Pro-Wrestling NOAH ABEMA presents NOAH "THE NEW YEAR" 2023 1/1/2023
GHCタッグ選手権試合
杉浦貴&小島聡(c)対丸藤正道&KENTA
久々の丸KENタッグで、いきなりの鋭い張り手合戦に臨み、新日本時とは違うところは示したKENTA。違いは示すものの、流石に全員衰えはあるので、ハードヒットをちかつかせながら、ベテランらしくタッチプレーのそつなさや得意技の打ち合い全員ダウンという画になるシーンを投入し、ハード一辺倒ではない巧さで試合をまとめていく形。
この順番だからこそかもしれないが、ベテランの魅力を堪能出来る試合でした。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4
GHCジュニアヘビー級タッグ選手権
YO-HEY&Kzy(c)対小川良成&Eita
EitaとKzyが試合全体を飲み込んでしまった試合。スピーディーな展開ならばドラゲー勢に勝るものはなく、その中で頂点を極めたEitaと看板レスラーのKzyが出てくれば、あっという間に試合を掌握。小川がサポートに徹しても、Eitaが試合構築にフィニッシュまで完遂出来るので問題なし。Eitaからすれば朝飯前ではあるが、それでも彼の魅力を堪能出来る試合。
中々良い試合。
評価:***1/2
GHCヘビー級選手権試合
清宮海斗(c)対拳王
武藤のコピーレスラーとなった清宮だが、技や外見は武藤になっても、根底はノア生え抜き。エグすぎる断崖式ファルコンアローにダイビングフットスタンプという必殺コンボを喰らっても立ち上がり、咆哮しながらライバル拳王を仕留める終盤に見せた姿が清宮の魅力。
スタイル的には武藤を吸収するのは悪くはないものの、生まれや育ちは中々変えられるものではなく、やはり清宮は清宮なので、いずれ要素だけを吸い取って、清宮ならではのものを見せてくれるに違いない。その清宮を焚き付ける役割を担っていた拳王も安定の働き。ムタ中邑という異次元マッチを前に、現在のノアの魅力を示す事に成功。
好勝負。
評価:****
グレート・ムタ対SHINSUKE NAKAMURA
時空も団体も政治も飛び越えてしまったドリームマッチ。ノアと新日本、WWFとWCW(NWA)、WWEとAEWこれだけ飛び越えた試合は他にはなく、ムタの引退間近という意味でもエピック。ロック対ホーガンに比較されるのも頷ける。
ビンス・マクマホンがスキャンダルで失脚しなければ実現することのなかった試合であり、この試合の前後にムタがAEWに登場し、スティングとダービー・アリンを連れてくることを考えれば、物凄いこと、そしてこの試合が想像を遥かに超える好勝負となり、新日本の東京ドーム大会を3日後に控え、そこにWWEを退団したサーシャ・バンクスが登場するという大サプライズを掻き消すだけのインパクトを放ったことも印象的である。
試合自体は、特に大技が出る訳でもなく、場外戦やラフはあるけれど、テーブル破壊がある訳でもない、今や本国アメリカでも絶滅しつつあるオーソドックスなアメリカンプロレス。ただ、演者の華やキャラクター、この試合に至るストーリー、和太鼓やバイオリン奏者のリー・イングランドJr.を登場させた入場、コスチューム、全てがこの試合を押し上げる。
ムタに過度な負担はかからない様にはしつつも、ここが踏ん張り所と見たムタも試合を壊さず、定番のシークエンスを上手く散りばめながら試合を構築。中邑のサポートを非常に効いており、要所では毒霧や凶器使用の力も大きく作用。ムタの歴史を堪能出来る演出、中邑が毒霧を喰らいつつも、上半身を露わにした上で場外ラリアットを放つシーン、そしてクライマックスと最高にノスタルジックを感じる事が出来、両者の比類なきスター性も堪能出来た内容。
これ以上に凄い試合は多く生まれると思うが、この試合よりも記憶に残る試合は、もうしばらく観られないかもしれない激闘。来たるロック対レインズ位の破壊力がないと凌駕することは難しいレベル。入場が全てで試合は短時間で終わりだろうと鷹を括っていたからこそ驚きも倍増。
ロック対ホーガンの様に再戦が組まれる可能性はあるだろうが、ロック対ホーガン同様1回目以上はもうない。レッスルマニアやスターケード級のエンターテイメントマッチでした。単純な試合以上の破壊力や感動があり、年間ベストバウトに選ばれても異論はない。
文句無しに好勝負。
評価:****1/4
全体評価:9.5