世界のプロレス探検隊

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AEW Review 2023 "世紀のテクニシャン対決!" クリスチャン・ケイジ対ブライアン・ダニエルソン他

AEW Collision #18 10/14/2023

 

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AEW TNT王座戦(ルチャサウルス&ニック・ウェインはリングサイド立ち入り禁止)
クリスチャン・ケイジ(c)対ブライアン・ダニエルソン

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 両者脳震盪と首の怪我で引退をした後に復帰した奇跡のカード。ROHで一度だけタッグマッチを行い、WWEでも対戦はあるが、本格的な抗争はなく、それはテクニシャンではあるが、ベクトルが違うテクニシャンだからこそ交わりが薄かった。

 クリスチャンはクラシカルなアメリカンプロレス、ブライアンはジャパニーズスタイルやコンバットスポーツ要素を取り入れたスタイルの為、水と油かと思われがち、もはや考えすら及ばないマッチメイクだが、時を経て団体のトップレスラー、メインイベンターに返り咲いた両者が、極上のプロレスリングを見せてくれるのだから本当に堪らない。

 玄人好みといえばそうだとは思う。超人的でも派手な飛び技や投げ技がある訳ではない。しかし、互いの培ってきたテクニックに、TVプロレスのキャッチーさを兼ね揃えた試合となっている。
 ブライアンがグラウンドテクニックで圧倒すれば、クリスチャンはリング外に逃れ、一呼吸を置いた上で、サミングからブライアンの腕を捉え、アームブリーカーを放つ。この序盤に2人が詰まっている。その後、クリスチャンが少ないながら的確な技で腕攻めを行い、残りはヒールプレイで試合を支配。

 対するブライアンは、腕のダメージ表現を的確に行う。ザック戦同様を痛めた右腕を徹底的に使わない反撃。今回はヘッドバッド中心ということで、少しナイジェル戦も思わせる演出。相互理解は持っているけども、各々が持つスタイルや世界観からは絶対に逸脱しない。派手ではないけども、そこに闘いもストーリーテリングもある。
 攻撃力的には劣るクリスチャンではあるものの、エプロンへの投げを使ったり、得意のリバースDDTに腕攻めを少し絡めたりと上手く調節し、後はブライアンの絶妙なダメージ表現の賜物。そしてクライマックスではギアを上げて互いの必殺技を返し合う展開。シンプルながらカウンターの妙を活かし、勝ち負けが全くわからないスリリングな攻防を演出した後、満を持してのチープフィニッシュもこれぞクリスチャン。まさにクリスチャン度120点満点の決着。(リッキーのベルトショットも非常にハイレベル。WWEを良く見ているからこそ出来るハイセンスなベルトショット)

 これぞクリスチャン・ケイジ対ブライアン・ダニエルソンという唯一無二の内容。この2人にしか出来ない試合内容。アメリカンプロレスの教本の1ページに載せるべき一戦でした。アメリカンプロレスファン、そしてWWEファンにこそ観てほしい一戦。2023年とAEWを代表する歴史に残したい名勝負です。
 文句無しに名勝負。
評価:****3/4

全体評価:7.5

 

AEW Collision #15 9/23/2023

 

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ジェイ・ホワイト(w/ジュース・ロビンソン&ザ・ガンズ)対アンドラーデ・エル・イドロ

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 ジェイが逆水平を武器に試合をコントロールし、セコンドのBCGの悪ノリをアクセントにしつつ、耐えたアンドラーデが豪快に反撃。慣れ親しんだヒールとして戦うジェイと不慣れはフェイスのアンドラーデであれば、当然ジェイの方が魅力的に映るのはやむを得ないものの、アンドラーデでも工夫しながら仕事を遂行していたのは見事でした。想像以上の熱戦。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

テキサス・デスマッチ
ブライアン・ダニエルソン対リッキー・スタークス

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 激戦となったストラップマッチの記憶も新しい中、抗争は継続し、今回はテキサス・デスマッチという名のラストマンスタンディングで激突。

 乱戦ベースでスタートし、制裁的なサブミッションで攻めるブライアンに対し、ブライアンがROH時代の奥の手、観客へ飛び込む様なトップロープからの場外ダイブを決め、リッキーが攻め込めば、ブライアンが倍返しという構図。

 ストラップ、チェーン、椅子と決して派手ではない凶器で削り合う武骨な流血戦。世界観を大事にし、それを活かした攻防の数々は眼を見張る。怖いブライアンを引き出し続けるリッキーの存在価値の高さが印象的。この試合も十分PPV級の死闘です。
 好勝負。
評価:****

 

全体評価:8