世界のプロレス探検隊

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祝来日! "Kick Demon"ジャナイ・カイ(Janai Kai)特集 ジャナイ・カイ対"スピードボール"マイク・ベイリー他

2023 ブレイクレスラー特集

#1 “Kick Demon” ジャナイ・カイ(Janai Kai)特集

 

 

 


We Are Wrestling (WAW) Welcome to the Bronx 11/4/2022
ジャナイ・カイ対”スピードボール"マイク・ベイリー

youtu.be


 同じテコンドーをバッグボーンに持つ両者のドリームマッチ。冒頭はテコンドーの華麗な足技を披露し、この試合のテーマを示した後は、ジャナイがベイリーに挑むチャレンジマッチである事を再提示。

 ジャナイの持てる全てを出し尽くすかの様なキャリアの中でもベストパフォーマンスを、全て受け止めた上で、必殺技を一切使わず、執拗なボストンクラブで返していくベイリーらしくない厳しく突き放す展開。

 得意の打撃を中心に据え、1発倒す覚悟のジャナイは、アンダードッグとして素晴らしい働きを見せ、それをコントロールし、リードしていくベイリーの安定感は、ジャナイの健闘を凌駕していく。手は合うだろうという予想を遥かに超える内容となっていったが、厳しいベイリーという新しい姿も新鮮。

 何回でも観たくなるテコンドー出身レスラー対決の激闘でした。好勝負。
評価:****

 

CFU(Combat Fights Unlimited) Shoot to Thrill 6/24/2021
決勝戦
マーシャ・スラモヴィッチ(w/ジュリアス・スモークス)対ジャナイ・カイ(w/Yoya)

iwtv.live


 UFCをもじった団体名とロゴ、とはいえ女子選手のみなので、実質はInvicta FCに近いコンセプトであるCFU。そのシュートスタイルトーナメントの決勝戦。オクタゴンではなく普通のケージでの試合。

 メインイベントは、UFCに倣い、3分5ラウンド制。テコンドー黒帯、ジャナイ・カイのセコンドには公私のパートナーであるYoya。そしてロシア生まれNY、ジョニー・ロッズ経由、日本Marvelous育ちの狂犬マーシャのセコンドには、ニューヨーク繋がりなのか、ROHの狂犬軍団ロットワイラーズなどでホミサイドやロウ・キーのセコンドにも付いていた、ジュリアス・スモークスが付く。

 1ラウンド目は、打撃中心。とはいえ簡単に受けて打ち合う真似はせず、カイもテコンドー仕込みの回転系のキック等は使わずに、カイはローキックとパンチを打ち分け、マーシャは、前に出ながらのパンチと前蹴りを多用。

 この時点でも、安易にグラウンドの攻防に行かず、今のUFCを意識した簡単に有効打が決まらない。テイクダウンに行って切られると、打撃を当てられて負ける。といった世界観で進めている。ただ、全く受けない訳ではなく、一定レベルで技は打ち合い、ダウンもありとあくまでもプロレスであるラインは崩していないのが良い。

 2ラウンド目以降は、打撃が効けば、グラウンドに持ち込む。マーシャが圧力を強めていくものの、カイも正確に対応。技を決めてばかりではなく、攻撃と防御、抵抗することを決して忘れない。グラウンドからサブミッションへの移行、脱出とコントロールの鬩ぎ合いが増えてくると、マーシャの攻めの多彩さが際立って来る。腕関節、足関節、首へのギロチンと追い詰めるにしても、同じ展開を作らないのは、単調にしない工夫である。

 4ラウンド目は、カイの打撃を封じにかかるマーシャと、体力の消耗を突いて、打撃を畳みかけるカイ。決定打までは許さないマーシャと、これぞ現代のシュートスタイルという考えられた内容。マット・リドルの様な大爆発、刹那的な名シーンこそ少ないけれども、UFCとシュートプロレスを良く研究していると感心する上、それを具現化出来るのも素晴らしい。
 レスラーとして発展途上な面は当然あるものの、インディにしか出来ない意欲作。
最後マーシャの猛攻を凌ぎ切ったカイが、必殺の旋回式ハイキック一閃でKO勝利。回転系の蹴りを温存して温存して、最後に決める。上手くズバリと決まるのは、プロレスだからこその面白さではある。
 2人がどういうレスラーであるか、得意なことは何か、個性をシュートスタイルの枠に落とし込み、それをUFC要素の強い、現代的にアップデートした一戦。UWFが生まれた国と、UWFは見ているだけだった国。

 そしてUFCという世界最大のMMA団体がある国の違いが現れた試合。どれが良いどれが悪いというものではなく、UWFらしさを求めると同じ試合内容になりがちな中で、シュートスタイルとは言っても、他とは異なるエッセンスを示した熱戦でした。後、シンプルにケージである事はかなり重要。業界期待のホープ同士が織りなす世界最先端のシュートスタイルマッチでした。

 好勝負。
評価:****

 

Mission Pro Wrestling(MPW) Play Hard, Hustle Harder 7/31/2021
サンダー・ロサ対ジャナイ・カイ

youtu.be


 MMA対テコンドー。カイは、ムエタイ的なコスチュームに変更したことにより、よりアピール力が強まった。実力的には強烈かつ多彩な蹴りを待つなど、かなり才能はあるものの、通常形式となるとまだまだ荒削り。

 団体のオーナーであるロサは、勝負に行く形ではなく、カイにやりたいようにやらせながら、要所をまとめる育成モードではあったが、カイに可能性を抱かせる事は、一定の成功は挙げていた。平均より上。
評価:***

 

Garden State Pro Wrestling Duality 1/15/2023
Garden State Pro タッグ王座トーナメント2回戦
Best Bros(駿河メイ&バリヤン・アッキ)対YoKai(ジャナイ・カイ&Yoya)

www.youtube.com

 完全なる陽のベストブロズに対し、黒のコスチュームで統一したYoKai。とはいってもヒールが合うタイプでもないので、リードはしつつも立ち位置としては、ニュートラル。団体のカラーやブッキング的にGarden Stateは、日本人偏重。

 ファンも日本人選手を見に来ている所がかなりあり、別に悪い事をしていなくても支持を得られないYoKaiが割を食っていた感はあるものの、男女対決を一切苦にしない男女コンビ対決らしい、同じ性別同士の対決に拘らない自由で楽しい攻防を展開。

 ストライカーのジャナイは、当てる的が大きいアッキの方が戦いやすい雰囲気はかなり感じたので、体格が劣る女子対決というのを日本遠征で学ぶ事ができれば、更なるキャリアアップを見込めるでしょう。

 そしてベストブロズのキャラクター、動き、連携力は、米インディレベルではズバ抜けている。アメリカの賞レースに入ってきてもおかしくない活躍を見せている。

 中々良い試合。
評価:***1/2