世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Review 2021 Rampage初回放送 "インパクト世界王座戦" ケニー・オメガ対クリスチャン・ケイジ

AEW Dynamite #98 8/11/2021

 

www.fite.tv


ジ・エリート(ケニー・オメガ、マット&ニック・ジャクソン)(w/ブランドン・カトラー&MTナカザワ)対ダンテ・マーティン&サイダル・ブラザーズ(マット&マイク・サイダル)

 エリートがマット・サイダルをオーバーさせる試合かと思いきや、実は20歳の新鋭ハイフライヤー、ダンテがオーバーした試合。サイダル兄弟とエリートの絡みは、サイダル兄弟の良さが如何無く発揮された高値安定のものだったが、その後に更に物凄いダンテのハイフライングが繰り出されると楽しくない訳ない。

 トリオスマッチとしての完成度は当然高く、その上でダンテの超人ムーブ連発で度肝を抜く。軽いアクションで終わらせず、ダンテの潜在能力を見せつける試合構成になっていたのは、AEWならでは。
 吉野正人オマージュであるマット・サイダルのトルベジーノもあるなど、サイダル組全員が持ち味を出し切った良試合。この試合後の、エリートとクリスチャン&JEのプロモも、試合に負けず劣らず、実に見応え十分でした。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 全体評価:7+ 

AEW Rampage #1 8/13/2021

 

www.fite.tv

 

Impact Wrestling世界王座戦
ケニー・オメガ(c)(w/ドン・キャリス)対クリスチャン・ケイジ
 

 ランペイジ初回放送のオープニングは、カナダ人スター同士のドリームマッチ。
 この翌日にAAAトリブレマニアのアンドラーデ戦を控えるケニーだが、この試合はクリスチャンに合わせたWWE的オーソドックスなTVプロレス。ビッグマッチを数多く行い、それこそジェリコとの抗争もあった程で、この手の試合構築もすっかりお手の物。

 クリスチャンが輝く最高の瞬間が来る前まで、懸命にサポート。このドリームマッチを引き立てる様な余計な味付けが、一切ない試合展開だったのは見事。一進一退と数個の切り返しにニアフォールとまさにシンプル・イズ・ザ・ベスト。

 物量押し、得意技フルコンボパターンだと、ケニーの得意技セットとクリスチャンの得意技セットの数、ダメージ量のバランスが合わなくなる中で、元々使う技が少ないクリスチャンはそのままに、ケニーが使う技を絞る事で調整。そしてキルスイッチ一発ではあっけなさが残り、ケニーの格に傷がつく、連発だと逆にクリスチャンの格に傷がつき、試合の世界観が崩れる中で、レフェリーのブラインドを突いた椅子へのキルスイッチ(このケニーの受けは、キルスイッチ受け史上No.1)で豪快に締める。

 そこには、対サミ戦の様なキャリスの介入、対ムース戦の様なバックスの登場、それを切り抜けての大逆転と、キャリスとバックスが幾度となく介入して防衛し続けてきた積み重ねが効いた結末であったのも相乗効果を生み出している。

 

 そして何よりも地球上でAEWでしか実現出来ない画を見せる事が出来たのが素晴らしい。感動的かつ過度な庇護がなく、老いたレジェンド、エッジの相棒としてのバーター起用ではなく、クリスチャン・ケイジというファンも業界人も皆が大好きな一流レスラーが、現役バリバリの状態で、トップレスラーとしてカムバックした事が素晴らしい。  

 それがかつて頂点を極めた団体TNAが名前を変えたインパクト・レスリングのベルトというのも面白い。あり得ない事が現実となった。試合自体は好勝負ではあるものの、単純なクオリティを超える印象的な名場面、団体史、プロレス史に残る試合となりました。ピープスは勿論、WWEファンを含むアメリカンプロレスファンは歓喜必至。

好勝負。

評価:****

 

 

 

そしてこの王座交代劇の後、クリスチャンがインパクトのTVテーピングに参加し、来週の特番『Emergence』にも登場し、ブライアン・マイヤースとの王座戦に挑むという流れも実に迅速かつ見事な流れ。エッジの唯一無二の相棒と、エッジヘッズとしてエッジの子分として活躍したマイヤースのドリームマッチは実に見たい。ある意味インパクトファンAEWファンよりもWWEファンの方が気になるカードでしょう。

 

 AEW世界女子王座戦
Dr.ブリット・ベイカーD.M.D(c)(w/レベル)対レッド・ベルベット

 ベイカーの地元ピッツバーグでの王座戦ということで、ヒールの試合運びはするものの、常に歓声が上がるので、やりづらさはある。とはいえ、ベイカーもベルベットもフェイスヒールどちらでも対応出来る様に、フレキシブルな試合構築をしていて、尚且つベルベットの予想以上の奮闘もあり、メインとして形にはなっていた。まだ発展途上とはいえ、ベルベットは、ルックス、自己アピール力も備わっているので、実際は生え抜きではなく、インディ上がりではあるものの、AEWが育てたレスラーとして良い位置に行けそう。
 試合後は、ベイカーの追撃、スタットランダーの助太刀、そしてサプライズとなったジェイミー・ヘイターの登場があり、ヘイターを用心棒に据えたベイカーが明確なヒールに戻り、スタットランダーとの抗争に入る形となっていく模様。平均的良試合。
評価:***1/4

全体評価:7.5+