世界のプロレス探検隊

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AEW Dynamite Grand Slam 2023 Review エディ・キングストン対クラウディオ・カスタニョーリ/MJF対サモア・ジョー他

AEW Dynamite #207 - Grand Slam 2023 9/20/2023

 

www.fite.tv

 

ダブル・タイトルマッチ-NJPW STRONG無差別級選手権試合/ROH世界王座戦
エディ・キングストン(STRONG ch)対クラウディオ・カスタニョーリ(ROH ch)(w/ウィーラー・ユータ)

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 仇敵対決の最終決戦は、川田利明オマージュコスチュームのキングストン対三沢光晴オマージュコスチュームのクラウディオ。お互い崇高なものを背負っており、並の選手が簡単には許されないオマージュだが、遂に本人と対面し、アメリカにまで呼び寄せたキングストンとノアで本人と戦っているクラウディオであれば、権利は持ち合わしている。
 試合はライバル関係を示す様なせめぎ合い。華やかな攻撃を排して、打撃と投げに特化したコンセプト。わかりやすいハードヒッティングで熱を常にキープ。最強のクラウディオと最高のアンダードッグキングストンの構図を上手く肉弾戦に落とし込み、限られた試合時間で出来るベストを尽くす。

 最後もノーザンライトボムではなく、川田の思い通りに、川田オマージュのパワーボムでフィニッシュと特別な幕引き。この組み合わせ、NY開催だったからこそ実現出来た歓喜の瞬間。その戴冠劇に相応しい激戦となりました。
 好勝負。
評価:****

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クリス・ジェリコ対サミー・ゲバラ

 老獪なジェリコと華麗な攻撃を見せるサミーという構図だが、試合のクオリティは今のジェリコで出来る最低ラインを超えていく形だが、特筆すべきは、WM19のHBK対ジェリコのセルフオマージュ。

 サミーのタイツの色はその時のジェリコの色そのままで、ジェリコのタイツもHBKを思わせる赤が入っていて、試合の結末、試合後の演出はまさにその試合そのまま。それにより試合のクオリティ以上の価値を生み出すことに成功。まさにジェリコらしい演出でした。

 平均的良試合。
評価:***1/4

 

AEWインターナショナル王座戦
ジョン・モクスリー(c)対レイ・フェニックス(w/アレックス・アブラハンテス)

 


 場外乱闘からスタートし、フェニックスのビッグダイブ対モクスリーのラフファイトの構図で進めていく。ミッドカードサイズに抑えつつも、フェニックスの華麗さとモクスリーの獰猛さを上手く共存させていて、相性の良さとフェニックスのシングルレスラーとしての能力の高さを実感出来る一戦。

 低評価を浴びるほど悪い内容では決してなかっただけに、アクシデントで強制終了だったのは悔やまれる。モクスリーの軽傷を祈る。
 平均的良試合。
評価:***1/4

 

AEW女子世界王座戦
サラヤ(c)(w/ルビー・ソーホー)対トニー・ストーム

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 トニー・ストームの昔の銀幕スターギミック開花によるアウトキャスツ内乱。

 WWEでHHHもHBKもビンスも誰も真のポテンシャルを開かせられなかったが、遂に業界トップの類稀なるルックスを活かすことが出来るナルシストなキャラクターは、フェイスヒールを超えたクレイジーさを纏ったスタイルとなり、この試合を支配する。

 勝ったのはサラヤだが、この試合はトニーの試合。ただそれはサラヤの願いでもある。ルビーの献身的なサポートもあり、見逃せない試合に仕上げる事に成功。アウトキャスツが女子部門を制圧し、更なる高みへ。

 平均的良試合。
評価:***1/4

 

AEW世界王座戦
MJF(c)対サモア・ジョー

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 MLBニューヨーク・メッツオマージュコスチュームで登場したMJFが、強敵ジョーに徹底的にドミネイトされながらも、ヘタレと直球勝負を使い分けで渡り合う展開。

 王道のトップフェイスの魅せ方ではないけれども、それこそがMJFの持ち味であり、AEWの存在価値である。既存の概念をぶっ壊す。そんなトリッキーな存在であるMJFの前に一切ブレずにそびえ立つジョーの強さ上手さも見事。

 圧倒的な強者でありながら、どんなスタイルでも乗りこなす円熟味。充実度の高さを常に感じる事が出来る。クライマックスも、絶賛好評中のコールとのストーリーを交えながら、ヒール挑戦者にフェイス王者がチープに勝つ形も本来なら非難轟々だが、MJFなら何か許せてしまう気分になれるのは憎い。

 様々なオマージュが散りばめられた絶妙なストーリーテリングとキャラクターを最大限活かしたアクションの数々。この2人だからこそ出来た内容に昇華していた。

 好勝負。
評価:****

全体評価:9+