WWE Night Of Champions 2023 5/27/2023
WWE世界ヘビー級王座新王者決定トーナメント決勝
セス・”フリーキン”・ローリンズ対AJスタイルズ
RAWのベルトなので。SDのAJが勝つ確率は限りなく少ない為、勝ち負けよりも内容の濃さで勝負した20分。徹底的に一進一退の攻防を行っていく拘り。技数も攻防の数も多く出せる両者なので、時間が長くても困らない。量も質も担保されている。
しかし、ストーリーがない中でこの様な技巧派同士の試合内容は、スタジアムサイズ向きではなく、アリーナサイズ向き。なおかつサウジの観客は、テクニカルな面よりピュアでわかりやすさを求めており、盛り上がりはいまいち。やることはやっていて、場所や環境が違えば好勝負級となった可能性はあるので、今回は運が悪かった。
好勝負に届かない良試合。
評価:＊＊＊3/4
WWE IC王座戦
グンター(c)(w/ルドヴィグ・カイザー&ジオヴァンニ・ヴィンチ)対ムスタファ・アリ
RAWならスカッシュマッチもあり得るカードだがアリはムスリムなので、グンターよりもアリに焦点が行った内容となる。グンターのドミネイトもそこそこに、アリが軽快な攻撃を決め、追い詰めていく展開。
アリはプッシュされるに値する実力を持っている選手なので、その限られた活躍の機会を外さなかったのは見事。そしてアリの躍動感溢れる動きを引き出せるグンターの対応力も変わらず安定しており、10分以内の試合ながら、持ち味を出し切った熱戦となりました。
中々良い試合。
評価:＊＊＊1/2
コーディ・ローズ対ブロック・レスナー
RAWにて、レスナーに左腕を破壊されたコーディが、ギブスを活用して反撃していくという2002年のレスナー対テイカーを彷彿とさせるセルフオマージュとなるストーリーライン。
左腕が折れている設定なのに必殺のキムラロックをあそこまで長くかけられながら耐えるのは、流石にリアリティが無さすぎるものの、最後までタップをしなかったという演出の為なので、理解は出来る。
レスナーの強さをキープする為の試合にも関わらず、他との抗争では考えられなかった程攻撃を受けており、コーディに何かを見出しているのか、父親ダスティの影を見ているのかは不明だが、レスナーの並々ならぬやる気が見えるのは非常に興味深い。
レスナーの本気を受けて、コーディがますます真のWWEのトップスターとして存在を確立していく過程を楽しめる抗争。最終的にレインズとのリマッチに向かう中で、絶対に通過しておいて良かった抗争と断言出来るものに仕上がりつつあります。
平均的良試合。
評価:＊＊＊1/4
アンディスピューティドWWEタッグ王座戦
サミ・ゼイン&ケビン・オーウェンス(c)対ブラッドライン(ローマン・レインズ&ソロ・シコア)(w/ポール・ヘイマン)
WHAT JUST HAPPENED?!?!? 😲😲😲😲😲😲#WWENOC pic.twitter.com/WH00MPpTjl
— WWE (@WWE) 2023年5月27日
開催国サウジアラビアとサミのルーツであるシリアの国交再開により、遂にサミとKOがサウジアラビア大会に登場。伝統的な衣装に、アラビア語でのセルフイントロダクションとサミにしか出来ない演出により掴みは上々。
レインズとソロが、連携技は使わなくとも、堅実なタッグワークで支配。セスとレインズのタッグ王者時代はポイントゲッターだったのが、今ではポイントゲッターでありながら、ソロを操縦し、インサイドワークでタッグを回していく立場になったのは興味深い。それだけレスラーとしての能力も高まっている。普段やってなくても即座に最高のものが提供出来るのが超一流。
試合内容自体は、分かりやすさ重視のスタジアム開催用PLE仕様。タッグの合体技などもなく、タッグマッチが嫌いなビンスでも楽しめる様な仕上がりとなっているが、これまで築き上げたブラッドライン、サミ対レインズ、KO対レインズの抗争の貯金を活かし、盛り上がりを生むことが出来る。
そして仕上げはウーソズ、ジミーの造反。困惑しているジェイに対し、「ずっと前からあんたがやるべきだった！」と叫ぶジミー。サミがジェイに問いかけてきたことをフラッシュバックさせる巧妙な演出。引き上げるジェイがレインズに対して、「ジョー！」と叫ぶシーン。レインズの本名がジョー・アノアイだからだが、細かな演出も捨てがたい。
試合はその後あっさり終わるものの、レインズに苦杯を嘗めてきたサミとKOがレインズに憎々しげにベルトを掲げるシーンも印象的。サミとKOが力を合わせて憎きレインズに一矢報いることで、抗争が本当の意味でレインズ&ソロ対ウーソズの内紛に突入することをアピールしていた。
ブラッドラインのエピソード0であるレインズ対ジェイに回帰するのか、はたまたソロが立ち上がるのか。サマースラムまでは、目が離せなくなりそう。
好勝負に届かない良試合。
評価:＊＊＊3/4
全体評価:8
