世界のプロレス探検隊

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WWE NXT No Mercy 2023 Review "エクストリーム戦"ベッキー・リンチ対ティファニー・ストラットン/カーメロ・ヘイズ対イリア・ドラグノフ

WWE NXT No Mercy 2023 9/30/2023

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WWE NXT王座戦
カーメロ・ヘイズ(c)対イリア・ドラグノフ

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 前回の戦いでも素晴らしい試合を残した両雄の再戦。身体能力の限りを尽くしたハードヒッティングは更にアップグレード。イリアがスターとしての振る舞いに磨きをかけていることで、単なるドミネイトであっても一段上の見え方になっている。 

 結果的に王者移動となることもあり、これまでよりはカーメロがイリアを引き立たせて、バトンを渡すポジションにシフトしているが、華麗な攻撃が信条のファイトスタイルであるカーメロでそれを上手く出来ているのだから、カーメロもメインロスターへ向けて更に前進したといっても良い。

 このカードの1番の魅力といっても良い迎撃技を決めた時の美しさ、激しさは健在。その上でトルペト・モスクワやナッシング・バット・ネットといった各々の必殺技に至るシークエンスを使わずとも、通常の得意技中心に盛り上がりを生み続け、勝機を掴んだイリアが彼らしい怒涛の波状攻撃を仕掛け、近頃はメインフィニッシャーとなっているHボム(ダイビング・フォーアーム)でフィニッシュ。

 最高の形でバトンを渡すことに成功した名勝負でした。
評価:****1/2

 

WWE NXT女子王座戦-エクストリーム・ルールズ
ベッキー・リンチ(c)対ティファニー・ストラットン

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 そんな大激戦となったセミを塗り替える様な激闘を残したのが今回のメイン。王座交代となった前回の戦いでは、ベッキーここにありと、トッププロスペクトティファニーの潜在能力が極限にまで引き出された試合となったが、今回はハードコア。特殊形式でも同じ様に結果を残さなければいけないのがWWE。そのテストといっても良い。ベッキーはそれをするには最高の相手。

 TLC、HIACといった数多くの特殊形式で結果と内容を残してきた猛者だけあり、まずは場外戦、アリーナでの戦いで余裕綽々の戦いぶりでティファニーを圧倒。こめかみを流血したのはアクシデントなのかは不明だが、結果的に決闘感を演出出来たのは大きなポイント。
 WWEなので過激化出来ないこと、女子選手の軽さでインパクトはどうしても男子よりは不足してしまう中で、スポット量の多さ、質の高さ、疾走感の高さ、展開力の豊かさでカバーすることで加点を生み出す。

 試合はベッキーがリードし、ビッグスポットはティファニーの身体能力をハードコアに応用させて披露させていく適材適所で魅せていく。画鋲やレゴではなく、バービー人形をリングに巻く小ネタもWWEならではと激しさと楽しさを織り交ぜていく内容は、NXTの自由度を備えながら、メインロスターのスケールも保持されている。

 バリケード破壊、ティファニーの場外テーブルへのスワントーンに椅子盛りへの攻撃とあえてタメを作らずに畳み込んだのも非常に考え尽くされている。この組み合わせ、この内容に合ったクライマックスで絶妙。演者と裏方の意図がピッタリ噛み合った大熱戦。

 ベッキーが団体の現世代のアイコンたる貫禄を示し、ティファニーはメインロスターへのポールポジションを確実な物にした。素晴らしいセミを塗り替える素晴らしいメインイベントでした。名勝負。
評価:****1/2

 

全体評価:8