世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

新日本プロレス Windy City Riot 2024 Review 海野翔太対ジャック・ペリー/内藤哲也対ジョン・モクスリー他

新日本プロレス(NJPW) Windy City Riot 2024 4/12/2024

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NJPW STRONG女子選手権試合
ステファニー・バッケル(c)対AZM

 


 AZMのスピードに付いていき、そこにパワーでも圧倒して行くバッケルの末恐ろしさを実感出来る試合。

 ハイスピードの申し子の1人AZMもアメリカマットに順応出来ているセンスの良さを発揮しており、普通ならAZMやっぱり凄い!という印象になるのだが、それ以上にバッケルのパワフルさ、巧さが余りにもインパクト満点のため、AZMの輝きを凌駕するクールな輝きを放っている。

 ルチャリブレとアメリカンプロレスを上手く自分なりの解釈でミックスさせ、どの角度でも隙のない試合運びで圧倒したバッケル。この素晴らしい輝きを見れば、どの団体も確実に大金を出して獲得したくなる。今もなお進化し続けるバッケルの脅威を堪能出来た好勝負。
評価:****

 

海野翔太対”スケープゴート”ジャック・ペリー

 


 CMパンク騒動から当時のビデオ公開と、「WWEの息がかかった」ご意見番たちからバッシングに次ぐバッシングを受ける業界最大のヒール、ジャック・ペリー。長い謹慎を経ても見捨てることのない最愛の彼女アナ・ジェイや、大会を見に来たAEWオーナートニー・カーンが見守り、そしてCMバンク生誕の地シカゴでブーイングを受けながらも、”Scapegoat” Tシャツを完売させた勢いのままキャリアベスト級の活躍を残した一戦。

「Cry Me A River」ジャケットを着用し登場。演出にも力を入れつつ、シカゴの観客を焚きつけに焚きつけ、最高の空間を作り上げる。同い年でライバルになり得る存在の海野と小気味良く非常にスイングした攻防を見せる一方、とにかく煽るペリーに負けじと海野もペリーを小馬鹿にするアピールを行うことで、ペリーの独壇場にさせなかったのは見事。今ペリーがどういう状況に置かれているかを把握した上で、その流れを利用し、自らの支持にも変えてみせたのは大したもの。逆境を力に変えたペリーと、逆境の渦中にいる相手と対峙する難しい状況を乗り越えた海野。

 2人の若武者が、本当の意味で業界に無視できない存在として名を刻んだキャリアメイキングマッチ。単純なクオリティだけなら海野ならオスプレイ戦、ペリーならMJF戦やクリスチャン戦などの素晴らしい試合を残しているが、確実に彼らの代名詞になった一戦。

 TKのビデオ公開は非難轟々だったが、結果的にWMの大成功を掻き消す起死回生の一撃となったのは、この2人に救われたといっても良いでしょう。ペリーは決して首を切らなかったボスに報いることが出来たといいでしょう。AEWへの帰還も非常に楽しみである。

 文句無しに好勝負。
評価:****1/4

 


NJPW WORLD認定TV選手権試合
マット・リドル(c)対ザック・セイバーJr.

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 元UFCリドルをサブミッションで封殺するザック。EVOLVE時代もそうだったが、今宵もリドルを圧倒。リドルも歳を重ね、WWEを経験し、インディ時代の圧倒的な攻めは見られなくなった一方、グラウンド力は錆びていないため、ザックの様な選手の方が持ち味を発揮出来そうと思っていたが、それが確信に変わった試合。

 ザックはヘビー級としてもパワーアップも果たしているため、パワーでも圧倒出来る。今のザックの充実度の高さは、かつてほどのコンディションにないリドルであっても輝きを甦らせることが出来るほど。他のカードにはないシューター対決というのも、大会に幅を持たせるには最適でした。
 好勝負。
評価:****

ニック・ネメス対石井智宏
 互いの土俵に少し踏み込みながら、ハードヒッティング風味のアメリカンプロレスへと混ざり合って行く試合。タイプもスタイルも違う選手ながらベテランらしくバランスを崩さずにそつなくまとめていく。これぞ仕事人というべきマッチアップでした。
 まあまあ良い試合。
評価:***1/2

 

IWGP世界ヘビー級選手権試合
内藤哲也(c)対ジョン・モクスリー

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 相性的には決して良いタイプではなく、ストーリーとしても濃い内容のものを紡げる相性はない両者だが、トップスターらしく互いの持ち味を出し合いながら、メインイベントらしいスケールを保ち展開していく。大流血に引っ張られがちだが、絶妙なカウンターやサブミッションの数々、狂犬要素は当然残しながらもよりシューター度も高めていくことで、プロレスラー・モクスリーを確立させ、ハードコアがなくともトップを取れる存在である事を改めて表現。
 モクスリーがどう考えても主役になる流れで、スタイル的にも自らの良さを最高に引き出してくれる相手ではない難しい状況の中、メインイベントを仕上げ切った内藤も大人の対応。ヒール要素も打ち出せない環境の中、黒子とまではいかないが、強い壁であり続けたのは見事でした。

 これでモクスリーは、WWE王座、AEW世界王座、そしてIWGPヘビー級王座を保持したことのある初めてのレスラーに輝く偉業を達成。まさにHistory Makerです。

 好勝負。
評価:****

全体評価:10