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Pro-Wrestling EVE Lucky 13 - All Hail The Queens Night 1 Review "30分アイアンウーマンマッチ"山下実優対ミリー・マッケンジー

Pro-Wrestling EVE Lucky 13 - All Hail The Queens Night 1 5/5/2023
Pro-Wrestling EVE王座戦-30分アイアンウーマンマッチ
山下実優(c)対ミリー・マッケンジー

MEMBERS ONLY: EVE 104: Iron Woman Match Miyu Yamashita vs Millie McKenzie + Billie Starkz & More - YouTube

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(※山下対ミリー他後半戦は、EVEのyoutubeチャンネルのメンバー登録すると視聴可能です。月額1,180円です。)


 冒頭5分はグラウンドの攻防。当然技術を示すものではあるものの、特に腕を極めたり、押さえ込みを行う際のミリーの力の入れ方が素晴らしい。レスリングが出来る選手ではあったが、武器になるレベルにまで向上したのは強い。

 その後ジャーマンSHでまずミリーが先取。その後、場外戦ではローマン・レインズばりの必殺スピアーを見舞い、主導権を握る。かつては受けて受けて盛り返すことが多かったシンデレラガールミリーが、厳しい表情で試合を支配する一方、日本では得意の蹴りで相手を蹂躙するスタイルが持ち味の山下が、支配される役割となり、苦しい表情を見せることで、ダメージを的確に表現していく。お互いにかつての立ち位置ではあり得なかった所を示す事で、進化した姿を表していく。

 山下が顔面を撃ち抜く蹴りを決めてタイに戻し、そのまま支配ターンへ。わかりやすく凄い攻防はなかったが、一定のレベルは保ったまま、攻防を積み重ねていく形。蹴りを使いつつ、グラウンドで体力を奪う理詰めの攻めとなったが、両者の表現力の向上により、自然と試合がスケールアップしていくのが良い。

 残り10分となっても山下の攻勢は続き、顔面に蹴りを受けたミリーが額から大流血。そのまま必殺級の得意技を受け続け、グロッキー状態となる中で、ポイントを奪い合い、クライマックスへ。

 日本ならばエプロンでの攻防や激しい攻防を連発してボリュームアップするはずだが、アメリカで修練を続けた山下は、ボディランゲージも説得的に使いわかりやすさを追求。スカルキックのみならず最終奥義クラッシュラビットヒートまで解禁し、ミリーを突き放す。

 山下の猛攻とミリーのダメージ表現+大流血が、自然と特別な試合に昇華させる。アメリカンプロレス的攻防がメインの海外仕様とはいえ、決して派手に着飾った内容ではなく、己の能力のみで競い合う硬派な内容となっている。今のこの2人が個人レベルで出来る事学んだ事を全て注ぎ込んだ内容。

 4-3というカウント数は非常に難しいので、カウント数を抑える、凶器を加える、レフェリー失神を加えるといったブッキング面を動かせば、もっと凄い試合になったかもしれない。しかし、ここまで手を重ねても天井知らずなので、まだまだ伸びしろは十分。このカードは、互いの代名詞となるもので、まさに永遠の好敵手といっても過言ではない。素晴らしいプロレスリングマッチでした。好勝負。
評価:****

 

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