世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Full Gear 2024 Review ジョン・モクスリー対オレンジ・キャシディ/メルセデス・モネ対クリス・スタットランダー他

AEW Full Gear 2024 11/23/2024

 

www.trillertv.com

 

www.youtube.com

 

youtu.be

 

 

AEW世界タッグ王座戦-フェイタル・4ウェイマッチ
プライベート・パーティ(c)(ゼイ&クエン)対ジ・アウトランナーズ(ターボ・フロイド&トゥルース・マグナム)対キングス・オブ・ザ・ブラック・スローン(マラカイ・ブラック&ブロディ・キング)対ジ・アクレイムド(アンソニー・ボーウェンス&マックス・キャスター)(w/ダディ・アス)

 


 適度にKOTBTに暴れさせて、後はアクレイムド不仲ストーリーを加速させるための試合でした。人気タッグの仲間割れなので、これくらいやるのは問題ないでしょう。

 平均より上。
評価:***

 

AEW TBS王座戦
メルセデス・モネ(c)対クリス・スタットランダー

 


 モネと当てるために、急ピッチでフェイスターンをさせたのは確かに批判の的となっても仕方がない。スタットランダーがフェイスのままだったら、更にエピックマッチになっていたかもしれないからである。

 しかし、この試合は、モネのテクニックの全てとスタットランダーのハイパーアスリートの魅力が最高レベルで化学反応を起こした素晴らしい試合となった。
 持ち前の怪力を活かし、小柄なモネを担ぎ上げ、投げ飛ばす姿は、まさにスタットランダーの理想の形。モネがヒールプレイや場外でのラフファイトに、様々な形のカウンター攻撃と類稀なる技術で圧倒しても、それを耐え続け、跳ね除けていく姿は、やはり業界を背負うスターであると再認識させてくれる。

 そしてモネ。存在が強すぎるが故に、本人が思っている程、小賢しいヒールのキャラクターが余り合っていない、そのためにストーリーが発展していかないという点は難点だが、試合となるとWWEを含めても業界トップの選手であると改めて実感出来る。

 何でも高いレベルで出来て、華も断トツ。小さい身体を巨大な存在に見せることが出来るのは、エディやミステリオと同じである。体格差があるスタットランダーが相手でも格上感を保つことが出来るのはやはり驚異的。

 スタットランダーを更にスターに押し上げ、自らも押しも押されぬ大スターであることを改めて世に知らしめる。WWEを辞めて実現したかったことがカチッと嵌った瞬間だったといっても良いでしょう。

 必殺技フルコースを耐え切ってもなお、モネを担ぎ上げていこうという驚異的なスタットランダーに、なりふり構わず固め技で強引に仕留めたモネの巧さ、最後もこの試合で描いていたことをまとめるかの様な絶妙なフィニッシュ。

 文句無し今大会のMOTN。ストーリーさえしっかりしていれば名勝負だったでしょう。
 文句無しに好勝負。
評価:****1/4

 

ウィル・オスプレイ対カイル・フレッチャー(w/ドン・キャリス)

 


 この前のハングマン対ジェイ戦と同じ趣のグラッジマッチ。同じ方向性の試合が並ぶのは、本当は良くないものの、オスプレイとフレッチャーは動きが素晴らしい分、その力で持っていけるところがかなり大きい。

 ハングマンとジェイは、メインイベントでないと本当の効果をもたらさないのに対し、どのポジションでも魅了出来るのがこの2人。コスチュームを変え、攻撃も場外や鉄階段の攻撃で、凶器を使わないハードコアマッチ感を演出。

 総合するといつものオスプレイの試合だが、そのいつもがハイレベルなのと、絶賛シングルプッシュ中のフレッチャーもオスプレイに負けじと大活躍しているのが大きなアドバンテージとなった。

 フレッチャーを押し上げるための試合だが、既に勝手にどんどん押し上がっており、オスプレイのライバルに並び立つ存在となったことを証明した試合。守勢に回っても印象的な働きが出来るのがオスプレイの強みでもあるため、フレッチャーの良さが引き出されている。

 好勝負。
評価:****

 

 

 

AEWインターナショナル王座戦
KONOSUKE TAKESHITA(c)(w/ドン・キャリス)対リコシェ

 


 業界屈指のスーパーアスリートであり、ドミネイターである竹下が強烈な攻撃で支配すると、リコシェは耐えながら浮遊感たっぷりの攻撃で反撃。

 竹下の攻撃に対し、受けで溜めを作れるのがリコシェ。間を空けるのを恐れない。長くWWEで活躍しただけあり、その点が他の同じスタイルの選手達と異なる点。

 ペリー対ガルシアを挟んだことで、景色がリフレッシュされているのも良く、この試合も遺恨精算というよりも、純粋な腕の競い合いである形だったのが、他の試合と内容が被らず、良さがストレートに届いた要因。
 他の試合の割を喰ったか、クライマックスからフィニッシュがあっさり目ではあったものの、狙い通りに進んだ試合内容でした。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

スワーブ・ストリックランド(w/プリンス・ナナ)対ボビー・ラシュリー(w/MVP&シェルトン・ベンジャミン)

youtu.be

youtu.be

 

 米の超人気ラッパー、タイラー・ザ・クリエイターの新作『Chromakopia』のジャケット及びライブでの衣装オマージュのコスチュームで登場したスワーブ。ラップカルチャーへのリスペクトと流行をいち早く察知し取り入れるスワーブの嗅覚が見事。その時点でRapファン的には勝利。

 ただ、この試合は、新加入のラシュリーが輝くためのショーケースマッチで、それをサポートするスワーブという構図。ラシュリーのドミネイトがメインとなり、要所でスワーブが反撃。実況席貫通スワーブストンプに加え、バリケード貫通スピアーとWWEらしさもある試合だったが、その様な形でも上手く乗りこなすスワーブの確かな腕と、コンディションをキープしているラシュリーは安定の試合運び。

 実質の初戦としては、問題なく上手くやり切ったラシュリーと、団体の看板としてフォローし切ったスワーブでした。
 中々良い試合。
評価:***1/2

 

AEW世界王座戦
ジョン・モクスリー(c)(w/マリーナ・シャフィール)対オレンジ・キャシディ

 


 リングアナのジャスティン・ロバーツがモクスリーの名前を呼んでいる最中に、オレンジパンチを見舞い、奇襲したオレンジ。

 地元ニュージャージーでのメイン、世界王座挑戦という抜擢に、アグレッシブな奇襲攻撃を繰り出し、モクスリーの非情な攻撃の数々に大流血とダメージを負っても一歩も引かない。燃え上がる炎の様に闘志が浮かび上がる様な働きで、見事にメインイベンターとしての活躍を残し、期待に一発回答を見せる。

 対するデスライダーズの首領モクスリーは、これまでのレスリングキャリアの総決算というべき試合構築を見せる。もう誰からもAEWを奪わせないという決意を感じさせる戦いぶり。獰猛なラフファイト、サブミッションやあえて前腕で顔面を痛めつけるMMA的な要素、怖さを植え付ける徹底したヒールファイトと完璧な試合構築。

 昨年のFull Gearでも対戦しており、これまでのこのマッチアップは、このためだったのかというほど、両者のキャラクター、現在の立ち位置、レスラーキャリアを注ぎ込んだ熱戦。

 互いの仲間達の介入にあわやというシーンを見せた上で、比較的コッテリ目ではないフィニッシュ。それまでの試合内容が濃密なため、あっさりとは思わないまでも、ニアフォール連発ではなく、必殺技1発でフィニッシュした形は、AEWらしさがなく、逆に怖さを感じるもの。そこに彼らの意思が感じられる。

 試合後のめまぐるしい乱入者からの衝撃シーンも非常に次回放送に興味が湧く仕上がりになっている。ストーリーから今回の試合、試合後までハイレベルな作りで、これからどこに向かうのか、NWOvsWCWやダークなHBO作品の雰囲気も少し漂わせるストーリーや演出で、期待値がますます高まる出来でした。
 好勝負。
評価:****

全体評価:9

 

 

 

 

youtu.be