世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Review 2021 "DoN2021直前!" ダービー・アリン対ミロ/ジョン・モクスリー対永田裕志他

AEW Dynamite #81 4/14/2021
AEW世界タッグ王座戦
ヤング・バックス(c)(w/ドン・キャリス)対デス・トライアングル(PAC&レイ・フェニックス)

 モクスリーを裏切り、ケニー達との元鞘に収まったバックス。まだヒールスタイルは抑え目ではあるものの、アスリートとしては世界最高でも、ベビーフェイスとしての演技力には劣るデス・トライアングルの2人に対して、オーソドックスなヒールプレイ+孤立で堅実に支配し、終盤に入ると、フェニックスの爆発力きっかけに、合体技も炸裂。バックスも曲芸には曲芸で返していく高値安定の攻防連発。極上の攻防を繰り広げた後、それをぶった斬るかの様なチープショット連発もしてやったり。双方の価値を落とさずに、バックスのヒール度を高める内容でした。好勝負。
評価:****

 

AEW Dynamite #85 5/12/2021
IWGP US王座戦
ジョン・モクスリー(c)(w/エディ・キングストン)対永田裕志(w/成田蓮)

 ジョン・モクスリーのドリームマッチシリーズ続いては、何と"WCWのレジェンド"永田裕志とのAEWでのIWGP US戦。試合自体は、硬めの打撃や関節技を散らしながら、TVマッチ仕様にコンパクトに纏めた内容だが、これを行った事実が重要。本筋とは関係ないので、オープニングなのは、仕方がない。新日本ファンは、バックス対SCUなんて、エリート・アレルギーで蕁麻疹が出てしまうだろうし、アリン対ミロ?は、こんなもんプロレスではないね。何それ?とそこで見るのをやめてしまうだろうと、恐らくAEWの裏方陣に見抜かれているので、オープニングにして、完全に切り離されていたのは興味深い。

 アメリカのプロレス関係者、しかも新日本関係者だった人を多く抱えるAEWは、綿密にリサーチをして、打ち合わせをしてから臨んでいるので、新日関係については、かなり見抜かれている印象。最後に余談だが、エクスカリバーの白目〜は爆笑。

平均より上。
評価:***

 

AEW世界タッグ王座戦(SCUが負ければ解散)
ヤング・バックス(c)(マット&ニック・ジャクソン)(w/グッド・ブラザーズ&ブランドン・カトラー)対ソーカル・アンセンサード(クリストファー・ダニエルズ&フランキー・カザリアン)

 この試合に負けると解散となるSCUが、決死の思いで攻めていく流れを、バックスがコテコテのヒールプレイで、煽り分断していく。カザリアンはクリスチャン戦で勢いを増したからキレキレ。一方のダニエルズは、流石に衰えが顕著。それでも並のレスラー以上ではあるが、ダニエルズ基準だと一線としては厳しいレベル。それを活かしてカザリアンを分断し、ダニエルズを孤立させ、流血にまで追い込み、マイケルズ対フレアーのオマージュまで決めるのは、バックスのクソガキ感が為せる技(褒め言葉)。

 通常放送かつメインストーリーではないので、ダニエルズ流血、カザリアン分断からがかなり巻きだったのは惜しかったものの、ベテランらしく狙い通りに遂行した内容。衰えていく前に、カザリアンをシングルプッシュしたいのは山々だが、そのスポットが今ないのが難しい。入るならTNT王座戦線だろうけども。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

AEW TNT王座戦
ダービー・アリン(c)(w/スティング)対ミロ

 この前の週に、イーサンとスカイに襲撃され、階段を転げ落ちた際に負傷。しかし試合をしないと王座剥奪という条件が付けられていて、無理を押して試合出場となったアリン。そしてその相手が破壊者ミロという、コンディション万全でも厳し過ぎる最悪の挑戦者。更にそのミロが試合開始前に奇襲を仕掛け、ズタボロになりながらも、メンター役のスティングの応援を受けて、何とか猛攻を耐えて立ち上がる。懸命の反撃もミロのパワーの前に屈服。

 イーサン&スカイとスティング&アリンを進める為の、ストーリー偏重マッチだが、まさに往年のジェフ・ハーディを彷彿とさせる儚くも美しい色気満載のアリンと、ストーリーに忠実なドミネイターを演じる元WWEのトップ戦士ミロの上手さが光る内容。単なる長めのスカッシュ、強引な王者交代劇をこれ程までに劇的に行ってしまう演者達の腕に魅了される内容。最悪でありながらも最高な王者交代劇。中々良い試合。
評価:***1/2

 

全体評価:7.5+