世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

Impact Wrestling Review 2022 "MCMG対決!" アレックス・シェリー対クリス・セイビン/KUSHIDA対リッチ・スワン他

Impact Wrestling #935 7/7/2022

トレイ・ミゲル対ラレド・キッド

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 10分以下の短時間の中、Xディビジョンの躍動感、ルチャの華々しさ、ストーリーテリングをもたらす秀逸なミゲルの脚の痛がり方(ベイリー戦での脚のダメージによるもの)と様々な要素が織り込まれていて、どれもハイレベル。

 ミゲルの充実度の高さは目を見張るものだが、ラレドがそれに対応出来るルチャドールである点も見逃せない。今のXディビジョン、両人のレベルの高さを物語る一戦でした。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

#1コンテンダー・マッチ(ノックアウツ王座)
ミア・イム対ディオナ・パラッツォ

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 TVプロレス的フェイスヒールの攻防は最小限で、それぞれのレスラーとしての実力が色濃く反映された内容となっていて、質の高いグラウンド、ハードな攻防の数々、各々の必殺級も惜しみなく披露される展開は、まさにPPV級。

 女子が当たり前の様にメインを張る時代になりつつあるが、クオリティを残せるのはまだ一握り。業界をリードする実力者同士のこれぞプロレスリングという熱戦でした。 

 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:7

 

Impact Wrestling #937 7/21/2022
#1コンテンダー・マッチ(世界王座)
アレックス・シェリー対クリス・セイビン

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 MCMG対決。インパクトでは2009年以来13年ぶりの直接対決。キャリアを脅かす大怪我やセミリタイヤに、団体の移籍やコロナ禍を乗り越えて、通常放送のメインで世界王座の挑戦権を賭けた試合が組まれる。インパクトの20周年に相応しいカード。今のスコット・ダモール体制がいかに優れていて、見事な選択を行い続けているかがわかるマッチメイク。
 試合に入ると、寸分の狂いのない洗練され尽くした動きの華麗さと互いを知り尽くした仲である事を証明する様な攻防の数々。彼らよりも速く、高く飛び、肉体を酷使した試合が出来る選手は存在するものの、それらをスキルで凌駕出来る選手、そのスキルを最高の形で発揮出来るカードはそう多くないだろう。
 グラウンドからの丸め込みに行くシェリー、スカしたいつものシェリーを見せたかと思えば、セイビンはクレイドルショックに繋ぐための首攻めを開始。大技はないのだが、ヘッドロックとネックブリーカーという超基本技で首攻めを成立。その一つ一つの間やインパクトは極上。若手軽量級の選手が同じ事をやっても地味過ぎるが、経験値を積み、色気でも勝負出来るレスラーになったからこそこの攻防が似合う。その後のシェリーの脚攻めで足止めをしながら、ボーダー・シティ・ストレッチに繋ぐための腕攻めも理に適っている。全編通して意味のない攻撃が一切ない恐ろしさ。

 攻撃の完成度もさることながら、受け手になった時のダメージ表現も無駄なものが一切なくハイレベル。基本技も多くシンプルだが、そのシンプルさに込められたものは計り知れない。華麗さ、熱さ、激しさ全て備わっており、クライマックスでセイビンが危ない落ち方をしたシーンはヒヤッとしたが、各々の得意技必殺級、打撃の応酬で綺麗に締めくくったのも美しい。最高のマッチメイクに最高の内容で応えたパートナー対決。

 プロレス界において一つの教本の様な内容でした。試合後にはVBDに襲われたMCMGをクシダが救出するというサプライズもありと文句の付けようがない一戦となりました。名勝負。
評価:****1/2

全体評価:7.5

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Impact Wrestling #938 7/28/2022

KUSHIDA対リッチ・スワン

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 KUSHIDAのインパクトデビュー戦は、元WWEクルーザー級王者対決。グラウンドの攻防ではKUSHIDAが優位に立つも、一度動けばスワンも負けていない。世界王座、Xディビジョン王座を戴冠しシングルレスラーとしても成長を遂げている今のスワンなので、KUSHIDAの世界観を壊さず合わせられる様になっている。来日経験もありジャパニーズスタイルも理解があるので、相手としてはやりやすい。

 TVプロレスとはいえ、WWEよりも遥かに自由度はあるインパクトなので、KUSHIDAも伸び伸びリード出来ている。主導権を握り合いながら攻防を積み上げていく展開。元々相性が良いタイプ同士の対戦ではなく、クシダをオーバーさせる目的がある為、スワンの爆発力が活きる試合ではないものの、ベテランの経験値で隙間を埋め合わせていく上手さを発揮。終盤では、互いに切れ味鋭い攻防を連発し、見事なメインイベントを築き上げました。

 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4