世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

WWE King & Queen Of The Ring 2024 Review コーディ・ローズ対ローガン・ポール/グンター対ランディ・オートン他

WWE King & Queen Of The Ring 2024 5/25/2024

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WWE女子世界王座戦
ベッキー・リンチ(c)対リヴ・モーガン

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 リア・リプリーの長期欠場でプラン変更となり生まれた抗争。ブリトニー・スピアーズオマージュコスチューム対決だが、試合は堅実。

 リヴの多彩な攻撃をベッキーがしっかりと受け止める。サブミッションを巡る攻防は今回も冴えており、ベッキーの腕関節対リヴのリング・オブ・サターンもスリリングで効果的。リヴが相手を絞る時の力の入れ方、魅せ方が日に日に向上しており、彼女も技術が上がっているのが伝わってくる。

 そしてクライマックスは、ドミニクを登場させて混沌のままフィニッシュ。ドミニクがいるだけで試合が動く。そのキャラクターと存在感の偉大さに感嘆する。ボリューム積み上げ式の内容に、最後WWEらしいエッセンスを加えて上手く仕上げた良試合。
 中々良い試合。
評価:***1/2

 

WWE IC王座戦-トリプル・スレットマッチ
サミ・ゼイン(c)対ブロンソン・リード対チャド・ゲイブル(w/オーティス)

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 シリア系、アラビア語圏のスーパースターサミと”You Suck”まで受け継いだホットなヒールであるゲイブル、そして猛獣リードの3者3様のマッチメイク。

 リードがフェイスヒール関係なく攻撃するドミネイターということで、わかりやすく2対1にならないのがこの試合の大きなポイント。サミ×ゲイブルの遺恨とリード絡みのインパクト満載の攻防の大きな軸があり、重く強いそれでいて飛べて、尚且つハイパーアーマーではないので雑にも扱える実力があって便利なリードの魅力が全開。

 そこに徹底的な嫌われとシューター面を共存させたゲイブル、圧倒的人気を持つサミ、そして要所を締める3ウェイムーブと非常に完成度の高い試合内容。クライマックスもゲイブルとオーティス絡みの演出で盛大にフィニッシュ。RAWなら余裕でメイン級の好勝負でした。
評価:****

 

Queen of The Ring 2024決勝
ナイア・ジャックス対ライラ・ヴァルキリア
 大型のナイアと小柄で俊敏性の高いライラの一戦。この試合でもナイアが攻撃、受けの技術共にかなり上達していることがわかる内容。休んでいる間、今も含めてかなり努力していたことが見て取れる。

 巨体であることを損なわずに、ライラの攻撃をスケールアップする受けが出来ている。ライラも晴れ舞台に全力で動き回り、小気味良い戦いぶりを発揮し、存在感を示す。ナイアに対する期待値がまだまだ低いことが要因だがわ想像よりも遥かに良い内容でした。
 平均的良試合。
評価:***1/4

 

King of The Ring 2024決勝
グンター対ランディ・オートン
 KOTRだからこそ実現したドリームマッチは、じっくりとしたペースであり、無駄を極限まで削ぎ落とし、それでいてオートンにしか出来ない表現が全開。グンターがハードヒッティングで攻める訳ではなく、むしろいつもよりは殺傷力は高くない。

 しかし的確にオートンの負傷箇所である腰と脚を両方攻めていくことにより、オートンが行う演劇的ダメージ表現の整合性を取っていく形。よってグンターの試合ではなく、確実にオートンの試合。

 WWE生え抜きのスーパースターであり、リビングレジェンドなので、それくらいの配慮は確かにあっても良い。勿論グンターのチョップやラリアットにメタメタにされているオートンも観たかった、若かりし頃の毒蛇ではなく、満身創痍で戦い、老いも隠しきれない中、自らの衰退を否定せずにそれも含めて今のランディ・オートンであると提示している。

 癖の強い試合構築には違いないので、過去にはその癖に飲み込まれて終わる試合も多数あったが、改善したサウジの空気感、HHHを筆頭に描いた巧妙なライティングにより、グンターが持ち味を完全に出すことは出来ない展開ながらも実力を示すシーンは確保する配慮。そしてグンターの確固たる高い技術により、スポーツ・エンターテイメントでありながらプロレスリングである面を保つことが出来、オートンの表現しか印象に残らなかったと言う懸念を回避することに成功。

 トップオブトップ対決だからこそまとめることが出来たシンプルなから超ハイレベルの鬩ぎ合いでした。好勝負。
評価:****

 

アンディスピューティドWWE王座戦
コーディ・ローズ(c)対ローガン・ポール

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 現US王者ローガンが類稀なる身体能力の高さと向上を続けるレスリング力、更にはボクシングのバックグラウンドまで織り交ぜることで、レスラーとして実力面でも既に団体トップレベルにあることを証明する。

 その一方で、後半ではブラスナックルを巡るシーンが増え、仲間介入にチープショット、更には極上のカメラワークを使った実況席破壊スーパーダイブとヒールのキャラクター面を用いた展開をフル活用。これまで積み上げてきた要素をこれでもかと投入。

 それを持ってしてもレインズを超えたコーディは簡単に超えられない。ローガンの全てを受け切った末に、裏必殺のディンズ・ファイアやクロスローズ連発で横綱相撲を見せて勝ち切る安定感。やられ姿で相手を引き立てるのと同時に印象的な画を生み出し、最後はトップたる風格を示し貫禄の勝利。

 この2人のマッチアップにおける最適解を打ち出し、その上で開催国サウジの有名人を絡ませるといった企業的配慮も的確。マニアもライト層も株主も王族も皆大喜びする素晴らしいメインイベントでした。名勝負。
評価:****1/2

全体評価:9+