AEW Dynamite #139 6/1/2022
ジョン・モクスリー対ダニエル・ガルシア
AEW版Bloodsport再び。JAS入りした事で弱った表現を駆使することができ、ヒールとして幅を広げる事に成功したガルシア。モクスリーによる流血ありのラフファイトに乗っかりつつ、ヒールとしてチープショットも駆使し、ガルシアがモクスリーに見劣りする事なく試合を回していたのが印象的。鉄階段使用にテーブル葬というハードコア要素を含みつつ、打撃と関節技を軸に世界観を崩す事はなく、試合を昇華させ続けていた。
これで柴田勝頼の二番煎じと言われることはないだろう。ダニエル・ガルシアという極上の素材が、クリス・ジェリコというレジェンドのエッセンスを得て、真のスターへの階段を駆け上がっていく。10分少々と思えない死闘。
文句無しに好勝負。
評価:＊＊＊＊1/4
AEW Rampage #44 6/3/2022
ヤング・バックス(マット&ニック・ジャクソン)対ルチャ・ブラザーズ(ペンタ・オスクーロ&レイ・フェニックス)(w/アレックス・アブラハンテス)
好敵手対決。特別何かが懸かっている訳ではないけれども、ベストを決める戦いは果てしない。このカードならではの鉄板の攻防に、レスラー個々においても4者4様の魅せ方が出来ていて、なおかつまだその様な攻防が閃くのかと、出し尽くしたといっても誰も咎めないレベルで数年に渡り、最先端の攻防を出し続けている両タッグが、また新たに閃きを見せている事に呆気に取られる。
それでいてタッグの基本的な動き、個々の技一つ一つの精度、キレ共に最高品質である事も名勝負に押し上げる要因。一切抜いた動きがない。全く飽きの来ない数え歌。近代タッグの教本の一つです。名勝負。
評価:＊＊＊＊1/2
全体評価:7.5
AEW Dynamite #145 - Fyter Fest 2022 Week 1 7/13/2022
AEW TNT王座戦
ウォードロウ(c)対オレンジ・キャシディ(w/ベスト・フレンズ)
無敵のウォードロウに無気力キャラとシリアスモードの緩急を織り交ぜて応戦するキャシディ。
フェイス対決のやりづらさを一切感じさせる事なく、ウォードロウの最強キャラも人気者でありトップフェイスに君臨するキャシディの格も落とす事なく試合を展開させる丁寧な試合構築は称賛に値する内容。
クリーンフォールとはいえ、様々な配慮を施しながら、試合の面白さはしっかりと残していた。
中々良い試合。
評価:＊＊＊1/2
AEW暫定世界王座エリミネーター・マッチ
ジョン・モクスリー対竹下幸之介
ゴツゴツとした打撃に厳しい投げ、モクスリー戦らしい流血シーンに竹下の類稀なる身体能力を活かしたハイフライングとこのカードに描きたい内容求められる内容をハイレベルで演出。竹下が、モクスリー相手にもポテンシャルの高さを示す事が出来た熱戦。
好勝負。
評価:＊＊＊＊
AEW世界タッグ王座戦-4コーナーズ・マッチ
ヤング・バックス(c)(マット&ニック・ジャクソン)(w/ブランドン・カトラー)対チーム・タズ(リッキー・スタークス&パワーハウス・ホッブス)対スワーブ・イン・アウア・グローリー(スワーブ・ストリックランド&キース・リー)
シェイン・スワーブ・ストリックランドの才能が炸裂した一戦。序盤の演舞シーンでは身体能力の高さと華を見せつけ、モンスター・キースの相方としてのサポート役、フェイス1組、ヒール2組の中やられ役を見事にこなし、印象的な反撃シーンからキースの爆発に繋ぎ、要所ではポイントゲッターを担える破壊力も持ち合わせる。
高値安定のリビングレジェンドであるバックス、成長著しいチーム・タズも見せ場を作り続けていたが、ストリックランドの裏回し、表に出ても試合を決められる、世界最高レベルの実力を如何なく発揮していた。
終盤以降は3チーム入り乱れて、迫力満点の攻防を連発。キースとホッブスのパワー、リッキーのキャラクターも冴え渡り、見事にアクセントとなっていた。レフェリー失神からストリックランドとキースが仲間割れするのではないかというシーンもクライマックス前に配置する事で、試合の世界観を崩す事なく、クライマックスのフルスロットルな攻防に繋ぎ切ったのは、このクオリティとなった大きな要因。
インディの独創性とスピード感に、メジャーのスケールも備わっているタッグの魅力が詰まった好勝負でした。
評価:＊＊＊＊1/4
全体評価:8.5+
