世界のプロレス探検隊

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東京女子プロレス(TJPW) レビュー 2021 山下実優対荒井優希他 ~絶対王者対新人賞~

東京女子プロレス ダッシュ!滑走!名古屋Castle! 12/18/2021

山下実優対荒井優希

 SKEのお膝元愛知での激突。ミニライブを行ってからのダブルヘッダーの中、ライブ通りに華やかに行かないのがプロレス。まさに典型的なチャレンジマッチといった内容。山下の強烈な蹴りに、歯を食いしばりながら立ち向かう。

 この一点ではあるものの、荒井の表現力、表情作りの素晴らしさが際立つ素材の味を活かした内容となっている。攻めも蹴りで対抗出来る様にもなっており、伸びしろも十分。いつまで続けてくれるかわからない儚さも含めて、来年もしっかり追っていくべき選手である。平均的良試合。
評価:***1/4

 

 

 

東京女子プロレス Ameba presents 第8回東京プリンセスカップ 8/14/2021
準決勝
伊藤麻希対瑞希
 自信たっぷりに攻める伊藤の横綱感。リアクションだけだった時代はどこへやら、表情の豊かさは相変わらず優れているが、試合構築面、アクション面の向上が、表現力の高さを更に倍増させている。オーソドックスな試合構築だが、余計な事はせずとも基本技だけで成立させてしまう。
 この試合では、大会2連覇中、同ユニットだがずっと勝てずにいた瑞希相手というストーリー性もあったのは大きなポイント。今回は瑞希という絶対的ヒロインタイプの選手に対して、攻め要素を強めていて、それが嵌っていたのも大きなポイント。場外戦→場外マットを剥ぐ→防いだ後リングで攻防を行い、骨折した顔面を意識させるシーンを入れ、場外マットが剥がれている事を忘れさせる→その後、伊藤が反撃のキーとして場外マットへの投げに戻ってくる。ストーリーテリングを深めながら、同時に試合の強度も上げていく絶妙な手法を取っていたのが印象的。体格のハンデを補うスピード感とストーリーテリング、その一方で場外戦や顔面への攻め、高さを使う攻撃と特別な一戦らしい格式高さを示していく。

 決して派手な攻防や技は多くはないが、華やかさは備わっている。瑞希の切り返し、カウンター攻勢を凌いだ伊藤が、各種サブミッションで絞り上げる終盤。渦飴や丸め込み等の攻防を温存しても、それまで作り上げた勢いで走り切れる程の充実度がこの試合にはありました。

 無類の強さを誇るカップ戦ファイター瑞希を持ってしても、今の伊藤の勢いを跳ね返す事は出来ない。日本プロレス界屈指の存在感を誇る伊藤が、確実な実力を付けてしまえば、鬼に金棒である事が証明された一戦。このカードに残る伸びしろもまだあるので、しかるべきタイミングで組まれることになるでしょう。好勝負。
評価:****

 

東京女子プロレス Ameba presents 第8回東京プリンセスカップ決勝戦 8/15/2021
決勝戦
伊藤麻希対中島翔子
 越えられなかった壁瑞希を越えた後は、元王者団体のアイコン格の中島が待ち構える。伊藤への試練とばかりに、厳しい攻めを打ち続ける中島。瑞希戦と比べると大きなストーリーがないカードなので、攻防を積み上げていく形を選ぶ。中島の的確な攻撃が、伊藤を苦しめる展開。

 ただ、実力が劣る相手を押し上げるものではなく、伊藤のリアクション力の強さを引き出される形であり、その後に伊藤が説得力のある反撃を見せるので、充実のトップロスター対決に仕上がっている。

 危険技連発ではなく、得意技を積み重ねる事でボリュームを上げていく安心感も見所の一つ。連日の20分超えのロングマッチとなったが、異なる魅せ方で好勝負を作り上げるのは見事でした。好勝負。
評価:****