世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

WWE NXT Review 2023 イリア・ドラグノフ対カーメロ・ヘイズ/ダイジャック対エディ・ソープ他

WWE NXT #704 - Halloween Havoc 2023 Week 1 10/24/2023
WWE NXT女子王座戦
ベッキー・リンチ(c)対ライラ・ヴァルキリア

youtu.be

youtu.be


 アイルランド出身レスラー同士の激突。
ベッキーが同郷の後輩に胸を貸し、トーチを渡していくクールでありながらも熱い試合展開。
 序盤は噛み合わせが上手くいかなかったが、ライラのまさにギロチンというべきレッグドロップを皮切りに試合は好転。フェイス対決でライラを押し上げるのが最優先の為、ベッキーは、徹底的に淡々と試合を進めていく。その為、ライラのスターパワーが不足していて、フェイスとしての未完成さが映ってしまう。

 しかし、それも含めて貴重な経験。試合が進んでいくにつれて、ライラのキビキビとした動きの魅力が出る様になり、プロスペクトたる所以を示していた。ベッキーが黒子に徹し、同郷の後輩の晴れ舞台を演出。フルタイムとしての時間が限られているからこそ今実現したかったクオリティ以上に意義の感じられる一戦でした。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

WWE NXT #705 - Halloween Havoc 2023 Week 2 10/31/2023
テーブルズ、ラダーズ&スケアーズマッチ
クリード・ブラザーズ(ジュリアス&ブルータス・クリード)(w/アイヴィー・ナイル)対エンジェル・ガルザ&フンベルト・カリーヨ

youtu.be


 Scaresとなっているが、結局椅子を使うので、実質TLC。決着方法がビンフォールの為、徹底的にTLCを使った潰し合いに。テーブル葬複数回に椅子越しではあるが顔面椅子攻撃、様々な凶器攻撃の間にハイフライングや連携技を織り交ぜていく展開。

 決して長い試合ではないが、身体能力の高い両チームの良さが存分に発揮されており、そこに凶器も交ざれば相乗効果を起こす。非常に楽しめるハードコア戦でした。
 好勝負。
評価:****

 

WWE NXT王座戦
イリア・ドラグノフ(c)対カーメロ・ヘイズ

youtu.be


 数え歌の3戦目。

 カーメロもヒールターンの予兆があるだけに、試合で変にストーリーを紡がずに、アクションに振り切り、好敵手イリアと激しく疾走感溢れる攻防を披露。浮遊感だけでなく切れ味の鋭さを強め、イリアの攻撃に対しては迎撃式のカウンターを多用する事でインパクトを生み出す。

 イリアもさすがのハードヒッティングと表現力で貫禄を示す。フィニッシュはトリック絡みとなったが、十二分に数え歌の価値を示した好勝負でした。
評価:****

全体評価:7.5+

 

WWE NXT #709 11/28/2023
#1コンテンダー・マッチ(NXTノース・アメリカン王座)-フェイタル・4ウェイ
ウェス・リー対キャメロン・グライムス対ジョニー・ガルガーノ対ブロンソン・リード

youtu.be


 王者ドミニクに挑戦したいウェスに課せられた最終関門は、かつての北米王者達との4ウェイマッチ。
 ドミネイターとなる巨漢のリードが破壊者として据えられながら、リードを排除している間に勝負を決めるべく、目まぐるしい攻防を行う残りの3人。

 しかし、リードも単なるドミネイターではなく、インディ叩き上げの技巧も使える選手。リードだからこその複数人交えた攻防も披露。よりインディ要素の強い目まぐるしく、独創性に満ち溢れた試合内容となっており、シングルプッシュを果たしてメインロスターへの道を切り拓こうとするウェス、一軍でスポットを掴めそうで掴めきれずにいる残りの3人、全員が得をする濃密な熱戦となっていた。

 完成度の高い4ウェイでした。文句無しに好勝負。
評価:****1/4

 

WWE NXT #713 12/26/2023
NXTアンダーグラウンドマッチ
ダイジャック対エディ・ソープ

youtu.be


 反則なし&ノーロープで、KOかギブアップが勝利条件のNXT Undergroundルール。

 コスチュームやキャラクターは違っても、LA道場卒業生のタフな経験をスタイルに反映させることが出来ている元カール・フレドリックスことエディ・ソープが、派手なコスチュームや外見とは打って変わって、堅い攻撃も披露してダイジャックを攻め立てる。ダイジャックも体格を活かした豪快な攻撃で存在感を示す。

 Undergroundルールということで、シュートスタイルやハードコアの要素を織り交ぜながら、あえて綺麗にせずにカオス感を残す試合展開もアングラな世界観とマッチしている。

 クライマックスにかけても、場外を活用した上で、実況席破壊で更に畳み掛ける。ダイジャックの格はキープしつつも、ソープのフィニッシャーであるマニフェスト・デスティニーいわゆるインペイラーDDT。単体で見れば格上を倒すには少し弱いが、3発、しかも場外での一撃、スリーパーで絞めてからの実況席葬と組み合わせば、説得力も上積み出来る。その辺りの上手さは、カオスを生み出しても、WWEの管理プロレスらしい巧さが発揮されている。

 両者の持ち味をこの形式に絶妙に落とし込んで描き切った逸品です。好勝負。
評価:****