世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Review 2021 KENTA&ケニー対モクスリー&アーチャー/ライバル対決! アリン対ジャネラ

AEW Dynamite #72 2/10/2021
AEW TNT王座戦
ダービー・アリン(c)対ジョーイ・ジャネラ


SCI、GCW、MLW、SFP、EVOLVE、PWG。アンダーグラウンド中のアンダーグラウンドシーンからインディシーンのトップを経て、全米放送のメジャーに上り詰めた両雄の対決。PWGでのゲリラ・ウォーフェアマッチに代表される破天荒なスタイルが印象的で、この試合もハイスピードなトペやエプロンでの投げ等クレイジーなシーンはあったけれども、この試合においては、シンプルな一進一退がベースのレスリングマッチ。アリンは腕攻めを使い、ジョーイは、まったりとクラシカルなアメリカンプロレスで試合を進める。EVOLVEの試合は、通常形式でもジョーイが格上でガンガン攻め立てて、アリンがアンダードッグとして耐えて跳ね返す内容が物凄く嵌ったが、今回はアリンが王者で格上になり、ジョーイは追う立場。試合時間も内容にも制約があり、ジョーイも不調な状態から再起を目指す立場なので、イケイケの良い時に比べると悪くないレベルに収まる。GCWなら行間を埋める為に凶器を使えるが、それは出来なかったのも響いた。ただ、ジョーイは単なるハードコアガイではなくて、レスリングも出来る選手だと示す事には成功。それをするためのマッチメイクなので狙い通り。自身もレスラーとしてメジャー団体AEWの壁にぶち当たりつつ、ライフワークと化しているGCWもアウトローどころか、インディの盟主となり、インディレスラーの活躍の場と生活を守る立場となった。そこのロッカールームリーダーとしてオーナーのブレットを支える立場としても奮闘しなければいけない大変な状況。筆者もAEWにおけるジョーイに関しては、厳しいと言わざるを得ないと思っていたが、このマッチメイクを組まれる辺り、まだジョーイは見捨てられていないと感じた。ジョーイのスター性カリスマ性は唯一無二なので、強者揃いのAEWではあるが、何とか生き残って爆発して欲しい。USインディファンは皆そう願っている。まあまあ良い試合。
評価:***1/2

 

放送中盤のMJFとゲバラのプロモ、タッグ戦前、試合を挟んだ後のプロモも演者全ての達者振りが堪能出来る名プロモ揃い。このインナーサークル劇場の今後が気になる見事な仕上がりになっている。 

 

AEW世界女子王座エリミネーター・トーナメントUSラウンド1回戦
サンダー・ロサ対レイラ・ハーシュ
女子トーナメント一回戦は、東女対スターダム代理戦争というべき対決。アマレスベースのレイラとMMA経験者ロサだけあり、グラウンドで攻め立てるレイラとそれに対応しつつ打撃で削ると、バックグラウンドを活かした展開は見応え有り。ハイペースの展開に、レイラが付いていけなくなりそうで、実際細かなミスも見えたものの、ロサがわからない様にカバーし、本来の攻防に何気なく戻すテクニックに痺れる。シューター要素もあるスーパーアスリート対決らしい、期待通りの熱い鬩ぎ合いだった。

平均的良試合。
評価:***1/4


フォールズ・カウント・エニウェア、エニシング・ゴーズマッチ
KENTA&ケニー・オメガ対ジョン・モクスリー&ランス・アーチャー

注目のKENTAは、新日本のテーマとタイタントロン、Tシャツで登場。新日本関係者が集った対決だが、新日本のメンバーを使って、AEWにしか出来ないハードコアをやる試合。新日本プロレスさんも一緒に業界盛り上げましょうね!と表では持ち上げつつも、裏ではお前らにこれを出来るの?とナイフを首元に突きつけている印象。試合後の会見シーンもだが、新日本とBCに対するブラックジョークも含まれているのも面白い。
試合は、それぞれが乱戦ベースで戦いつつも、相手が強敵アーチャー&モクスリーとあって、劣勢を脱する為、仲良しこよしではないけれども、自然と連携をする形に持ち込むのは上手い。凶器使用も自然な流れで導入。ケニーがKENTAを立てながらではあるが、KENTAも特殊形式は経験しているので、スムーズにハードコアを展開出来ている。その後は客席やバックステージ、キッチンに花道等移動しながら試合を進める。ECW的カオスでストーリー調+WWE的エンタメ感溢れる乱戦に仕上がっている。テーブル貫通ダイビングフットスタンプという一番のハイライトも、ケニーでも出来るスポットを、KENTAにやらせたのも興味深かった。クライマックスは、KENTA対モクスリー、ケニー対モクスリーを煽りつつ、有刺鉄線バット使用、ジェイク・ロバーツとGB介入を絡めて幕。バッドエンドで締める感じもECWらしさもあり面白かった。
業界関係者やファン同士のあれやこれや何かは織り込み済。WWE/WWFやECW直撃世代が演者やクリエイティブに多いというのもあるが、色々な要素を上手く噛み砕いて現代仕様に纏めているのも好感。単純な試合のクオリティもそうだが、選手の使い方やストーリーの紡ぎ方が見事。団体に絡んだ人に損をさせないのが素晴らしい。

好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

全体評価:7.5+