AEW Dynamite #193 6/14/2023
AEW世界王座エリミネーター・マッチ
MJF(c)対アダム・コール
ある意味アダム・コールはかつての自分と戦っていた錯覚を覚えたかもしれない。ROH世界王座とPWG世界王座を両方保持していた時のイケイケの時代。事あるごとにコールがNXTの時に指導を受けた敬愛するショーン・マイケルズを引き合いに出すMJF。
最初から最後までHBKを意識した動きや攻撃をこれでもかと披露する中、それだけには一切付き合わないコールの徹底ぶりも見応えあり。MJFの方法論の素晴らしい所は認め、思う存分やらせるけども、自分は業界の天下を取ったWWE NXT時代を経て、技数は少なく、余計なアピールは控え、よりソリッドに、スーパースターである事を誇示。フィジカル面では大怪我を経て、MJFと比べても小ささは目立つとはいえ、フェイスでも活躍出来る事を示した。
MJFも出所が同じ、インディ上がりからメジャー団体でスターになった小悪党ヒールとテクニカルな面が魅力のレスラーという共通項を持つコールを相手に、コールの良さやこれまでの実績を最大限リスペクトした配慮を存分に示していた。実況席破壊、レフェリー失神にズルして頂き未遂と演出面も盛りだくさん。
AEWの魅力とNXT Black and Gold時代の魅力を兼ね揃えた名勝負でした。勢いに乗るMJFが、コールの再始動に向かうキャリアのギアを加速させる役割を果たし、見逃せない抗争に昇華させた試合です。
名勝負。
評価:****1/2
ジ・エリート(“ハングマン”アダム・ペイジ、マット&ニック・ジャクソン)対ブラックプール・コンバット・クラブ(ジョン・モクスリー、クラウディオ・カスタニョーリ&ウィーラー・ユータ)
場外でもリング内でも鋭く暴力の限りを尽くすBCCが相手では、バックスといえども余裕は消える。ユータが全くウィークポイントにならない恐ろしさ。とはいえかつてとは異なり、ハングマンが業界屈指の大スターになっている為、すっかりトリオの中でもエース格。今のエリートは、ケニーとハングマンが2トップになっていく最終進化版。ここに飯伏が入れば、全方面で無敵となるでしょう。
11分の中に、激しさとテクニカルが詰まっており、トリオとしてもタッグとしても個々としてもレベルの高い攻防を連発。抗争の通過点に過ぎない一戦とは思えない高いクオリティを誇る一戦でした。文句無しに好勝負。
評価:****1/4
全体評価:8.5
AEW Dynamite #195 6/28/2023
ジョン・モクスリー対石井智宏
Forbidden Doorのアウトロの様な組み合わせ。最低限TVプロレスの体裁は保ちつつも、基本軸はハードヒッティング一辺倒。モクスリーの流血あり打撃やラリアットの打ち合い有と、これまでこの組み合わせでハネた攻防を凝縮。このカードに求められる内容が詰まった肉弾戦でした。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4
トルネード・タッグマッチ
ジェリコ・アプリエーション・ソサエティ(クリス・ジェリコ&サミー・ゲバラ)対ダービー・アリン&スティング
バットでのチャンバラを皮切りにスティングとジェリコのマッチアップをとことん楽しむ組み合わせ。ダービーとサミーだけでなく、流血まで行ったジェリコでさえも黒子に徹し、後はスティングの大立ち回り。ラダーからの場外テーブルへのスプラッシュといったリスクも徹底的に冒し、出来る限界ギリギリで身体を張り続けたのは凄いの一言です。
平均より上。
評価:***
全体評価:7.5