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マリーゴールド旗揚げ戦 Marigold Fields Forever Review ジュリア&林下詩美対Sareee&ボジラ ~チーム・カナダからの手紙~

Dream Star Fighting Marigold Marigold Fields Forever 5/20/2024

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ジュリア&林下詩美対Sareee&ボジラ

 


 スターダムでは同じユニットではなく、タッグも当然組むことはなかったジュリアと林下が団体のエースタッグを結成。とはいっても連携を次々と決めるわけではなく、基本的には個々で動く形。

 目玉のジュリア対Sareeeは、ファストペースでバチバチ削り合う熾烈な展開。これでもかと厳しい打撃に鋭角な投げを連発。Sareeeの裏投げは、本人は良く理解しているとは思うが、WWEならまずアウトなレベルの鋭い角度でヒヤヒヤする。

 攻防こそ厳しく熱く見せ場満載だが、別にマリーゴールドでなくても観れたかもしれないカードで、ストーリー的にも弱い。WWEへの移籍が決まっている様なもののジュリアでもあるため、余り乗ってこないのは事実。

 脇を固める林下もそんなジュリアをサポートする役回りが主。素晴らしい選手には違いないが、完成度ではジュリアとサリーには劣る部分もある上に、今回はバランサーの役割が多く、割を食っていた印象。

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 ただ、今試合のサプライズは何を隠そうボジラである。ヨーロッパ・インディのローカル・レジェンドウルフ・ハーマンの20歳の娘で体格が優れているという触れ込みしかなかったが、蓋を開けるとカナダCan-Am dojoで元TNA副社長スコット・ダモールやTNAの絶対的エース、ジョシュ・アレキサンダーの教え子と間違いない出所の持ち主。

 WCWにおけるクロニックの様な大人しめな打撃やまだまだ融通が効かない部分がかなりあったものの、恵まれた体格を活かした立ち振る舞いは、瞬く間に観客を魅了。全く情報がなかったこと、その他の選手が大型ではないので、ボジラのサイズがとにかく映える構図。原石過ぎるほどの粗削りだが、完成された選手の中で、まさに昭和を感じさせる希少な存在がこの試合においてはベストマッチ。

 見慣れてくると課題は多数出てくるとは思うものの、1発目の最大瞬間風速で全てを持っていった活躍。飽きられてもスポットが与えられるのが日本でもあり、体格もルックスも兼ね揃えており、しっかりとカナダで仕込まれたか、本人も怪物として動くことへの理解もある。ある意味WWEが1番求めている存在であり、3〜5年後にUSに渡り、NXTで活躍していてもおかしくない可能性を持っている。

 その他の3人の実力があってこそ成り立っているのが前提だが、まさかのダークホース、ボジラが全てを持っていったサプライズ。濃密で完成度が高い部分とカオスと初期衝動を楽しむ部分が混在し、ショーをスティールしてみせた好勝負。
評価:****