世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Review 2021 ダービー・アリン対ジョン・シルバー他 ~For the Brodie~

AEW Dynamite #78 3/24/2021
AEW世界王座エリミネーター・マッチ
ケニー・オメガ対マット・サイダル(w/マイク・サイダル)
 サイダルは良い働きをしていたが、ROHやドラゲー時代と余り変わっていない。コンディションをキープしていたのは素晴らしいけれども、昔もこれくらいやっていて、良くも悪くもずっと変わらないという印象。

 この試合は、サイダルの特性を理解して、最適解を見せたケニーのコントロールの素晴らしさが光る。DDTや全日本の時の様な小馬鹿にしつつドミネイトするヒールスタイルで、新日本の時よりも物量押しは少なめ。それでいてもサイダルの軽快な動きの後に、必ず重々しい締める攻撃を加えることで、確実な土台を作り、終盤のニアフォールの応酬が非常に活きる要因となった。ケニーの良さが全開に出た熱戦。

好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

ルチャ・ブラザーズ(ペンタ・エル・セロ・ミエド&レイ・フェニックス)&ラレド・キッド対ヤング・バックス(マット&ニック・ジャクソン)&ブランドン・カトラー

 バックスとカトラーというPWGファンには堪らない特別なトリオ。(レフェリーも当然リック・ノックス)エリートよりも歴史がある組み合わせである。そこにルチャ・ブロズにラレド・キッドと間違いない組み合わせ。

 中盤はTVマッチらしく簡素ではあったが、それ以外は褒めるシーンばかり。リング内外権利有り無しにかかわらず縦横無尽に動き回る、立体的な攻防連発の派手な攻防が続く。抜擢となったカトラーにもスポットが当たり、そのスポットも満点の出来で応えるのも見事。これぞPWGといいたくなるド派手な内容は見応え十分。理屈は要らない。Don't think feelな良試合。

 試合後のプロモも、エリート完全分裂を示すものでターニングポイントとなるでしょう。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

AEW TNT王座戦
ダービー・アリン(c)対ジョン・シルバー(w/ダーク・オーダー)

 ブロディ・リーがAEWデビューを飾って丸一年が経つこの時期に、アリンがダーク・オーダーのメンバーを指名したオープンチャレンジ。それに応えたのはユニットきっての人気者となったジョン・シルバー。確かに実力者ではあるが、登場当初はジョバーであり、WWEでは確実にレスラーとしては扱っては貰えないサイズの小ささであるシルバーが、メジャー団体の全米TV放送のメインイベントに出る事が出来るとは。CHIKARA、PWG、CZW、Beyondと彼の歴史も見てきた身としては、本当に感慨深い。

 序盤は硬さがあり、結果的にシルバーが怪我をしてしまった場外戦などもあったものの、中盤戦以降はシルバーのパワームーブが飛び出す様になり、アリンのスタイルも光る様になる。一進一退の攻防、ニアフォール連発であわやシルバー王座戴冠という所まで持っていきながら、ダーク・オーダーの面々やスティングまで登場し、脇をしっかり固めて、特別感を示す演出は見事。レフェリーがプライスで、ダーク・オーダーの面々が応援する形は、まさにCHIKARA的な演出なのも憎い。そこにコフィンドロップで突っ込むアリンも流石の一言。

 放送終了が迫るギリギリの展開ではあったが、何とかスリル感は損なわずやり切った。アリンとスティングがシルバーを認めた感動的なシーンから、試合後のマット・ハーディ軍団の介入からの乱闘も見事であった。
 すっかり団体のエースの1人となったアリンは風格がますます出てきて、対するシルバーも確実に団体のポジションを獲得した。実力者とはいえ、メジャー団体、TVプロレスの王道からは逸脱した存在同士の組み合わせであるダービー・アリン対ジョン・シルバーでこんな素晴らしい画が作れるとは天晴れとしか言うしかない。中々良い試合。
評価:***1/2

全体評価:8

 

AEW Dark: Elevation #2 3/22/2021

イーサン・ペイジ対アラン・”5”・エンジェルス
 エンジェルスの小気味良さを活かしながら、要所でイーサンがきっちり締める展開。本線ではなくても、これ位はやれますよと更なるプッシュを期待したくなる試合。エンジェルスも成長していて、若手縛り系のベルトやクルーザー級のベルトを与えたい選手ではある。平均的良試合。
評価:***1/4