世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

WWE WrestleMania 37 Night1 Review サーシャ対ビアンカ他 ~Women's Revolution&Black Lives Matter Continues~

WWE WrestleMania 37 Night1 4/10/2021

WWE王座戦
ボビー・ラシュリー(c)(w/MVP)対ドリュー・マッキンタイア
 

 インパクトですか?というカードではあるが、ラシュリーが正当な評価を受けているのは嬉しい限り。もう全盛期のパワー押し、怪物性はないので、技術で試合を作るのがラシュリー。マッキンタイアもその辺は理解していて、場外戦、関節技や小技を絡めた一進一退の攻防で展開させていく。ニアフォール合戦にMVPの介入でまとめてみせ、絶対に外せないレッスルマニアのオープニングを外さないベテランの巧さが光った一戦。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

セス・ローリンズ対セザーロ
 

 タイラー・ブラック対クラウディオ・カスタニョーリ。
 基本は大技を軸とした構築。セザーロ・スイングをキーとして、元ROHらしい試合展開ではあるが、元ROHであることすら知らない人も多くなった中で、今こういう攻防ベースの試合をこの2人が行うと新鮮。セザーロは、セザーロ・スイング大回転に加え、スイス・デスやU.F.O、セスは自らの持ち技に加え、クリス・ヒーローのデス・ブロー、ロウ・キーの後頭部へのニールキックという元ROHメドレーから、ブレイク・クリスチャンが使っていた横捻り式ダイビング・スプラッシュを披露。見た事がない人も多いムーブを使用し、驚きを与えていた。

 彼らのインディ時代を覚えている人は、別にこれくらい朝飯前だろうとは思うが、セザーロがセスに勝つ結末も含めて、インディ時代を知らない人にとっては大きなサプライズとなった試合。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

バッド・バニー&ダミアン・プリースト対ザ・ミズ&ジョン・モリソン 

 モリソンの熟練のゲストマッチ対応が光り、プリーストの豪快な攻撃も見せ場を作ったが、なんと言ってもバッド・バニー。プリーストよりも登場時間が多く、技も受けて、孤立シーンまで担当するという単なるゲストを超える活躍は、グラミー賞ウィナーという地位やプロモーションとしての仕事を超えるプロレス愛を見せてくれた。非レスラーがインパクトを生み出せる攻撃は全てやっており、場外ダイブに場外でのカナディアン・デストロイヤーまでやってのけたのには驚愕。ここまでやってくれる世界的アーティストは今後現れないだろう。これぞレッスルマニア!というレベルを遥かに超えるエンターテイメントを見せてくれた。中々良い試合。
評価:***1/2

 

SD女子王座戦
サーシャ・バンクス(c)対ビアンカ・ブレアー
 ビアンカの試合前の感極まった表情が、この偉業の全てを物語る。しかしこの試合は、ビアンカの類稀なる素材を活かす、指揮者サーシャの巧さが光る内容。まずビアンカのパワーを活かせるサーシャの小柄な体格、それを引き立てる展開作り。他の誰でもなく相手を引き出す巧さを持つサーシャが選ばれた理由。ビアンカが場外でのリフトアップしたシーンで掴みは上々。それからパワー技+その場飛びSSPや450°スプラッシュといった飛び技と身体能力の高さを如何なく発揮。伸び伸び自分のポテンシャルを出してもらえれば、後はサーシャが試合全体の構築や味付けは正確に行ってくれるので、問題なし。

 サーシャも悲願のレッスルマニアのメイン、しかも有観客大会復活初日のメインで、相手が素材型のビアンカ、しかもベビーフェイス対決というプレッシャーがとことんかかる試合背景で外さなかったのは素晴らしい。ビアンカの長髪の使い方も、試合の結末に直結させるインパクトある使い方をしていたのが見事。

 演者とライターの演出全てが噛み合った見事なメインイベント。Women’s Revolution +Black Lives Matterという背景が強いからこそのカードではあるが、それがあるからメインになったのでしょ?という穿った見方をする者を結果で黙らせたのは賞賛に値する。好勝負。
評価:****

全体評価:9