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AEW Double Or Nothing 2024 Review MJF復帰!/"火炎放射&画鋲リーボック&爆破椅子!"アナーキー・イン・ジ・アリーナ戦他

AEW Double Or Nothing 2024 5/26/2024

 

www.trillertv.com

 

AEWインターナショナル王座戦
ロデリック・ストロング(c)(w/ザ・キングダム)対ウィル・オスプレイ
 オスプレイが奇襲を仕掛け、それ自体は不発に終わるもキングダムの2人も蹴散らす華々しい幕開けから、ロデリックの七色のバックブリーカーを軸とした支配ターンを経て、終盤以降はフルスロットル。

 世界最高を欲しいままにするオスプレイにキレとスピードでも付いていく、ロデリックの健在ぶりが楽しめる。この位置にオスプレイがいることがもはや反則ではあるが、疾走感と重厚感満点の大満足な攻防の数々は、大会の着火剤として十二分過ぎるレベルのものになりました。

 好勝負。
評価:****

 アダム・コール復帰の挨拶を行っていると、場内が暗転し、2002年のHHHオマージュ?コスチュームに身を包んだMJFが復帰し、更にはAEWとの再契約をアナウンス。

youtu.be

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AEW女子世界王座戦
“タイムレス”トニー・ストーム(c)(w/ルーサー&マライア・メイ)対セリーナ・ディーブ
 実力者同士の肉弾戦。スープレックスの連発に大技の連続で大会場仕様。サブミッションで魅せる攻防もありと見せ場はかなり作ったが、アンダーカードの割を食った形。通常放送やBotBくらいの規模でメインとして思う存分戦わせることが出来れば、もっと評価は上がったはず。

 多少大味に振り切り、例えクオリティを落としても印象に残るシーンを作り出すのが大事なので、必殺技乱舞に雪崩式パイルドライバーを行うのは理解出来る。本当はトニーのキャラクターベースで危険度を落とせるのならば理想だが。

 平均的良試合。
評価:***1/4

 

AEW TNT王座戦-バーブドワイヤー・ケージマッチ
アダム・コープランド(c)対マラカイ・ブラック

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 コープランドは、Slayerの『South of Heaven』を入場曲に使用し、The Broodスタイルのコスチュームで登場。
 その他のハードコア系試合と差別化している点は、お題である金網、有刺鉄線を多用する点。マラカイは、ストライカースタイルなので、ハードコアに特別相性が良い訳ではないが、ベテランの上手さで難なく対応。大流血も志願。コープランドも丁寧に構築することには定評があることも良い方向に作用している。

 金網天辺からのダイブを足から落ちた形となったため、結果コープランドが脚を骨折。動きがガクッと落ちたものの、HoBの介入、更にはThe Broodの仲間であるギャングレルのサプライズ登場で何とかクオリティをキープして完走。ギャングレルの動きに衰えがないのが恐ろしい。まさに吸血鬼。このサプライズがコープランドの窮地を救いました。

 中々良い試合。
評価:***1/2

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AEW TBS王座戦
ウィロー・ナイチンゲール(c)(w/クリス・スタットランダー&ストークリー・ハサウェイ)対メルセデス・モネ

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 メルセデス・モネのAEW初試合は、新日本で敗北を喫し、長期欠場の原因となった因縁のウィローとの一戦。

 モネのルチャらしいシークエンスに適度に付き合った後は、エプロンへのパワーボムなど体格を活かした攻撃を繰り出すウィローに対し、脚攻めを起点に切り崩しにかかるモネ。絶対的ベビーフェイスのウィローに、臨機応変にヒール調の構築で対応するのは、流石の技術力。

 圧倒的スターのモネがテクニックを示す構築である一方、ちゃんとウィローを立てた試合構築にもなっているところに団体側と演者に対する配慮を感じる。そしてその配慮に応えるウィロー。全く存在感で負けていないところが素晴らしい。新日本、スターダムと提携団体に用意する1番手に選ばれるだけある。AEW女子部門のトップの一角であることを示している。

 モネの外せない1発目にウィローとのリベンジマッチを据えたのはやはり正解。新しい船出は成功し、試合後にはスタットランダー&ハサウェイのヒールターンのおまけ付き。女子部門が足手纏いとはもう言わせない。
 好勝負。
評価:****

 

 

AEW世界王座戦
スワーブ・ストリックランド(c)(w/プリンス・ナナ)対クリスチャン・ケイジ(w/キルスイッチ、ニック&マザー・ウェイン)

 


 大ボリュームのPPVにインサイドワークが武器のクリスチャンは、パンチが弱くなりがちだが、クリスチャン軍団の度重なる介入祭りをキーに据えながら、スワーブの華やかなムーブとクリスチャンの試合構築力で物足りなさを感じさせない仕組みになっている。

 イメージが湧かないマッチメイクではあるが、絶対的ヒールのクリスチャンと躍進を続けるダークヒーロースワーブという構図も思いの外嵌っており、構成上仕方はないが、メインでも問題のない内容に仕上がっている。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

アナーキー・イン・ジ・アリーナマッチ
チームAEW(ブライアン・ダニエルソン、ダックス・ハーウッド、キャッシュ・ウィーラー&ダービー・アリン)対ジ・エリート(マット&ニック・ジャクソン、オカダ・カズチカ&ジャック・ペリー)

 

 


 メインは乱闘物という往年のROHリスペクトスタイル。使用料がたっかい高いファイナルカウントダウンを流しながらMGMグランドを所狭しに練り歩く大乱闘にダービーの十八番高所ダイブと楽し過ぎる幕開け。

 他と差別化するため、比較的ゴミ箱や竹刀の様な繋ぎの凶器使用は少なめ。その代わり場外戦を長く入れ、要所はバックスとFTR、ブライアンが繋ぎ、最終的にはメガスポット連発。モンスタートラックでの轢き逃げ未遂や火炎放射器によるPG攻撃、爆破バットに画鋲リーボック、画鋲レインメーカーに、極め付けは逆さ吊り。逆さ吊りはさすがにやり過ぎ感はあったのは否めないが、上手くバックスとブライアンが中和。ド派手な乱戦はバックスの独壇場ながら、相手の土俵でも自らの空気に返してしまうブライアンのスターパワーも光る。

 FTRが巧いけれどこの手の試合にフェイスの役割だと華は劣る。オカダは明らかにハードコア慣れしておらずサポート役。ペリーはスタント要員という状況の中、バックスとブライアンの統率力、スムーズな試合のコントロールがモノを言う大乱戦。大会全体を通して見るとメインはこの試合しかあり得ない。

 引いてしまう要素はあるにしても、マニアがただ楽しむだけのための試合。AEWらしさ満載でした。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

全体評価:9+