WWE Friday Night SmackDown #1286 4/12/2024
トリプル・スレットマッチ-アンディスピューティドWWE王座 #1コンテンダー決定トーナメント予選
ケビン・オーウェンス対レイ・ミステリオ対AJスタイルズ
既にHOFとなった者とHOF入りを確実視される者達が集うリビングレジェンドだらけの3ウェイ。試合前には近頃取り組んでいるバックステージから入場までシームレスで流す演出を、稀代のプロモメーカーKOが遂行。KOが行えばどんなプロモも極上のものとなり、パンクのTシャツを倒す演出も憎い。
試合は、現在遺恨を持つ者はいないカードなので、レイを軸に小気味良い攻防を連発。3ウェイで歴史を作ってきた者でもあり、インディから上がってきた強者だけあり、独創性も兼ね揃えている。
WWEなので決まっている攻防も多いとは思うが、問題は誰でそれをするかどうか。狂いのない攻防の数々はやはりレジェンドが集まっただけある。一つ一つの攻防に見所が詰まっており、それで駆け抜けた。10分以内であっても密度が違う。
フィニッシュもただ放つだけでなく、その勢いを利用してそのまま丸め込むというAJとレイの組み合わせだから出来る妙技。インディの風を浴びながらもWWEだからこその洗練具合が光った3ウェイでした。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4
WWE Monday Night RAW #1612 4/15/2024
WWE IC王座戦
サミ・ゼイン(c)対チャド・ゲイブル
こちらもジェイ・ウーソの退場からバックステージへ戻り、サミと言葉を交わした後、そのままサミの入場へとシームレスで繋いでいく形。特にサミの地元モントリオールで客席からカナダ国旗を背負いながら入場していく光景は感涙もの。昨年のエリミネーションチェンバーでレインズに敗れた会場で、IC王者として帰還するという演出は、長期的なプランニングがなければ出来ない技である。
そしてゲイブルに関しても、グンターとの抗争で得たコミカルレスラーとしてではなく、アメリカン・アルファ時代のタッグ屋でもなく、カート・アングルの正統後継者として生まれ変わったシューター能力を全開にした姿を披露。
試合の段階ではまだヒールターンさせるのではなく、あくまでもフェイスとして最強の挑戦者であることを印象付けるのも的確。ゲイブルの実力と地元のヒーローであるサミの被虐力を持ってすれば、ヒールターンのエッセンスはなくとも、ストーリーテリング出来ると踏んだクリエイティブ陣は正解。
ゲイブルが必殺のアンクルロックのみならず、ジャーマン連発に雪崩式アングルスラムにムーンサルトとカート殺法をいつも以上に決めていく展開も熱い。ゲイブル・スティーブンソンの様にいきなりカート路線に行っても、歴代最高レスラーの名をほしいままにするカートにはなれないが、コミカルもジョバーもタッグもシリアスも何でもやって辿り着いたからこそカート路線にいっても皆が納得する。時間はかかったが、ゲイブルはあるべき姿を手に入れた。
ジャーマン連発を撃ち合う攻防やアンクルロック対シャープシューターは、カート×ベノワの名勝負を彷彿とさせる演出でもあり、名前は出せなくてもこの試合で思い起こされるには相応しいものには違いない。
執拗なアンクルロックに対する脚攻め表現を的確に行いながら、何とか大技を決めてゲイブルを仕留めていくサミ。ゲイブルの攻撃ターンが多く、自らの技を放つシーンは終盤に移るにつれて減っていったが、ダメージ表現でしっかり貢献。フィニッシュはそれまでの充実度を考えればあっさり目ではあったが、それはその後のゲイブルのヒールターンがあるから。
サミが奥さんと祝福し合うところにジャーマン一閃。昨年のレインズ戦→グンター戦そして今回のゲイブル戦、全て物語として繋がっているのが憎い。今回はグンター×ゲイブルにおける客席の家族と勝利を祝えなかったゲイブルという対比も効いており、これは正真正銘ドラマ。まさに連続ドラマにしか出せない厚み。
WWEのストーリーテリングの凄さに試合内容の面白さも合わさり相乗効果を生み出した。素晴らしい作品でした。
文句無しに好勝負。
評価:****1/4
全体評価:7
WWE Friday Night SmackDown #1287 4/19/2024
フェイタル・4ウェイマッチ-WWEタッグ王座
ストリート・プロフェッツ(アンジェロ・ドーキンス&モンテズ・フォード)対ニュー・キャッチ・リパブリック(ピート・ダン&タイラー・ベイト)対レガド・デル・ファンタズマ(エンジェル&ベルト)対オーサーズ・オブ・ペイン(エイカム&レーザー)(w/ファイナル・テスタメント)
スポットフェストではあるものの、タッチルールありの言わば4コーナーズマッチであるため、統率は取れており、時間も多く確保されていることもあり、一旦試合を落ち着かせた後は場外ダイブの連発に連鎖ムーブあり、豪快な連携も多数と見応え十分。
駆け出しの若手ハイフライヤーがやる様なことを高い実力を持つ歴戦の猛者たちがやるのだから当然凄いものとなる。LDFの2人が掻き回し、AOPの2人が圧倒的な巨漢ドミネイターとして存在感を示した事で上手く試合の幅を持たせる事に成功。絶妙なアクセントとなっていた。
常時TVで試合が出来ない選手たちでもこれだけの力を発揮するのだから層の厚みがやはり違う。中々良い試合。
評価:***1/2