AEW Dynamite #171 1/11/2023
“ハングマン”アダム・ペイジ対ジョン・モクスリー
ハングマンの脳震盪による呆気ない幕切れとなった王座戦から復帰したハングマンは血気盛ん。毎週乱闘を繰り広げていたが、晴れて試合の許可が下りて、この試合でもバチバチの削り合いを演じる。
モクスリーは言わずもがなだが、ハングマンもタフマッチが得意な選手。フェイス対決とはいえ、立ち位置抜きにして相手をねじ伏せることしか頭にない様な特攻の連続。ストーリーのキーポイントであるラリアット、首へのダメージを見事に試合に落とし込んで、激しさの中にもストーリーテリングを施している抜け目のなさは流石トップ対決。
非常に熱量の高い肉弾戦で、PPVのメイン級の激闘となりました。
好勝負。
評価:****
ブライアン・ダニエルソン対竹下幸之介
神童竹下は業界トップのブライアンを相手にしても実力を発揮。アンダーテイカーを彷彿とするタケシタラインや体勢が崩れた所から強引にキープした人でなしドライバーで類稀なる身体能力を発揮。
ブライアンの得意技必殺技フルコースを喰らっても立ち上がり続ける姿は、怪物そのもの。今やアメリカン・ドラゴンというよりもスーパー・ドラゴンとなりつつあるブライアンの厳しい猛攻を受けても、この竹下なら勝ってしまえるのではないか?と信じ込ませるだけの説得力を持っている。
MJFに向かうブライアンのチャレンジャーロードがメインではあるが、竹下の更なるサクセスストーリーにもなってしまった大激闘。攻防の質、量、勢い、そこにシンデレラストーリーも乗っかっており、特別な試合に昇華。
あの頃のタイラー、セスよりも竹下はもっと格も実績も積んでAEWに参戦しているけれども、ROHにおけるブライアン・ダニエルソン対タイラー・ブラックを彷彿とさせる様な関係性になり得る名勝負でした。
評価:****1/2
ベスト・オブ・セブン・シリーズ
AEW世界トリオス王座戦-エスカレータ・デ・ラ・レンタマッチ
(3)デス・トライアングル(c)(PAC、ペンタ・エル・セロ・ミエド&レイ・フェニックス)(w/アレックス・アブラハンテス)対(3)ジ・エリート(ケニー・オメガ、マット&ニック・ジャクソン)(w/マイケル中澤&ブランドン・カトラー)
7番勝負の最終戦。
これまでの戦いを振り返る様な、スピーディーで手数の多いトリオスアクション。ペンタ×マット、フェニックス×ニック、PAC×ケニーの組み合わせで盛り上げ、その後はめまぐるしく攻守が入れ替わる展開に、虚を突いたテーブルスポット。ラダーがなくても完成度の高い前半を経て、後半は、ラダーを活用する展開。
十分独創的だが、彼らにしたら朝飯前なレベル。詰め込んではいるが、ハードにし過ぎず見やすさを重視する配慮もあり。攻防の速度が早過ぎて、物理的にベルトを取りに行くシーンが作れない程。
最後まで過激度は上がり切らなかったが、最後まで完成度は落ちず、徹底的なラダー使用、テーブル葬、セコンド介入で完走。この2組ならラダーマッチでももっと出来たとは思うが、それでも申し分ない程の完成度でした。
名勝負。
評価:****1/2
全体評価:9.5