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東京女子プロレス(TJPW) 東京プリンセスカップ 2023 準決勝&決勝レビュー 山下実優対上福ゆき他

日本 女子プロレス

東京女子プロレス(TJPW) 東京プリンセスカップ 2023 8/12/2023

準決勝
山下実優対荒井優希

 


　アメリカ遠征を経て、圧倒的な攻が武器の選手ではなく、破壊力満点の蹴りを持ちながらも、向上したセルの技術を武器に、受け手として試合を広げる事が出来る様になった山下が、その技術を発揮し、荒井を押し上げる試合。威力十分の蹴り合いは非常に魅力的だが、それ以上に印象的なのは、荒井の表情作り。

　カメラの意識の仕方、展開に合わせた表現力のレベルの高さ。キャリア2年でこのレベルは、さすがトップアイドルというしかない。WWEではパフォーマンスセンターでみっちり仕込む様な事を既に出来てしまっているのが恐ろしい。

　後はアクション面が更に向上すれば文句無し。本人が続けるのであれば、1年以内でビッグマッチのメインイベンターに抜擢されても不思議ではない。

　好勝負に届かない良試合。
評価:＊＊＊3/4

 

準決勝
辰巳リカ対上福ゆき

 


　ラフを交えた部分破壊とサブミッションを武器に、全盛期更新し続ける狂乱のホワイトドラゴンに対して、長身でスレンダー、長い脚というモデル体型を最大限に活かしたスタイルの完成系に到達しつつある上福が躍動。

　出来ない事を無理にするのではなく、出来る事を最大限武器にする。クリス・ブルックスを彷彿とする様な執拗なオクトパス・ホールドにマット・カルドナの必殺技であるレディオ・サイレンス（飛びつきレッグ・ラリアット）と自身の魅力が1番映える持ち技を強化したクレバーさに、それでいてパワーもレベルアップし、マイナス面の底上げも成功している。そこに今回はアンダードッグの立ち位置の利点を活かし、試合を自分のものに塗り替えた。
　辰巳の強さ、コントロールの上手さがあってこそではあるものの、上福がここまでの躍進を見せたのは想定外。少しずつシングルレスラーとしてもレベルアップしているのは示していたが、急激な成長には驚き。間違いなく今トーナメントのシンデレラレディでしょう。説得力十分のジャイアントキリング。

　好勝負に届かない良試合。
評価:＊＊＊3/4

全体評価:7+

 

東京女子プロレス(TJPW) 東京プリンセスカップ 2023 8/13/2023


決勝戦
山下実優対上福ゆき

youtu.be


　渡辺、辰巳と白昼夢を連続で撃破し、勢いに乗る上福は、奇襲攻撃を選択。両者初優勝がかかるとはいえ、実績十分のエースに対し、勝ち目は限りなく低いだろうという雰囲気の中、何としてでも勝ちにいく姿を初手で見せ、何かが起きるかもしれないという雰囲気作りに成功。

　その後山下が主導権を握り返すものの、比較的早めに得意技を使っていき、出し惜しみせず攻めていく。特にオクトパス・ホールドの使い方が非常に効果的。
その上福相手に山下はチャレンジマッチモードではなく、引き出し全開のビッグマッチモードで応える。破壊力満点の蹴り技も惜しみなく放ち、改めて強さの象徴として君臨。

　上福はその猛攻に対し、気合いで立ち上がるばかりではなく、スカルキックをロープに逃れる様な彼女のキャラクターに合った返し方を最後まで見せていたのも印象的。耐えるシーンが多かったものの、攻撃パートでも辰巳戦同様に工夫を凝らしたダイナミックな攻撃を連発し、山下相手にも不足感を出さなかったのは見事。

　絶対的エース対上り調子のアンダードッグという構図の威力を最大限活かしながらも、勢いだけではない両者の魅力も存分に発揮。そして何よりも上福の進化が準決勝だけではないことを証明したのは非常に大きかった。非常にエモーショナルな好勝負でした。
評価:＊＊＊＊

全体評価:7.5