世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

GCW Review 2021 鈴木みのる対ジョナサン・グレシャム/アレックス・コロン対G-レイヴァー他

GCW Highest In The Room 9/17/2021

 

 

 

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デスマッチ
G-レイヴァー対アレックス・コロン

 

 鈴木みのる参戦と同じ大会にデスマッチを放つのがGCW。とはいえこれはECWからCZW、IWAそしてGCWと米インディの伝統ではある。只、恥ずかしくないデスマッチを見せようと選ばれたのはコロンとレイヴァー。ビッグマッチでしかデスマッチが出来ない程に格が上がりきったゲイジ、デスマッチ引退を表明したRSPを除くと、米デスマッチ界ではトップランクに属する2人の激突。
 恐らく鈴木みのるを観に来て、デスマッチを余り観たことがない観客も散見される中、軽量級らしい目まぐるしい攻防と蛍光灯を織り交ぜて、デスマッチらしさを演出。 

 ストーリーがない単発試合なので、激しさを演出する難しさはあり、彼らならもっとストーリー・テリングも出来て、更に上質なものは出来る。単発気味な面はあったが、その単発が凄いバズーカ砲で来たので、十分カバー出来ている。蛍光灯ラダーのスポットやラダーからの高所ダイブと、高さを上手く使っていたのも要因。スポットの質と量はトーナメント決勝級。

 この2人の対決こそストーリーを割いて、セットアップしたら団体の目玉になる、目玉にしなければいけないカード。単発で終わりそうなのが惜しすぎるカードであり内容でした。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

鈴木みのる対ジョナサン・グレシャム

 大人の事情なのか、ROHでは実現出来ないカードが実現。グレシャムはROHに所属しながらも不定期でGCWには参戦しており、元々はCZW世界王者なので、オーナーのブレット・ローダーデイルとは旧知の仲。ROHもグレシャムのインディ参戦を許可している事もあり、実現する運びとなった。試合はというと、個人的には鈴木みのるの試合の中でも上位に好きな試合となった。
 わかりやすい打撃の打ち合いからスタートし、過度になり過ぎない所で、グレシャムがグラウンドに持ち込む。するとみのるは、場外戦でラフに持ち込んだ後に、関節技で反撃。現在最高のピュアレスラー、今はザック・セイバーJr.と同じレベルで魔法のテクニックを持つグレシャム。グラウンドで張り合いすぎると分が悪い。かといって張り合わない訳にもいかない。グレシャムの実力は伝えつつ、自信の上手さ、強さが残るギリギリのラインで勝負する。踏み込むけど、踏み込みすぎない、絶妙な調節が光ったのは、同ロープ走りの攻防で、ローフには走るも、脚の痛みからグレシャムを追いかけられずに、グレシャムの反撃を許したシーンが顕著に表していた。

 グレシャムも打撃の比重を多めに使い、気合起き上がりからの打撃、返されたら関節技に移行とみのるが生み出した熱量をしっかり逃さずに、増幅されていたのは流石ベテラン。最後はみのるが横綱相撲で仕留めたシーンまで、各々の持ち味をフルに活かし切った激闘でした。この好勝負に、試合後ニック・ゲイジの鈴木みのるへの宣戦布告シーンまで付けば、文句の付け様はない。大満足でした。好勝負。
評価:****

 

全体評価:8

 

GCW Emo Fight 9/23/2021
ジミー・ジェイコブス対アティカス・クーガー

 プロレス界のエモといえば、外すことが出来ないジミー・ジェイコブス。名曲レイシーに贈るバラードを披露しようとしたところに、今やレギュラー唯一のヒールとなったアティカスが登場し、イチャモンをつけ、試合に突入。試合は、軽めの乱戦で、ドア破壊などを活用し、手短にまとめる形。続きはICW NHBで。
 試合後ジェイコブスを襲うアティカス。助太刀に現れたのは何とレイシー!
記憶が正しければ、ジェイコブスがROH離脱し、WWEでライターとして働き出す前のフェアウェル大会以来の登場。歳は取ったといえども、余り変わらない。むしろ悪女感が抜け、ストレートに綺麗さが増しているのは凄い。そしてジェイコブスが改めてレイシーに贈るバラードを披露し、大団円。

 マイケミネタやマルコ・スタントのコンサートもあったが、結局これを見せたかったというのが良く伝わる。00年代米インディファン、ROHファンはマストでしょう。
余談だが、今やカリスマ若手ヒールのアティカス・クーガーは24歳だが、この時にROHで既にAge of the Fallをジェイコブスは始めているので、改めて思うと2008年迄のROHは余りにも凄過ぎる。


評価:**3/4

 

 

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GCW Getlostalot 9/24/2021
石森太二対トニー・デッペン

 日米腕達者対決。石森はゲストらしく一方引いた立ち位置での試合だったが、その分デッペンが攻勢を強め、石森を倒せる所まで行ったので、非常に盛り上がった。

 ROH参戦、ベルト奪取まで行った事により、以前よりも格が上がった事と、コミカルやヘタレに逃げずに勝負出来ている事が大きな要因。最後は石森が押し切ったものの、完璧にデッペンの試合でした。中々良い試合。
評価:***1/2

 

スクランブル・マッチ
ニンジャ・マック対ダンテ・レオン対デランジド対ニック・ウェイン対ジミー・ロイド対コール・ラドリック

 

 スペシャルKのデランジドが久しぶりに登場。良くも悪くも全く変わっていないのが驚き。試合は、当然スポットフェストとなるも、安定のマック対レオンが凄技を見せれば、ロイドがアクセントとなる強烈な一撃を決める。スポットフェストの中でも粗さがなく、良い部分だけが残っていた。多人数ムーブ、連鎖ダイブも飛び切りのものでした。スクランブル戦でも上位の試合。平均的良試合。
評価:***1/4

 

鈴木みのる対ホミサイド

 開始位置 プロレス王対NYの王。AEWにホミサイドが登場するお膳立てまで行ったリビングレジェンド対決。だがトップフォームを維持し続けるみのるとは対照的に、ホミサイドはハードコア抜きではシングルプレイヤーとしては厳しくなって、何年も経つので、ホミサイドらしさを見せていくのがやっとという所。

 みのるもそれを汲み取って、打撃の打ち合いを多めにする選択。みのるも相当なレジェンドなのに、それが瞬時に汲み取れる所に世界中どこでも大人気で評価される理由がある。打撃合戦が多いので、メインの盛り上がりも一定程度は備わっており、体裁は整えた。このカードは実現する事に意味がある。
評価:**3/4