世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

新日本プロレス BEST OF THE SUPER Jr. 31レビュー 石森太二対TJP/エル・デスペラード対DOUKI他

新日本プロレス レック Presents BEST OF THE SUPER Jr.31 5/30/2024

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Aブロック公式戦
藤田晃生対ブレイク・クリスチャン
 元GCW世界王者、米インディの強者クリスチャン。GCWで手に入れたヒールのキャラクターと試合運びに、持ち前の身体能力の高さとテクニックを織り交ぜたハイレベルな試合構築に対して、クリスチャンの土俵に乗りつつも、要所で切れ味鋭い攻撃、華麗な攻撃を使い分けながら劣っているところを一切見せずに応戦していく藤田の末恐ろしさも堪能出来る。

 今の好調なクリスチャンを倒しても全く勝たしてもらっている感がないのが藤田の素晴らしいところ。試合を重ねれば重ねるほど、スポットを与えれば与えるほど非凡であることを示している。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

Aブロック公式戦
エル・デスペラード対HAYATA
 グラウンド、サブミッション、部分破壊の攻防の面白さが群を抜いている試合。ジュニアの面白さはあるものの、それよりもHAYATAの腕破壊のバリエーションの数々に目を奪われ、対するデスペラードのダメージ表現もその威力を増幅させる。

 HAYATAが腕破壊をすれば、デスペラードは脚攻めで返す。ワンサイドにならず、適度な一進一退を散りばめていき、接戦模様を演出。得意技の攻防とヌメロドスとそのカウンターの攻防という二本軸で終盤は進めていく。目まぐるしい攻防の中に様々なアクセントも織り込まれている隙の無さ。

 緩急は効いているものの、フルスロットル。それでいて完成度も高い。必殺技を巡る攻防も適切。これまで絡みがなかったとは思えない程のハイレベルで、両者の想いや経験、類稀なる実力ストレートに表れた一戦でした。

 文句無しに好勝負。
評価:****1/4

全体評価:7+

 

新日本プロレス レック Presents BEST OF THE SUPER Jr.31 13日目 6/3/2024

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BOSJ31 準決勝戦
石森太二対TJP
 美しいグラウンドからのボーンロック対パノイストレッチを巡る攻防の数々が大きな軸となり、その中に疾走感溢れる攻防の数々を織り交ぜ、全方向対応の全く隙のない完成度の高い試合内容になっていく。

 フェイスヒールを極限まで控え目にし、BCにありがちなチープフィニッシュや介入も排除。ヒールプレイがなくてもカリスマ性が増しているTJPはトップフェイスの風格を纏い、大谷やライガームーブで華を添えるのも的確。軽量級の魅力を持ちながら無差別級の重厚感も両立。これが決勝でも全くおかしくない名勝負でした。
評価:****1/2

 

BOSJ31 準決勝戦
エル・デスペラード対DOUKI
 兄弟の様な存在であり、メキシコという深い深い共通点を持つ両者。そのルチャリブレというルーツが色濃く反映された攻防の数々。

 この試合でもグラウンドやサブミッションを試合の軸として据えながら、そこから首攻め、得意のバスター系、激しい打撃と広げていく形のため、やはりジュニアのアイデンティティは持ちつつ、無差別級としても評価出来る重厚感を備えている。

 DOUKIは躍進を続け、支持も日に日に強まっており、これまでデスペラードをシングルで倒せたことはないけれども、今やデスペラードを倒せる武器を持ったアンダードッグという非常に絶妙なポジションにいるという背景が、この試合を特別なものに押し上げている。

 DOUKI自体はわかりやすくルードらしいルックスではあるが、支持されること、観客の声援を受け止め、増幅させるのをしっかりと受け入れて活かしている。そのDOUKIを理解し、しっかりと光らせながら、脅威として迎え撃つ厳しさも忘れないデスペラード。

 DOUKIのイタリアン・ストレッチNo.32をこれでもかと極め続ける展開は、非常に理にかなっており、デスペラードがこれまでの戦いで散々腕を痛めつけられていたストーリーも絶妙にマッチ。

 セミの物凄い試合の後で大変であり、試合のスタイルとしては似た様な面もあった中で、2人の深い関係性とルチャリブレという大きな要素を使用したこと、そしてデスペラードのスターパワーでセミとは被らない、この2人だからこその好勝負に仕上げることに成功。
 文句無しに好勝負。
評価:****1/4

全体評価:7.5+