世界のプロレス探検隊

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東京女子プロレス(TJPW) 東京女子プロレス’22 レビュー 山下実優対瑞希/乃蒼ヒカリ対伊藤麻希

東京女子プロレス 東京女子プロレス’22 1/4/2022

 

インターナショナル・プリンセス選手権試合
乃蒼ヒカリ(c)対伊藤麻希
 ハードコアに開眼している乃蒼らしい椅子を使った攻防を入れてから中盤へ。王者は乃蒼だが、チャレンジマッチの様な雰囲気を作り出し、実際に格上感を保ったまま倒し切る伊藤の強さが光る内容。

 フィジカル、スキルで伊藤よりも凄い選手はいくらでもいるが、表情の豊かさから来る表現力、存在感、場の空気を掌握する力で伊藤に敵う選手は国内男女問わず殆どいない。その力をキープしながら、レスラーとしての実力を向上し続けているのも伊藤。成長し続け、メインロスターとして活躍している乃蒼を持ってしても打ち破るのは容易ではない。技も基本技が多いけれども、バリエーションや使い方を工夫する事で、物足りなさを感じさせない。ボストンクラブ関係でここまで沸かし切る選手は、クリス・ジェリコ位なものでしょう。

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 前回のシングルよりも格段に内容が良化したこの試合。伊藤を褒めちぎったけれども、乃蒼もタフマッチを多く経験してきているだけあり、試合の安定感は抜群。このビッグファイトにおいても、その成長具合を示していた。メインが素晴らしいものにならなければ、確実にメインを喰っていた試合。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合
山下実優(c)対瑞希
 絶対王者と今一番団体で勢いに乗る好勝負メーカー瑞希の対決。瑞希の様な小さく細い選手に、山下の強烈な蹴りは、一発でも必殺級となる。それを耐える事でドラマを生み出す展開も良くあるけれど、瑞希の様なキュートな絶対的にベビーフェイスとなるレスラーに対しては、蹴りでボコボコにするのは、可哀想となる確率も高く相性は悪い。それを中盤で察した山下が、得意のアティチュード・アジャストメントを多く使う事で対応。エプロンや雪崩式を放ち、投げで瑞希を追い詰めるアプローチをしたのは良く、瑞希もカウンター技が多い選手なので、攻防にも幅が出る。
 王者山下の機転に応えた瑞希も、受けだけではなく、攻めで充実感を出し続ける。攻めの充実感が増した事が、この躍進の要因であり、必殺の渦飴に留まらず、場外に寝ている山下へコーナートップからダイビング・フットスタンプと、拳王やKENTAばりの驚愕スポットを決める等、持てる全てを使い切る全力ファイトには心打たれる。

 瑞希の奮闘があるからこそ、スカルキック等の蹴りの破壊力が際立つ。全てを消し去る強さこそ山下の魅力。最後はポッピングシュガーラビットを仕留める必殺のクラッシュラビットヒートでフィニッシュ。山下対瑞希、このカードだからこそ出来る見事な内容。必見の激闘です。文句無しに好勝負。
評価:****1/4

 

全体評価:8.5