世界のプロレス探検隊

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TNA Slammiversary 2024 Review ムスタファ・アリ対マイク・ベイリー/"NXT×TNA"ラスカルズ対NQCC他

TNA Slammiversary 2024 7/20/2024

 

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TNA世界タッグ王座戦
ザ・システム(c)(エディ・エドワーズ&ブライアン・マイヤース)(w/アリーシャ・エドワーズ)対ABC(エース・オースチン&クリス・ベイ)

 


 老獪なシステムと華やかで勢いのあるABC。再戦だけに手の内はわかっており、アンダーカードでもあるので手際良くテキパキと。ベテランらしいソツのない試合運びで支えるシステムと華麗な動きで魅了するABC。

 エプロンへの攻撃や場外ダイブスポットでインパクトを生み出し、セコンドのアリーシャを交えながら、互いの得意の連携で華やかにまとめてフィニッシュ。最後のアリーシャ絡みのスポットは不発気味だったが、焦らずに上手くまとめたのも見事でした。
 中々良い試合。
評価:***1/2

 

マイク・サンタナ対ジェイク・サムシング
 動けて飛べるヘビー級による一進一退。その中でもサンタナのカリスマ性は、サムシングのパワーを凌駕する力を持つ。タッグ屋時代の動きはそのままに、ビルドアップした身体でシングルレスラーとしてもパワーアップ。見応えあるスポットや攻防も多数披露。サンタナは、下半期のヘビー級戦線の台風の目となり得るか。
 中々良い試合。
評価:***1/2

 

ラスカルズ(ウェス・リー、ザカリ―・ウェンツ&トレイ・ミゲル)対ノー・クオーター・キャッチ・クルー(チャーリー・デンプシー、マイルズ・ボーン&タヴィオン・ハイツ)

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 ウェスのTNA凱旋、ラスカルズ3/4揃い踏みとあり、歓迎ムードに包まれた場内。WWE(NXT)の友好ムードとNQCCに対する育成ムード両方を印象付けた一戦。ウェスがいなくても実力は既にWWEレベルにあるミゲルとウェンツに対し、デンプシー率いるハイツとボーンがポテンシャルを示していく展開。

 他団体参戦経験も多いデンプシーがWWE外での試合経験に乏しいハイツとボーンをリードしていく形。デンプシーはバランサーとして導く立場。むしろ1番目立っていたのはノア参戦も発表されているハイツ。最初は慣れない環境に順応していこうともがいているのがわかるほどだったが、アマレスグレコローマンでアメリカ代表としてオリンピックにも出場経験のある猛者という肩書きを活かしたスープレックスだけでなく、黒人のパワー、バネを活かした攻撃を多数披露。

 危うい所はラスカルズのセンスある受けとリカバリーで何とかカバー。トリオスマッチとしても豪快な攻防が多数飛び出す見応えのある試合だったが、個々としてもハイツの様な原石がブレイクするきっかけになるかもしれないという今後に期待を抱かせる試合、理想的なクロスオーバーの姿を見せつけた試合でした。
 中々良い試合。
評価:***1/2

 

TNAデジタルメディア王座&インターナショナル・ヘビー級王座戦-モントリオール・ストリート・ファイト
AJフランシス(c)(w/リッチ・スワン、スモークDZA&ジョシュア・ビショップ)対PCO

 

 

 

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 典型的なハードコアブロウル。地元モントリオール出身のPCOが支持を受け、持ち前のスーサイドさを序盤から発揮していけば、フランシスも煽り能力とPCOを凌ぐ体格を武器に応戦。

 セコンドのスワンを中心に、今回からフランシス軍のボディガードとして登場したジョシュア・ビショップの活躍や、サミ、ライノを交えて派手にフィニッシュ。有刺鉄線や画鋲とまではいかなくともテーブル破壊に椅子山盛りへの攻撃とハードコアらしさも十分確保。キャラクターと迫力は大事である事を示した試合でした。

 平均的良試合。
評価:***1/4

 

TNAノックアウツ世界王座戦
ジョーダン・グレイス(c)対アッシュ・バイ・エレガンス
 WWEに参戦を果たし、橋本千紘を完璧に撃破したジョーダンは、超えるには高すぎる壁。アッシュが何をやっても見劣りし、ブーイングも散見される厳しい環境下ではあるが、カナディアン・デストロイヤーや雪崩式スライスブレッドと大技攻勢にシフトしたのは正解。

 流石にジョーダンを超えられるシーンはないものの、アッシュの身体能力の高さが発揮されており、十分王座戦としての体裁は整えることに成功していた。

 平均より上。
評価:***

 

TNA Xディビジョン王座戦
ムスタファ・アリ(c)対”スピードボール”マイク・ベイリー

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 2月のPrestige Wrestlingでの対決時にこのカードの試合内容としてはほぼ完成に近かった。軽量級の疾走感華麗さ独創性と無差別級としても対抗出来る重厚さのミックス、両方に対応する完成度を誇っており、試合後のマイクで、アリも然るべきにまた戦うだろうと話していた。
 来たるベイリーの地元モントリオールでの激突は、まさにその然るべきタイミング。
この2月同様、攻防面は全く隙がなく完璧。軽量級の華麗さとセミの王座戦に相応しい格もある。
 そのアクション面に、WWE退団後丁寧に自身のブランディングを行ってきたアリの集大成と取れる試合運びが合わさっていく。セコンドを躊躇なく介入させていくヒールワークと最強の軽量級戦士である強さ上手さが光る試合構築。

 Xディビジョンの魅力とTVプロレスにおける演出面が最高の形で混ざり合う。ムスタファ・アリが今年の上半期に行ってきた成果がこの試合に表れている。
 両者の必殺技が飛び出した攻防で終わりかと思わせておいて、そこから幻の3カウント、レフェリー失神、セコンド介入にベイリーのタッグパートナーであるトレント・セブンの復活、そこで終わらせず、アリが1997年のモントリオール事件で試合を捌いていたアールヘブナーを登場させ、事件の再現を狙うも不発に終わりと、もうフィニッシュだろうという所から更に何層もスケールアップさせた大ボリューム。

 素晴らしいアクションの数々、間違いのないストーリー、地元のスターの歓喜を願う大観衆に古典をフル活用したスリリングな演出と全ての要素が絶妙に噛み合った一戦。単に凄い試合だったというレベルを更に超えて、記憶にも残り続ける団体史に残る感動的なエピックモーメントを生み出しました。MOTN。
 名勝負。
評価:****1/2

 

TNA世界王座戦-6ウェイ・エリミネーションマッチ
ムース(c)対フランキー・カザリアン対ジョシュ・アレキサンダー対ジョー・ヘンドリー対ニック・ネメス対スティーヴ・マクリン

 

 

 

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 新旧王者にトップコンテンダー揃いの6ウェイ。スタートから持ち技を惜しみなく打つ形でスポットを素早く回していく。大技や豪快なスポットも多く飛び出し飽きさせない。全員の見せ場を作った上で脱落シーンに移行。脱落シーンもプロテクトした上なので、そのシーン自体は豪快ながら、配慮が行き届いた丁寧な作り。

 マクリン脱落後は、ステージでの場外戦とテーブル葬を挟み、その後この試合の表の主役であるヘンドリーが現王者ムースを破り、新王者誕生は確定。マクリン脱落後からムース脱落まで、厚みを与えるために攻防数を増やしていたのは、良く言えば誰がいつ脱落するかわからない状況を生み出し、悪く言えば試合時間が20分を過ぎ少し間延びしてきていた為、もう少し何かアクセントがあっても良かった。そこからは一気に仕上げに。
 必殺技を狙ったヘンドリーに、ジョシュがなんとローブローを決めて脱落させる。この試合の裏の目的がここで明らかに。試合中にジョシュが何とヒールターン。人気者ヘンドリーを利用して、ここで本丸がまさかのターン。結局ニックに敗れて脱落してしまうものの、欠場から復帰後ストーリー待ちの状態だったジョシュに遂に大きな動きが。

 最後ニック×カザリアンの安定した攻防によるクライマックスも見応えはあるが、ジョシュのヒールターンによる衝撃の余韻が残っていたのは事実。新政権誕生とNXTを交えられる中で、ニック政権、ヒールとなったジョシュの動向が気になるところ。AJ登場のサプライズはなかったものの、まずは現有戦力に変化をもたらすことを優先。
 これで現NXT王者イーサン・ペイジとのThe NORTHが復活する流れなら1番ベストだが、そこまで辿り着けるかどうか。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:9+