世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

WWE WrestleMania XL – Saturday Review レインズ&ザ・ロック対コーディ&セス/"最終奥義解禁!" グンター対サミ・ゼイン他

WWE WrestleMania XL – Saturday 4/6/2024

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1日目の『America is Beatuiful』の歌唱は、今年2月に行われた66回グラミー賞にて、ベストR&Bパフォーマンス賞を代表曲『ICU』で獲得したココ・ジョーンズでした。

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WWE女子世界王座戦
リア・リプリー(c)対ベッキー・リンチ

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 リアの入場曲を歌っているメタルコア・バンド「Motionless in White」の生演奏で、最高の雰囲気でスタートしたオープニングマッチ。

(この生演奏に関しては、歴代の生演奏の中でもかなり上位の素晴らしい演奏でした。
 堅実に積み上げて行くスタイルのため、熱気が逃げかける。スタジアムサイズの会場は特に逃げて行きそうになる中、団体のトップランナー2人は焦らない。

 焦ってミスをしたり、歓声を欲しがったりがなく、堂々と自分たちのやっていくことに確固たる自信を持っているからこそ耐えながら攻防を積み重ね、終盤で大爆発出来た。

 スタジアムサイズ向けではない、ベッキーのようにサブミッションを多く取り入れる選手の試合で、これだけのリアクションを巻き起こせるのだから、やはりこの2人のスターパワーは比類なきもの。

 ベッキーは、マンハンドル・スラムを多用出来る様になったこと、リアもリップタイドだけではなく、プリズムトラップを必殺サブミッションとして使える様になったことも、試合の幅と厚みを生み出すことに一役買っている。
 選ばし者同士の豪華であり堅実な好勝負。ベッキーは実は万全なコンディションではなく、リアも試合前にパニック障害を起こしていたことも報じられた中、そんなことは微塵も感じさせないプロフェッショナルとしての姿が堪能出来る。
 立派にオープニングという名の第一メインを務め上げました。
 好勝負。
評価:****

 

WWE RAWタッグ王座&WWE Smackdown タッグ王座戦-6パック・ラダーマッチ
ジャッジメント・デイ(c)(フィン・ベイラー&ダミアン・プリースト)対#DIY(ジョニー・ガルガーノ&トマッソ・チャンパ)対オーサム・トゥルース(ザ・ミズ&R-トゥルース)対ニュー・デイ(コフィ・キングストン&エグゼイヴィアー・ウッズ)対ニュー・キャッチ・リパブリック(ピート・ダン&タイラー・ベイト)対A-タウン・ダウンアンダー(オースチン・セオリー&グレイソン・ウォラ―)
 バラエティに富んだメンバーを揃え、それぞれに持ち場を与えながら、タッグ王座を分割するというゴールに向かってスムーズに進んでいく管理プロレスの構成力とエンタメ力が成せる力技。

 ラダー破壊、テーブル破壊というハードコア要素とトゥルースの様なネタを織り混ぜても試合が壊れずに昇華していくバランス感が一番の長所。寄せ集め多人数マッチも責任を持ってダイヤモンドに変えてみせる。HHH体制の真骨頂とその気持ちに応えた参加メンバーの奮闘を味わえる良試合。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

レイ・ミステリオ&アンドラーデ(w/LWO)対ドミニク・ミステリオ&サントス・エスコバー(w/レガド・デル・ファンタズマ)

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 結果的に今季引退した地元であり、今回のレッスルマニアの会場であるリンカーン・フィナンシャル・フィールドを本拠地とするNFLフィラデルフィア・イーグルスのレジェンドであるジェイソン・ケルシー(弟は、言わずもがなチーフスのスター、トラヴィス・ケルシー/彼女はテイラー・スウィフト)と現在もイーグルスで、オフェンシブ・タックルで活躍するレーン・ジョンソンのお披露目回となったものの、ラテン層のためにはレイ・ミステリオの試合を外すわけにはいかない。

 良い点としては、レイとアンドラーデの連携が良かったのが好材料でした。また、最近武器としているホアキン・ワイルドの長距離スプリングボードダイブを見せたのもハイライト。後は腕達者達がそつなくやり切った試合内容です。

 平均より上。
評価:***

 

ジェイ・ウーソ対ジミー・ウーソ
 兄弟対決は上手く行かないのか。写し鏡度が強いこの2人なので、フェイスヒール要素を軸に、後はミラームーブの攻防となる。ジミーのシングルレスラーとしての力が余り伸びていなかったことと、それがわかっていながら特殊形式にしなかったことが作用して伸び悩み。

 遺恨精算のシングルでスーパーキック・パーティーは弱い。バックスはスーパーキック以外も非凡である上に、こうなることをわかっていて、兄弟対決を望まない賢さを再認識。
評価:**3/4

 

The BIG 3(ビアンカ・ブレアー、ナオミ&ジェイド・カーギル)対Damage CTRL(アスカ、カイリ・セイン&ダコタ・カイ)

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 デスティニーズ・チャイルドが舞い降りたかの様な、豪華絢爛なフェイス組とゲイシャガールズを登場させたDCの入場がハイライト。ダコタのコスチュームも非常に素晴らしかった。
 試合もジェイドお披露目回とはいえ、ビアンカ&ナオミが上手く引っ張り、DCも安定の働き。ジェイドは良くも悪くもAEWと変わってはいないが、相手を蹴散らすのが最大の魅力なので、焦らずスポットを与えていきましょうという意図が汲み取れた。
 平均より上。
評価:***

 

WWE IC王座戦
グンター(c)対サミ・ゼイン

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 在位666日の絶対王者グンターを、皆の人気者であり絶対的なアンダードッグである一方、グンターを倒せる能力も秘めているサミが、妻と息子、ストーリーに則ってゲイブル、そしてストーリーに則るまでもなく唯一無二の大親友ケビン・オーウェンスの力を借りて、グンターの圧倒的な攻撃力に対し、文字通りボロボロになりながらも何とか立ち上がり続ける姿は、まるでロッキーの如く。

 確実なストーリーテリングとサミがハードヒッターではないが、ハードバンパーであることを考慮した攻防の数々も的確。チョップやブートと同じくらいの配分でラリアットやパワーボムを使うのも実に計算されている。
 リングサイドにいるサミの奥さんへの度重なる挑発を行いつつ、瀕死のサミをこれでもかと痛ぶるグンター。サミ大逆転勝利への機運をこれでもかと消そうとしていくコテコテの演出を経て、最後の力を振り絞ったサミの復活。

 そして最終奥義Brainbustaaahhhhh!を遂に解禁。更にヘルヴァ・キック乱れ打ちとグンター政権を終わらせるにはこれ以上ない締めくくり。NXT時代、いやエル・ジェネリコにしか見えない戦いぶりは、昨年に引き続き涙なしにはいられない。
 ストーリーと試合、過去と現在、全てが上手く混ざり合った名勝負でした。
評価:****1/2

 

ザ・ブラッドライン(ローマン・レインズ&ザ・ロック)(w/ポール・ヘイマン)対コーディ・ローズ&セス・”フリーキン”・ローリンズ

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 ブラッドラインが勝てば、2日目のレインズ対コーディは、ブラッドライン・ルールに、コーディ&セスが勝てば、ブラッドラインはリングサイド立ち入り禁止。)

 サミ戴冠の感動を打ち消すかの様な、”ファイナル・ボス”ロックの長い長い16分に渡る入場。この試合とこのストーリーに対する意気込みを示すかの様なビルドアップされた肉体とショートタイツ姿である。
 正直44分は長い。ただそうそう見られるものではないスーパースターのロックの復活劇を長く見ていたい思いもあるため、シンプルな試合内容も許せてしまう。基本的な攻防、場外戦、長い孤立からハードコア要素を交えた攻防と近年のレインズ絡みの試合内容を適用した形ではあるが、このスター揃いの豪華メンバーの共演ならばマンネリ感もなくオールOK。

 マッチ・レーティング度外視ではあるものの、ロングマッチになる中で、ブーイングが飛ぶ様な停滞感は与えない様に、要所でヒールプレイや得意技など印象的なシーンを加えることで興味を繋ぎ、一定のクオリティを確保する。
 後は、レインズによるロックへのスピアー誤爆や必殺技の競演、コーディによるロック・ボトム実況席葬と必要なインパクトを加え、ハードワークを見せ続けたフェイス組の希望を打ち砕くブラッドラインが強さを示し幕。

 昨年の結末をフラッシュバックさせる様な絶望感満載の演出で全ては2日目への伏線となる。まさに豪華すぎる前哨戦。流石に全盛期までは行かなくても、攻めも受けも非常に奮闘していたロック。RAWやSDにも出続け、出場回数に制限のあるレインズ以上に盛り上げていたからこそ、そのエネルギーを回収出来たといっても良いでしょう。これ以上ない煽りマッチ。

 中々良い試合。
評価:***1/2

全体評価:9