世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

WWE Money In The Bank 2021 Review ローマン・レインズ対エッジ他 ~Fast & Furious 10: The Time is Now~

WWE Money In The Bank 2021 7/18/2021

 

ウィメンズ・マネー・イン・ザ・バンクマッチ
ニッキー・A.S.H対アスカ対ナタリア対タミーナ対リブ・モーガン対アレクサ・ブリス対ゼリーナ・ヴェガ対ナオミ
 各種ラダーを使ったスポットを取り入れながら、各々の得意技を打っていく形。この中ではアスカとナタリアが圧倒的実力者とはいえ、特殊形式ではその効力は発揮し切れないスタイルの選手。ラダー戦なら尚更なので、当然スケールアップしていかない。

 ニッキーの新キャラやモーガンの奮闘は印象的だが、そもそも、今のアレクサが、普通にプロレスをして、ラダーを登ってカバンを取ること自体意味がわからない程の魔力を持ってしまったので、余計な事は考えないでおこうとしても、違和感は残る。

 今から普通にレスリングをさせるのは、真人間に戻すストーリーを描かない限りは厳しい。元々上手い選手ではないので尚更。アイコニックスやルビーを切ったのは、こういう多人数戦の時に困る。それならせめて、昇格させたノックスとショッツィなら、ハードコアも得意なので、投入したかった所。
 いくら管理プロレスでも、アスカやナタリアでも、流石に限界がある。でも皆の人気者ニッキーが勝ったので、それだけでハッピーになれる。それでも終わりよければ全て良しとはいかないけども。
評価:**1/2

 

WWE王座戦
ボビー・ラシュリー(c)(w/MVP)対コフィ・キングストン
ほぼスカッシュ。改めてラシュリーを最強に設定して、スーパーファイトに備えさせる為の試合。そしてコフィは、レスナーの時もそうだったが、これを飲めるからこそ今の位置に居れる。

評価:*1/2

 

WWE RAW女子王座戦
リア・リプリー(c)対シャーロット・フレアー
 現世代新世代の女王対決。身体能力にもパワーにも優れ、トップ選手の風格を備える2人だが、リアは、使う技セットが、まだまだ基本技が多く、パワーで魅せることは出来るものの、インパクト面は、シャーロット頼みという印象。ということで、現代の女王シャーロットのハイフライング、雄叫びを上げながらの猛攻、鋭角なサブミッション、表情芸と、エディット女王リアに本物のクイーンたる所以を示した、レスリング界のビヨンセが、得意のブルドーザー芸で全てを飲み込んだ内容でした。。リアは、これを超えないと真の女王にはなれない。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

メンズ・マネー・イン・ザ・バンクマッチ
“キング”中邑真輔対セス・ローリンズ対リコシェ対ジョン・モリソン対ドリュー・マッキンタイア対ケビン・オーウェンス対リドル対ビッグ・E
 プロレス業界を制覇した天下人ばかりの超豪華MITBラダー戦。各々の特性を改めて紹介した後、リコシェの飛び技で度肝を抜き、マッキンタイアとビッグEがパワー技で、セスとモリソンは徒党を組みながら狡猾に、ハードバンプは、当然オーウェンス。中邑は分が悪いけれども、ラダーぶら下がり式腕十字やG2Sを解禁し、工夫は見えていた。リドルもスタイル的に厳しい部分はあるけれども、タッグを組んでいるオートンからRKOを拝借。オートンばりの乱れ打ちで一気に見せ場を作る。RKO使いとスタナー使いがいるので、展開を打開出来るのは素晴らしい。
 元王者マッキンの脱落させ方も悪くなく、その試合の変わり目を締め直す、リコシェのビッグダイブで更に爆発を誘う。世界最高の飛び道具リコシェの使い方と、世界最高のハードバンパー、オーウェンスのラダー受けの使い方が実に絶妙。

 疾走感が溢れ、スポット回しのバランスも良く、エンタメ性抜群だが、ハードコアマッチの激しさ、インパクトの強さをこの2人が補完したからこそ、この試合の完成度は上がった。大観衆が入ったお祭りに相応しい異常な盛り上がりの一戦。インディ辺りと比べると過激度は高くないが、面子の豪華さとその実力を存分に活かした完成度で殴り倒した好勝負。
評価:****1/4

 

WWEユニバーサル王座戦
ローマン・レインズ(c)(w/ポール・ヘイマン)対エッジ
 ゆったりとした前半から、次第にギアを上げていく形。ヒールとしてとにかく憎々しく進めるレインズと、ベビーフェイスとして観客の声援を引き出しながら、復帰してから身につけた獰猛性を両立させる働き。試合展開をじっくりと取るか、スローと取るかで評価が分かれるものの、ビッグファイトに、最初からファストペースでコツコツ加点を取る試合展開は、相応しくない。
 それでもエッジは、韻を踏みながらリズムを生み出す試合展開が元々持ち味で、レインズはビッグスターらしく逆転ホームランが出来る選手。中盤〜終盤で、序盤のゆったりした展開を確実に回収していたのがこの試合。アクションは勿論、表情の力で魅了出来るのも強い。
 終盤は、更にここぞとばかりに畳みかけ、レインズ十八番のバリケード破壊×2、レフェリー失神はチャールズ・ロビンソンの名人芸、あわや王者交代、第三者介入シーンは3段構成とシンプルながらこの上ない味付けを見せてくれたら大満足の好勝負。

 これぞWWE。やっぱり王道が一番。
 レインズ対エッジを、セス対エッジのストーリーにスムーズに移した後、待ってましたのジョン・シナの復帰のおまけ付き。本気のWWEは、やっぱり格別でした。
評価:****

 

全体評価:9