世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW/新日本プロレス Forbidden Door Review ウィル・オスプレイ対オレンジ・キャシディ/ZSJ対クラウディオ他

AEW/新日本プロレス(NJPW) Forbidden Door 6/26/2022

Dudes With Attitude(鷹木信悟、ダービー・アリン&スティング)対Bullet Club(エル・ファンタズモ、マット&ニック・ジャクソン)(w/ヒクレオ)

 バックスが一夜限りのBC復帰。さすがにバックスがいるとELPが弱く感じてしまう悲しさはあるものの、バックスの子分みたいな形でチームとしては機能。そして何といってもスティング。

 

 冒頭から高所ダイブを決めれば、試合でもスポットのみではなく、大車輪の活躍を見せ、スーパーキックをノーセルに耐えるシーンはスティングにしか出せない。アメリカ経験が豊富な鷹木も上手く乗っかり、試合に色を添えていた。単なる中休みに留まらないPWG要素満載の楽しいトリオスマッチでした。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

AEW女子世界王座戦
サンダー・ロサ(c)対トニー・ストーム
 東女対スターダムの代理戦争となった一戦は、フェイス対決の為オーソドックスな一進一退に。実力者同士なので普通に良い試合には出来るけれども、カードが持つ潜在的な可能性を考えるともっと出来てもおかしくは無い。

 ロサのダスティン・ローズムーブに加え、それぞれの得意技を放つ展開。これからボリュームアップする前のミッドカードとしては悪くは無い。ストームがWWEの時よりはやりやすさを感じているのが見えるので、スターダム時代のトップフォームを取り戻せるかもしれない。

 平均的良試合。
評価:***1/4

 

IWGP USヘビー級王座戦
ウィル・オスプレイ(c)(w/オージー・オープン)対オレンジ・キャシディ

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 完全にショーをスティールしたのはこの試合。
 キャシディの変幻スタイルを挟みつつ、オスプレイがパワーアップした怪力と小生意気なヒールスタイルで支配し、要所では類稀なる身体能力を発揮。そこにキャシディが完全に付いていくものだから盛り上がらない訳はない。AEWを観ていないファンはギャップにやられたのではないだろうか。

 

 難敵を相手にすればするほど真価を発揮するファイアー・アントモードが発動し、キャシディのキレが倍増。オスプレイの受けのキレも抜群なので、同じ攻防でも格段に効果は上がっている。カウンターや切り返しの配置も絶妙。

 オスプレイの殺人フルコースを耐え続け、あわや王者交代までキャラクターではなく実力で描き切ったのは、さすがオレンジ・キャシディ。そしてウィル・オスプレイは改めて現在のベストインザ・ワールドである事を示した一戦でした。MOTN。
 名勝負。
評価:****1/2

 

ザック・セイバーJr.対クラウディオ・カスタニョーリ

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 予定されていたブライアン・ダニエルソンの代打兼BCCの新メンバーは、ブライアンやモクスリーとも縁の深いセザーロことクラウディオ・カスタニョーリ。これでザックとのヨーロッパ対決、元WXW対決となったが、完全にこのサプライズで割を食ったのはザック。

 ただでさえコーポレートプロレス、TVプロレスが嫌で新日本に来ているのに、ゴリゴリの元WWEの相手をするのは溜まったものではなく、ブライアン相手ならまだしも正直仕事です感は出ていた。

 クラウディオは、クラウディオでテクニシャンには違いないが、グラウンドを積極的に使う選手ではないので、どっちかといえばウォルターを相手にしている時の感覚。ザックもウェイトが増えて、無理やりサブミッション地獄にしないスタイルも取っている事から、全ての歯車は少しずつ狂っていた印象。
 シェイマスの得意技アイリッシュカース、タイソン・キッドの必殺技シャープシューターにブロディ・リーの必殺技ディスカスクローズラインにお久しぶりのリコラ・ボムと縁がある選手の技やかつての必殺技を抜いて来たので、それ自体は楽しかったものの、ザックの魅力は余り出なかった試合でした。ブライアンとは日本で行った方が良い内容になりそう。

 中々良い試合。
評価:***1/2

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IWGP世界ヘビー級王座戦-フェイタル・4ウェイ
ジェイ・ホワイト(c)(w/外道)対オカダ・カズチカ対アダム・コール対”ハングマン”アダム・ペイジ

 


 期待を透かすようにまずはジェイ×オカダ、コール×ペイジからスタートし、ジェイとコールの協力関係、裏切りを軸として、4ウェイらしい4者入り乱れる攻防が続く。

 コンディションが悪い中で試合を回しているのは、やはりアダム・コール。特殊形式の場数が決して多くはないジェイやオカダを立てる一方、スケール感もストーリーテリングも難なく表現出来るコールの技量によってこの試合は成り立っていた。AEW側が新日本側を立てすぎているきらいは感じるものの、AEWで飛躍したハングマンや空間を取り持つコールの力により、パワーバランスや裏の思惑がマイルドになっていた。

 クライマックスでは、オカダの活躍する時間もありとさあ最後の一押しというところだったが、大車輪の活躍を見せていたコールが脳震盪の影響でダウンし、フィニッシュ。ブレードランナーを喰らったオカダではなく、レインメーカーを避けたもののダウンしたコールをフォールする結末は、正直綺麗なものではなく、オカダもハングマンも負けさせたくない思惑が見えてしまったのは残念。

 しかし、この試合を掌握していたのは間違いなくアダム・コールでした。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

AEW世界王座暫定王者決定戦
ジョン・モクスリー(w/ウィリアム・リーガル)対棚橋弘至

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 モクスリーは、リーガル同伴に加え、新日本の入場曲とAEWでのワイルドシングのミックス版入場曲で登場。パンク欠場から暫定王者決定戦と二転三転した今大会のメイン。モクスリーとしては熱望していたカードで気合が入っているが、棚橋側は、20分未満では中々魅力が出せない新日本オリジナルらしさとTNA参戦時から変わらないアメリカンプロレスとの相性の悪さもあり、モクスリーの想いだけが一方通行になっているのが試合にも反映されてしまう。

 通常形式も出来るけれども、ラフを交えたハードヒット、ハードコア、デスマッチの方が持ち味がより出るモクスリーでは、棚橋の魅力を出すには及ばず。

 AEWならCMパンク、新日本なら(怪我してしまったが)石井や鷹木だったら違った結果になったとは思うが、棚橋ではないといけないのも事実なのでやむなし。

 中々良い試合。
評価:***1/2

全体評価:9