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WWE Crown Jewel 2021 Review "HIAC戦"エッジ対セス・ローリンズ他 ~Press the KILL SWITCH~

WWE Crown Jewel 2021 10/21/2021

 

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ヘル・イン・ア・セルマッチ
エッジ対セス・ローリンズ
 低調な特番の代名詞であるサウジ大会において、飾りではない、入魂のセル戦を見せられたら、サウジの大富豪や観衆も熱狂する他ない。相当内容を残す様に釘を刺されたのだろうと想像してしまう。また、コロナ禍での無観客、サンダードームを経て、どんな国でどんな観衆を前にしても、余り気にせず集中出来る術を覚えたのも大きいだろう。(真偽は別として、今大会の観衆は、実直に応援はしていた。)

 試合は、流血と椅子での頭部攻撃がないだけで、それ以外は4大大会級の内容特盛TLC戦。金網を使い、セル戦のセットアップを使った後は、TLCや鉄階段を活用し、武骨な攻防とセンスを活かした攻防や受けを高いレベルで融合させた内容。ハードコアな攻防連続の合間に、今や名前を言えなくなったエッジの盟友クリスチャン・ケイジの必殺技キルスイッチをセスが見舞うのもニヤリとさせる。セスがとことんハードバンプを志願し、試合運びもストーリーや遺恨戦という形を提示しながら、対するエッジがセル戦、TLC戦も多く経験があるハードコア巧者としての姿を如何なく発揮し、これでもかと相手を破壊していく。過去のセル戦を踏まえても、上位に入る内容に仕上げてきている。

 各種必殺技の攻防を経た後は、遺恨精算戦らしいストーリー仕立てなシーンが続き、試合で散々種を撒いた椅子の破片や鉄の棒を使用してのクロスフェイスに、チェーンを巻いた足でのスーパーキック連打と予想を裏切り続け、高みに到達し、最後は抗争激化の要因となったシーンでやり返し幕と、高所落下と流血がない以外は、これ以上このカードでやれることがもうないと思う程死力を尽くした激闘となっていた。

 大スター2人が、極上のハードコアな死闘を目指し、真摯に取り組んだ一戦は、舞台がサウジでなければもっと伝説的な試合として語り継がれるはずの内容。PG時代のセル戦では1番の出来といっても良い素晴らしい名勝負でした。
評価:****1/2

 

WWE王座戦
ビッグ・E(c)対ドリュー・マッキンタイア
 ドラフトが終了し、マッキンタイアもSDに移籍が決まっており、ベビーフェイス対決なので、WWEのベビーフェイス対決によくあるシンプルな一進一退の攻防が展開される。実力実績に勝るマッキンタイアがリードし、ビッグEを立てながら試合を進める。

 動ける人気ビッグマン対決とあって、迫力重視である一方、マッキンタイアの小技も効いており、隙のない試合展開となっている。ビッグEのビッグエンディングをマッキンタイアが返したのは予想通りだが、まさかビッグEにクレイモアを返させる特典を付けたのは予想外。ビッグEを本気でシングルのトップスターにしようとしている現れでしょう。がっぷり四つの真っ向勝負。レスラーの実力がストレートに現れた熱戦でした。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

WWE Smackdown女子王座戦-トリプル・スレットマッチ
ベッキー・リンチ(c)対ビアンカ・ブレアー対サーシャ・バンクス
 この試合もベッキーとビアンカはRAWに移るため、ストーリー的にはこれ以上の発展がない中で行われた為、技術勝負の試合。テーマはほぼないとはいえ、ビアンカの身体能力とスター性を軸にしながら、ベッキーとサーシャが調整を加えていく流れ。多人数戦においては、飛び道具に収まらず、1番のスターとして活躍しており、ベッキーやサーシャには出来ないスーパーアスリートの力をまざまざと見せつけた。ビアンカの2人を持ち上げる力技に、連鎖ムーブ、2人まとめて薙ぎ倒すムーブ等3ウェイらしい攻防をこれでもかと注ぎ込んだ濃密な内容となっており、それは往年のXディビジョンの様なものといっても良い程。

 カリスマヒールベッキーとカリスマフェイスビアンカの影に隠れたサーシャの立ち位置が難しいものの、技巧や献身性で貢献出来るのが見事。マンダロリアン出演やカーディBやミーガンを彷彿とさせる様なゴージャスな衣装が、いまいちプロレスに結び付きそうで、一部にしか評価を得ていないのがもどかしいけども、まだまだ健在である事は示していた。女子としては革新的な3ウェイでした。文句無しに好勝負。
評価:****1/4

 

WWEユニバーサル王座戦
ローマン・レインズ(c)(w/ポール・ヘイマン)対ブロック・レスナー
 悪の宣教師ポール・ヘイマンを取り合う2人の猛獣の物語。レスナーは、ベビーフェイスでも変わることはないので、いつものレインズ対レスナーの試合以上でも以下でもないが、色気ダダ漏れなヒールレインズの表現力を存分に楽しめる内容となっている。
必殺技を打ち合い、レフェリー失神でチャールズ・ロビンソンの名人芸を楽しみ、最後はウーソズ介入からフィニッシュ。次のSDで大暴れしたレスナーが出場停止を喰らった為、恐らくRR辺りで再戦でしょう。WMになるかはロック次第。平均的良試合。
評価:***1/4

 

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全体評価:9