世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Double Or Nothing 2021 Review Part1 インディ東西戦争! R.I.P Trent F'N Acid/女子版ミステリオ対マレンコ

AEW Double Or Nothing 2021 - The Buy In 5/30/2021

NWA世界女子王座戦
セリーナ・ディーブ(c)対里歩

 前回のこの組み合わせが、AEW女子部門の中でもトップクラスの内容ということで、プレショーとはいえ大切なオープニングに抜擢。すると期待以上の活躍で応えたのがこの試合。里歩の可憐なアイドル的スターパワーとセリーナの強くて上手くて無駄がなくて面白い完全無欠の試合構築とアクション面が炸裂。悪いポイントが一切ない試合内容。起承転結も細かなアクセントの利かせ方も、ニアフォールの応酬も全てが上手く嵌っていた。ずっと見ていたくなる試合。まさかこの2人がディーン・マレンコ対レイ・ミステリオの間柄になるとは夢にも思わなかった。これは数え歌認定でしょう。

 里歩も素晴らしいが、やはりセリーナ・ディープの活躍は特筆もの。マレンコの様な強さと上手さを両立しつつ、アイスマンでもないので、表情芸やストーリーに沿った試合もマレンコ以上に上手く出来る。WWEにサラ・デル・レイという女アメリカン・ドラゴンと言われた世界一の女子戦士がいなければ、サラの様に名コーチとして女子革命を裏で操縦していたのかもしれないが、こうしてAEWで選手として、キャリア史上最高のスポットライトを浴びているのも興味深い。ベイカーもそうだが、セリーナの試合を観る為にAEWを観ているといっても過言ではない。
全世界のプレショーの中でも歴代トップクラスの内容。文句無しに好勝負。
評価:****1/4

 

AEW Double Or Nothing 2021 5/30/2021

 

www.fite.tv

 


“ハングマン”アダム・ペイジ対ブライアン・ケイジ
 オープニングだからこそ許されるファストペースで、粗を勢いで隠してしまおうという内容。セリーナ対里歩が最高の会場の雰囲気を作ってくれたのと、観客数が戻ってきたことによる特別感で、シンプルな打ち合いでも、魔法がかかったかの様に大爆発。それに乗って、テンポ良く一進一退を繰り広げたのも正解。そういう試合が得意な2人を持ってきたのも同じく正解。掟破りや雪崩式を交え、派手にまとめて見せた。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

AEW世界タッグ王座戦
ヤング・バックス(c)(マット&ニック・ジャクソン)(w/ブランドン・カトラー)対ジョン・モクスリー&エディ・キングストン

 

 暴虐龍スーパー・ドラゴンの意志を継ぎし、西海岸インディの最高傑作対ザンディグ、イアン、クアック、ゲイジ、ホミサイド等と切磋琢磨し、業界を渡り歩いて来た東海岸インディの雄の対決。それを意識するかの様に、故トレント・アシッドのTシャツを着用したモクスリーと、映画がんばれベアーズ!に出てくる野球チームのユニフォームを着用したキングストン。格好的にはバックシート・ボーイズにも見えるのが憎い。ヤング・バックスなんて所詮バックシートのバッタもん!と言わんばかりの宣戦布告に、場外乱闘ではサンドマンの様にビール缶を自らの額に叩きつけるモクスリー。プロレスIQが高すぎる。

f:id:MDK2727:20210601235601j:plain

 

 試合は、モクスリーとキングストンの荒々しさとダウンや孤立時の色気の出し方を活かした構築。バックスは徹底して小生意気なGeneration Meモードのヒールだが、ヘタレすぎず現代の世界最高タッグとして強さは保つバランス感覚は見事。

 カトラーやGB、カザリアンの介入、モクスリーの流血や2段孤立等多くの要素を入れ込んだ内容でも、全く雑味がないのは見事。考えに考え尽くされたハイレベル過ぎる内容。バックスは、どんな食材が来ても、その素材の旨みを最大限に引き出しながら、オリジナリティは残す。今回もモクスリーとキングストンという極上の食材だが、三つ星ミシュランレストランのシェフにしか扱えない組み合わせを、完璧に調理し切ってしまったのは脱帽の一言。これまでのストーリー、入場、試合開始から終了まで捨てる所がない内容でした。

 問題は玄人過ぎて一見さんお断りな所のみ。バックス対PACフェニックスやケニーペイジ戦の方がわかりやすく凄いのは確か。只、この2組をWWEからROH、PWG、CZW等ずっと追い続けてきた人にとっては、本当に堪らない内容。プロレスリングの芸術性とタッグレスリングの面白さ、そして歴史が詰まっている。試合単体だけなら****〜****1/4だが、ヤング・バックス相手にバックシート・ボーイズ、トレント・アシッドオマージュを持ってくるジョン・モクスリーのセンスに敬意を評して名勝負とさせて頂く。
評価:****1/2

 

カジノ・バトル・ロワイヤルマッチ
 ルチャ・アンダーグラウンドやロイヤルランブルが特別なだけで、バトルロイヤルに質を求めるのは間違いだが、若手ドミネイターのスポットの与え方、ジョーカーコスチューム被りやサプライズ参戦枠のリオの使い方には検討の余地あり。多人数戦の様な団体芸となると、とっ散らかったものよりは、やはりもう少し管理プロレスの要素が欲しくなってしまう。クリスチャン、マット、ダスティン、サイダルに解説はワイトとWWECW要素が強すぎなのは面白く、クリスチャンとマットの再会の湧き方は格別。何だかんだで、この2人の試合はしかるべきタイミングで見たい所。
評価:**1/2

 

“アメリカン・ドリーム”コーディ・ローズ(w/アーン・アンダーソン)対アンソニー・オゴゴ(w/QTマーシャル)

 2012年ロンドンオリンピック、ボクシング銅メダリストのオゴゴに、プロレスラーとしての英才教育を叩き込むコーディ。とはいえ、スカッシュばかりさせるのも成長にならないので、直々にコーディが出て、ストーリーも組んでという形。経歴も輝かしく、アスリートとしての能力も高く、マスクも良いので、スター候補としてセットしているのが良くわかる。なので、クオリティは度外視しても良い、先行投資の意味しかないカードである。

 とはいえ、一通り育成ストーリーを終えたら、やはりメインイベンターとして戻ってきて欲しいコーディ。個人的な予想としてはジャングル・ボーイやハングマン、アリン辺りは通常放送で、ALL OUTはクリスチャン、そしてFull Gearでケニー対コーディという所までは考えているのかなと予想。万が一ジョーやブライアンが来たら話は変わってくるけれど。平均レベル。

評価:***

後半はPart2へ続きます!