AEW Dynamite #249 7/10/2024
オーエン・ハート・ファウンデーション・メンズ・トーナメント 2024 決勝
“ハングマン”アダム・ペイジ対ブライアン・ダニエルソン
これまでの同カードと異なるところはブライアンがフェイスでハングマンがヒール(より)である点。
ハングマンは、スワーブへの復讐にしか頭がない獰猛な殺し屋というキャラクターを忠実に遂行し、ブライアンはフルタイムレスラーとしてのラストランを飾る存在、支持を受ける者として流血も利用しつつ声援を引き出すヒーロー役。ストーリーや背景は利用しているが、あくまでも試合内容は硬派な潰し合い。
上述のブライアンの流血もあり、試合通してライバル同士の苛烈な死闘が展開されており、見応え十分。終盤に差し掛かるタイミングでは、ブライアンによるROH時代の特別な試合でしかやらないスプリングボード・サマーソルト・アタックも披露。鮮血姿で強敵ハングマンを相手に身体を震わせながら立ち向かっていく鬼気迫る姿は、これぞアメリカンドラゴンというべきもの。
トーナメントを通してストーリーに絡めていたJJが関与するシーンは最低限に留め、あくまでも主役はブライアン。ブライアンの凄みに全く引けを取らない今の闇堕ちハングマンも存在感を示していました。シチュエーションが変わっても完成度の高さは変わらない。見事な好勝負でした。
評価:****1/4
AEW Dynamite #250 7/17/2024
AEWインターナショナル王座戦
ウィル・オスプレイ(c)対MJF
まず、10分少々で完璧なストーリーテリングとアクションの数々を見せた完成度の高い内容。序盤で既に好勝負レベルは確保。
その中で、ハヤブサオマージュコスチュームのオスプレイがジュニア時代を彷彿とする様なハイフライングを連発し魅了。MJF、オスプレイ共に、お互いの得意な領域に入り込み続け、レスラースキルの高さを如何なく発揮する。MJFはアクション面でもオスプレイのレベルに対抗出来ることを示し、オスプレイはMJFの部位破壊に適切なダメージ表現を行い、試合をスケールアップさせる。
オスプレイのベストバウトの館に難なく入り込むMJFのポテンシャルを堪能出来るが、それを楽しめたのは25分位まで。
25分〜35分は仕切り直しの意味も込められた場外戦で時間を潰し、その後も攻防自体はハイレベル&ハードで、ニアフォール満載にテーブル葬と豪快なスポットも多数含まれている。ただ今回の試合においては、30分以降は蛇足。いくら凄い攻防を見せても試合全体のプラスにはならない。要するに60分試合をすることが目標となっていた。
クオリティを目指すなら30分で良い。それよりも60分近く行った試合というインパクトを求めた。デイヴ・メルツァーのレーティングにしか興味はないだろ?という挑発への回答でもある。(結局 ☆5 3/4を与えたメルツァー、オスプレイなら何でも良いので挑発は不発だったが)
蛇足となった時間も多い中、終わり良ければ全て良しという見方も出来たが、散々過激なことをやり尽くしてストーム・ドライバーだけ躊躇する演出からのチープショットで意味不明かつ後気味が悪いエンディング。MJFだからこそ画が持っていたが、死力を尽くした60分試合で行う幕引きではない。
名勝負やMOTYになり得るポテンシャルは示したが、他に優先すべきものを優先した影響もあり、トータルでいえば好勝負止まりでした。
評価:****1/4
全体評価:7+