世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

WWE WrestleMania 37 Night2 & Smackdown Review ローマン・レインズ対ダニエル・ブライアン他

WWE WrestleMania 37 Night2 4/11/2021

ケビン・オーウェンス対サミ・ゼイン(w/ローガン・ポール)
 

 元UFCのベン・アスクレンを倒した方ではない方。メガyoutuberポール兄弟のお兄さんローガン・ポールを絡めた試合だが、本当の兄弟よりも絆も憎しみも深い義兄弟というべきスティーネリコ対決は、やはりヌルさ一切なし。各種得意技オンパレードだけでなく、サミによるエプロンへの垂直落下式ブレーンバスターにマイケル・コール曰くブルー・サンダーボムらしいエグい角度のみちのくドライバーIIなど特別感はキープ。(マイケル・コール、ミスは多いわ技名は適当だわ、いつにも増して酷い出来、これでジョーをリリースするなんて冗談は勘弁してほしい。でも政治力の賜物ですね。)
 時間の制約があるならそれに合わせて詰め込みますよ。セレブリティのローガン・ポールがいようが、プロレスファンの聖域には入らせない。このカードに時間を与えたビンス含め裏方陣は英断でした。このカードはやはり特別。

 ノスタルジックさも備えながら、この2人が見せてくれたのは、凶器を使わない至高のハードコアマッチ。密度も疾走感も満点の大激戦。世界一のライバリティを誇るこのカードに、Youtuber如きが敵うわけがない。好勝負。
評価:****

 

バックステージでは、マット・リドルとRVDのマリファナ・ブラザーズが夢の共演!

 

WWE US王座戦
リドル(c)対シェイマス
ハードヒッター対決。短時間に激しさを詰め込んだ内容。好調シェイマスがリドルを上回るハードヒッティングの見せ場を作り出し、リドルもMMAの刀を抜く程の激闘に仕上がっている。インパクトの生み出し方が絶妙で、フィニッシュも豪快。

予想以上の好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

WWE RAW女子王座戦
アスカ(c)対リア・リプリー
 NXTではクイーンと化していたリアだが、ヒールではあるが、ダークヒーローという難しい立ち位置で、唯一無二のスタイルを持つアスカとの対戦に挑むという中々ハードなシチュエーション。リアも試合を作れるまでには仕上がっていないので、これで試合がつまらないから、すぐ王座剥奪させようとかいうネットニュースを流されるのは酷である。

 確かにアスカの独壇場ではあったが、相手を受けで引き立てられるサーシャを用意されたビアンカと、スタイルが打撃と関節技主体で、ドミネイトして試合が広がるタイプではないアスカでは比較にならない。むしろそつなく試合をまとめられた事が、成長を感じる大きな要素だろう。平均的良試合。
評価:***1/4

 

WWEユニバーサル王座戦-トリプル・スレットマッチ
ローマン・レインズ(c)(w/ポール・ヘイマン&ジェイ・ウーソ)対エッジ対ダニエル・ブライアン
 3ウェイにして、分かり切ったジェイの介入を合法にした点、ノーDQでハードコア度を強められる点、エッジのキャラクターを凶悪度高めにした点、唯一無二の人気と実力を誇るブライアンを入れてエンタメ性と試合の安定化を強めた点、当初はレインズ対エッジだったはずだが、昨年のオートン戦は収録だったこともあり、ライブでの大一番に不安がある中で、様々なテコ入れを行った結果、それらが全てプラスに作用した名勝負。

 WMの大トリに相応しいド派手な中に荒々しさやスピード感も多く含んでいて、全編通して魅了される内容。誰が勝つかわからないブッキングと試合展開もスリル感を生み出し、ライト層もマニアも楽しめる内容となっている。実況席破壊にスピアー乱れ飛び、更にブライアンと元タッグパートナーであるエッジのベノワオマージュは、この舞台に1番相応しい特別な演出で胸を打ち、クロスフェイスの攻防は、特にクライマックスのボリュームを増すのに一役買っていた。

 三者三様の大活躍を見せた後、仕上げは椅子攻撃祭り。そして頭部への椅子攻撃椅子が禁止されているWWEで、エッジがいるとは言え、ワンマン・コンチェアト解禁は近年でもトップクラスのサプライズ。レッスルマニア史に残る名勝負を締め括るに相応しい衝撃の幕引き。最高のメインイベントであり、今年を代表する試合。レインズの代表作の一つとして名を刻んだ一戦です。
評価:****1/2

 

全体評価:9.5

 

WWE Friday Night SmackDown #1132 4/30/2021
WWEユニバーサル王座戦(ブライアンは負けるとSD追放)
ローマン・レインズ(w/ポール・ヘイマン)対ダニエル・ブライアン
 TV放送ということもあってか、Fastlaneの試合のコンパクト版といった内容。ブライアンSD追放というストーリーはあっても、同時にレインズとセザーロとのストーリーが進行していて、尚且つブライアンのフルタイムレスラーとしての契約問題もありとますますレインズが負ける要素がなくなっていた為、割り切って内容勝負に。

 大したストーリーを用意出来ていないクリエイティブ&ライター陣の体たらくはさておき、レインズの色気と支配者としての圧倒的な立ち振る舞い、ブライアンの激しく燃え盛るような試合運び、無駄のない実にソリッドな攻防の連続、演者のレベルの高さで何とかしてしまう。自分達で完結出来てしまう権利を有しているトップ・スターは、実力さえあればどうにでもなる。CMによるカットが複数回あっても、熱量が落ちなかったのも素晴らしい。シナとパンクの手が物凄く合った様に、レインズとブライアンの手も物凄く合ったのも興味深い。

 今年を代表するストーリーの締めくくりとしては弱い結末ではあるものの、レインズがドミネイターとして改めて君臨する姿を示し幕。セザーロにバトンを引き継ぎ、ブライアンはお役御免。後はセザーロがどこまでやれるのか、レインズはいつベルトを落とすのか、そしてブライアンの次の行き先は? 好勝負。
評価:****