世界のプロレス探検隊

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新日本プロレス(NJPW) Resurgence 2023 Review メルセデス・モネ対ステファニー・バッケル/棚橋弘至対ウィル・オスプレイ他

新日本プロレス NJPW STRONG Resurgence 2023 5/21/2023

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NJPW STRONG初代女子王者決定トーナメント準決勝
メルセデス・モネ対ステファニー・バッケル

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 メルセデス・モネのためのベルト、メルセデス・モネのためのトーナメント、メルセデス・モネのための大会。絶対的センターであるモネに立ちはだかるは、CMLLのトップ・エストレージャであるチリの至宝バッケル。メキシコや日本で磨いた確かな腕とパワフルな攻撃でモネを追い詰めていく。

 入場から試合までモネが支配する空間において、脇役に留まらない程の高い完成度を示したバッケルのポテンシャルが発揮された一戦。エディ・ゲレロを敬愛し、リッキー・マルビンとトレーニングを積んでいる程ルチャに対する理解が高いモネの相手としてはまさに打ってつけ。相手の実力を引き出した上で完璧に仕留めるモネの本領発揮となった試合。

 しかし、バッケルも世界にその名を刻むには十分過ぎる活躍。パワフルな動き、端正なルックス、テクニコルードどちらに動いても対応出来る対応力を備え、見事にモネと張り合ってみせました。今大会のMOTN。
 好勝負。
評価:****

 

NJPW STRONG初代女子王者決定トーナメント準決勝
向後桃対ウィロー・ナイチンゲール

 軽量級対パワーハウスというわかりやすい構図のコンセプトマッチ。ウィローがちぎっては投げ、耐えた向後が華麗な攻撃で反撃する展開。スターダム本隊ではアンダーカーダーの向後だが、ウィローの躍動に引っ張られる様に小気味良い動きを連発。

 変形クルシフィックス・ボムことモモンパに代表される様に岩谷麻優を彷彿とした動きを見ると、次第に岩谷に見えてくる。組み合わせの妙もあり、この前の試合に続き素晴らしい試合となりました。

 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

 

 

 

CHAOS(オカダ・カズチカ、石井智宏&ロッキー・ロメロ)対ブラックプール・コンバット・クラブ(ジョン・モクスリー&ウィーラー・ユータ)&海野翔太
 オカダ対海野を経由し、オカダ対モクスリーの一戦を煽る戦い。生意気な海野に対するオカダのかわいがりモード、これがナチュラルヒールと言わんばかりの海野のキザな立ち振る舞いが中心となり、脇は実力者が固めていく展開。

 ストーリーをブーストさせる効果を発揮しながらも、一方ではストロングスタイルの強みも兼ね揃えた一戦。演者のスター・パワーとストーリーがハマっている為、単なる6人タッグであっても見応えが増してくる。

 この豪華メンバーの中でも海野が存在感を示し、立派に主役を務め上げたのは大収穫でしょう。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

IWGP US王座 #1コンテンダー決定トーナメント準決勝
棚橋弘至対ウィル・オスプレイ
 テーマだけでなく、内容もオスプレイ復活祭というべき試合の為、棚橋が徹底的に黒子を担っていたのが印象的。それだけオスプレイの存在は不可欠なものということでしょう。試運転でも世界最高のクオリティはキープ。

 飛び技がなくとも、ストームブレイカーを放つのにリスクが伴うとも、その度に異なる魅せ方を編み出し、進化させていくオスプレイの天才的センスがあれば全く問題なし。今回は怪我から来る弱みを打ち出すことで、応援される者というポジションを提示。

 潰しに来る侵略者ケニーとのリマッチであれば、フェイス側の立場に立つのはオスプレイなので、その準備を既に用意するクレバーさは特筆すべき点。試運転で容易くこのクオリティはやはり化け物。来たるケニー戦に照準を合わせています。
 好勝負。
評価:****

 

NJPW STRONG初代女子王者決定トーナメント決勝
メルセデス・モネ対ウィロー・ナイチンゲール

 STRONGの初代女子王者決定戦が、黒人選手同士の激突というイシューを感じられるもの。メルセデス・モネの存在があってこそではあるが、スターダムや新日本の日本大会では絶対に出来ないこと。それをメインイベントでやってしまうのは英断。試合前のスタンディングオベーションからウィローが感極まったシーンは、WMのサーシャ対ビアンカを彷彿とさせるひと時でもありました。
 決勝戦の構図も先程の向後対ウィローと同じ様に軽量級対パワーハウスの構図。ウィローの豪快なパウンスを皮切りに迫力満点の攻撃でモネを追い詰めていく形。

 下馬評としてはモネ勝利を大多数の人が予想しているので、裏切る様にウィローが圧倒する。キャリア差を埋める体格差を積極的に使えるので、違和感なく演出出来ている。ウィローのパワフルな攻撃を引き立てるモネのセルも高いレベルで安定している。

 終盤まではかなりクオリティが高く、エピックマッチの予感が漂っていた。終盤のモネの足首負傷がなければ、どの様な結末を迎えたのかが気になるが、アメリカ人のレスラーと日本人のレフェリーではさすがに難しい状況だったが、ウィローの対応力の高さにより助かった。やはりAEWでの活躍は伊達じゃない。

 試合においてもモネのスター・パワーに頼りきらなくても、ウィローの実力で試合を作り切ることに成功したのは大きな収穫でした。クライマックスが惜しまれるけれども、それまでの内容で合格点は付けられる。

 中々良い試合。
評価:***1/2

全体評価:9