世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Review 2022 Blood & Gutsマッチ/竹下幸之介対エディ・キングストン他

AEW Dynamite #143 - Blood & Guts 6/29/2022

ブラッド・アンド・ガッツマッチ
ジェリコ・アプリシエーション・ソサエティ(クリス・ジェリコ、ジェイク・ヘイガー、ダニエル・ガルシア、サミー・ゲバラ、アンジェロ・パーカー&マット・メナード)(w/タイ・コンティ)対ブラックプール・コンバット・クラブ(ジョン・モクスリー、クラウディオ・カスタニョーリ&ウィーラー・ユータ)&エディ・キングストン、オルティズ&サンタナ

youtu.be

youtu.be


 まずはサミー対クラウディオ。対ハイフライヤーなのでクラウディオの魅力が出やすいカードだが、クラウディオがWWE離脱後のブランクを埋めるアジャスト期間だった為、正直余り上手くはいかず。しかし、次のガルシアが良いヒールっぷりを見せる事でカバー。BCC軍の2番手はユータ。遺恨のあるガルシアとの攻防に加え、兄弟弟子といっても良いクラウディオとの競演は嬉しくなるシーンでした。

youtu.be

 JASの3番手はWWE時代にクラウディオとタッグを組んでいたヘイガー。そのマッチアップは熱くなるが、ヘイガーの衰えが顕著で、ビッグマンのパワフルさが全くないのはこの試合全体においても誤算。BCCの3番手はモクスリー。ヘイガーが衰えている為、ただでさえクラウディオがオーバーキルしているメンバーなのに、AEW世界王座暫定王者で団体を背負う大スターのモクスリーに並ぶ者はいない。その為パワーバランスが崩れまくる状態となる。

 JASの4番手パーカーが入り、椅子攻撃によるチープショットで盛り返すのがやっと。序盤にメンバーを割きすぎたことにより、BCC軍のオルティズ&サンタナ、JAS軍の2point0のメンバーが霞んでしまったことは否めず、制裁感は出たが、中弛みしていたのも否めない。サンタナは、入ってすぐに負傷してしまいフェードアウトしたが、悪い意味でそれを感じさせなかったのは、JASのバランスの悪さが要因。ただそれを見たガルシアや2point0の2人が大流血にハードパンプで奮闘して、展開を打開しにかかったのは良かった。大流血したパーカーが逆さ吊りになっているシーンは、ROHでジェイ・ブリスコが血塗れで逆さ吊りになっているシーンを彷彿とさせる。

youtu.be

 

 モクスリーもガラスの破片やフォーク、MASADAばりの竹串に有刺鉄線バットとデスマッチ凶器フル投入でデスマッチの雰囲気を醸し出し続ける。ジェリコへの憎しみに燃えるキングストンの狂乱の表情も見事。終盤は防戦一方のJAS、ボスのジェリコが獅子奮迅の活躍で応戦。圧倒的なパワーバランスを無効化に出来るのはジェリコの凄技。

 仕上げは金網上での攻防。どのオマージュが炸裂するかワクワクさせながら、高所落下シーンを挟み、そして経験でカバーしているとはいえ、フィジカルの衰えは否めないジェリコに対し、狂乱キングストンが上手くフォロー。

 今後に向けてキングストンとクラウディオの微妙な関係性を描くところまでまとめ切った46分もの超大作。改善点はあるにしても、AEWにしか出来ないスケールの大きさとデスマッチ的アングラ感の融合。最高のエクストリーム・エンターテイメントでした。 

 好勝負。
評価:****
全体評価:7.5+

 


AEW Rampage #49 7/8/2022
エディ・キングストン対竹下幸之介

youtu.be


 竹下のフィニッシャーであるジャンピングニーを教えた張本人の秋山準戦を熱望するキングストン。今回は竹下相手に、ジャパニーズスタイル全開のタフマッチを展開。竹下のポテンシャルを最大限に引き出し、要所は自らの格を落とさない様な配慮を施す展開。こういう試合はキングストンはお手の物。

 竹下も上手くセットアップがなされているので、伸び伸びと力を発揮出来ていた。最後の必殺技の打ち合いも実に美しいフィニッシュ。負けてはいるが竹下がいかに評価されているかが伝わる内容。好勝負に届かない良試合。
評価;***3/4

 

AEW Dynamite #141 - Road Rager 2022 6/15/2022
ウィル・オスプレイ対ダックス・ハーウッド

youtu.be


 実力が世界最高峰なのは知っているが、俺らの方が有名で実力があって、メジャー団体をトップとして渡り歩いてきた。ハーウッドの心の声が聞こえてしまう様な豪快なチョップとオスプレイの好き勝手にはさせない支配力。

 オスプレイの良さは存分に出しながらも、オスプレイプレゼンツのフルスロットルバトルに対して少しの強制力を施し、メジャー団体のTVプロレスである事を示していたハーウッドの強さが光る内容。

 オスプレイもTVプロレスに対しても順応済なので、自己中心的にはならずに才能豊かな部分だけ見せる姿も見もの。全米放送のメジャー感は残した上で、新日本のハードな面も多く備わっていた、これぞクロスオーバーというべき好勝負。
評価:****

 

AEW世界タッグ王座戦-ラダー・マッチ
ジュラシック・エクスプレス(c)(ジャングル・ボーイ&ルチャザウルス)(w/クリスチャン・ケイジ)対ヤング・バックス(マット&ニック・ジャクソン)

youtu.be


 当初はハーディーズも入れた3ウェイだったが、ジェフの飲酒運転による逮捕で急遽一対一に変更。現在ストーリーがある訳ではない中で、良い試合を見せる事に開き直った結果、両チーム特にヤング・バックスによる、鉄板のラダーとテーブル使いと連携や通常技とのミックス、熟練の試合運びが炸裂。

 JEも見せ場では劣る事なく正確に役割を果たすが、支配力、試合構築力はやはりバックス。ハードコアスポット満載のド派手かつ高品質な試合の中で、バックスの凄さを再認識出来る熱戦。

 しかし、見せ場は試合後のクリスチャンのダブルクロス。遂にクリスチャンが本領を発揮するタイミングが。試合はこれからになるが、この裏切りシーンとその後のプロモ、ルチャサウルスのヒールターンと元は十二分に取った見事なターンを見せてくれた。今はクリスチャンの名人芸がAEWの毎週の名物コーナーとなっている。

 好勝負。
評価:****

全体評価:8

youtu.be

 

AEW Dynamite #142 6/22/2022
CHAOS(トレント・バレッタ、ロッキー・ロメロ&オレンジ・キャシディ)対ユナイテッド・エンパイア(ウィル・オスプレイ、カイル・フレッチャー&マーク・デイヴィス)
 腕利き揃いのトリオスマッチ。オスプレイ対キャシディの前哨戦なのだが、RPG viceとオージー・オープンも個々としてもタッグとしても存在感を示し、初登場のUEは実力を発揮。キャシディも無気力ムーブはそこそこに、新日本勢相手とあり、シリアス風味多め。繋ぎとはいえ楽しくも締まった見せ場満載のトリオスマッチでした。
 中々良い試合。
評価:***1/2