璧だったレインズが、コーディを仕留める事よりもセスへの復讐を優先させるという内面の怒りを誘う事で、結果的に敗北を誘発するという文字通り攻撃を受け切る盾となった演出も見事。(ディーン・アンブローズが本当に来るのでは?と思った事は内緒・)

 豪華絢爛でありながらも細部まで気を配った演出には敬服するしかない。WWEが送るブラッドライン&ビンス・マクマホン・エラ エンドゲーム。これ以上の試合は沢山あるけれども、この試合以上の最終決戦はないといっても過言ではない。総決算を締めくくるに相応しい名勝負でした。

 文句無しに名勝負。

評価:****3/4

 

 そして最後に、リングアナのサマンサ・アーヴィンの働きも今大会のMVPに挙げるべき素晴らしい活躍を残してくれました。彼女の働きが今大会全体を押し上げた。あのマイケル・バッファーでさえも称えたその活躍は、触れないわけにはいきません。

youtu.be

youtube.com

 

全体評価:10+