世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

東京女子プロレス(TJPW) ALL RISE '21 & TJPW INSPIRATION Review アプガ対決/マジラビ対トロピカワイルド他

東京女子プロレス ALL RISE '21 11/25/2021
インターナショナル・プリンセス選手権試合
乃蒼ヒカリ(c)対渡辺未詩

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 アプガ対決。序盤から渡辺のパワー対乃蒼のクイック感を強めた動きで、初見には2人がどの様な選手であるかを示し、ファンには成長度合いを示す。力強いレスリング、鋭い攻撃で緩急を生み出す。渡辺はヘッドロックでこの選手はパワーが優れているのを一目で表現出来るのは見事。カメラに対する表現力も良く、ジャイアント・スイングという金が取れる技があるのも良い。

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 対する乃蒼は、ドロップキックを、フロー感を生み出すのに上手く活用出来ているのが印象的。自分の体格やキャラクターに合った技セットを持っているクレバーさも備えている。途中乃蒼が頭を強く打ち、動きがガクッと落ちて心配になるも、必殺のブリザードSHでは、見事な人間橋を描いており、アクシデントが起きても上手くまとめる力が付いたのも成長を感じさせるポイント。

 後楽園のセミ抜擢も必然と感じさせるレベル。ミッドカーダーは卒業し、すっかりトップロスターとなりました。まあまあ良い試合。
評価:***1/2


プリンセスタッグ選手権試合
マジカルシュガーラビッツ(c)(坂崎ユカ&瑞希)対121000000(山下実優&伊藤麻希)
 団体の象徴2人とその象徴に追いつき始めたトップロスター2人が交わった豪華なカード。その中で実際に1番試合を動かしていたのは瑞希である。攻守に渡り気を配りながら、支配されるターンも反撃から決定打を打つターンも担う。元々支配されるターンは担えていたが、今は冴えているカウンター技も備えており、ポイントゲッターとしても力不足感は一切なくなっている。

 一方の坂崎は、終始厳しい表情で唸りながら試合をしていて、特に伊藤に対しては、険しい顔で危険な角度の投げを打ち続ける初期ROH時代のダン・マフやカーニッジ・クルーの様なスタイルとなっており、かなり心配。魔法少女というギミックが足枷になっているのは以前も危惧していたが、ずっとキラーモードなのは不可解。怪我やメンタルヘルスの問題を抱えているのかと勘ぐってしまう。ただこれではAEWからは遠ざかってしまう。里歩とガトームーブ勢が奮闘しており、日本人枠のスポットを奪いに行かなければいけない状況で、この状態の悪さは気がかり。

 121000000は、凸凹コンビ感を出して空気を持っていき、圧倒的な攻の山下と他を寄せ付けない存在感の伊藤で、人気実力実績は抜群だが、持ち味が邪魔しており、まだ上手くタッグになりえていない所が目立つ。タッグチームの難しさを再認識する。

 試合は後楽園メインサイズの20分越えロングマッチとなっているが、その分密度が薄まっている所が際立つ。坂崎が本調子なら山下との激突で大きな加点を生み出せるが、そのアドバンテージを活かせず、サポートにも追われ、更に山下対瑞希をセットアップしなければいけないので、今1番ホットな組み合わせの瑞希対伊藤に時間を割けなかったのも悔やまれる。内容は良いものの、マイナス要素の火消しを行い、メインとしてまとめる為に爆発し切れなかった。とはいえ1.4のメインが山下対瑞希になるのは必然的。もはやマジラビは瑞希のチームになり、瑞希は団体のトップを張るべき存在に成長している。中々良い試合。
評価:***1/2


東京女子プロレス TJPW INSPIRATION 12/10/2021
ハードコア・マッチ
乃蒼ヒカリ対角田奈穂
 公私共に仲の良い間柄の両者で行うハードコア戦。といってもハードコア戦の経験はまだまだ浅い為、まだ見よう見まねなレベル。レスラーとしての技術が高いので、まだ安心して見ていられるものの、ハードコア戦特有のスリル感を出すまでには至っていない。

 その中で、乃蒼は流血、椅子に座ってのエルボー合戦、椅子やラダーを用いた攻防で激しさを出そうと奮闘。角田もヘッドロックドライバーの様な技やクロスアームしてのDDTなど独特な技を持っていて、インパクトは出せていた。

 ただ東女で出来ることには限りはあるので、来年はプロミネンス勢との絡みを見てみたいところ。センスも実力もあるけれど、ハードコアやデスマッチは流石に場数を踏む必要がある。平均レベル。
評価:***


マジカルシュガーラビッツ(坂崎ユカ&瑞希)対トロピカワイルド(SAKI&水森由菜)
 団体を超えた異次元対決だが、水森の強烈なキャラクターが炸裂し、トロピカワイルドペースで試合が進む。意図的にトロピカワイルドを立てていた印象が強く、試合の殆どを瑞希が担当。坂崎が怪我していたというより、こちらも意図的にサポートに回っていた。

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 瑞希対SAKIは確かに見所だが、坂崎対他団体の遭遇も同じく目玉だったので、肩透かしを喰らった格好。AEW女子トーナメントの際も水森の師匠であるさくらえみとのヒリヒリする様な空気感の試合があった様に、他団体の選手とはガッツリは絡みに行けないのかとこの試合でも感じ取れてしまった。この試合を観る限りでは、やはり無理をして開国はすべきではないと思ってしまう。

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 その分ガトームーブやチョコプロにも参戦していた瑞希が攻守に渡り奮闘。SAKIとの元プリバト対決は熱く厳しく。受け手としてもSAKIと水森の高い実力が伝わる様な構築をしていた。東女オリジナルと他団体からの移籍組でやはり全然違うものなのかと改めて再認識出来る試合。坂崎は国内有数の実力者で、マジラビも世界水準の素晴らしいタッグである。当然AEWにももっと出るべき存在なのだが、東女勢が全然呼ばれず、チョコプロ勢ばかり呼ばれていくのは、さくらが現地に行った事はあるものの、その他の要因もあるかもしれない。

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 逆にトロピカワイルドの2人は東女にもレギュラー参戦して欲しくなる程。マジラビを喰う様な見事な戦いぶりでした。中々良い試合。
評価:***1/2

全体評価:7