世界のプロレス探検隊

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AEW WrestleDream Review "エッジ" アダム・コープランド登場!/ブライアン・ダニエルソン対ザック・セイバーJr.他

AEW WrestleDream 10/1/2023

 

 

www.fite.tv

 

NJPW STRONG無差別級選手権試合&ROH世界王座戦
エディ・キングストン(c)対柴田勝頼
 このカードの狙い通り、ジャパニーズテイストを多分に感じさせる肉弾戦。このカードでもスティール出来る内容は作れる可能性は秘めていたが、アンダーカードということで適正なサイズ感に。中々良い試合。
評価:***1/2

 

スワーブ・ストリックランド(w/プリンス・ナナ)対”ハングマン”アダム・ペイジ

 


 スワーブのメインイベンターへのテストは、元AEW世界王者、団体の顔の1人ハングマンとの抗争。スワーブの地元の州、ワシントン州シアトルでの開催とあり、スワーブは、NFLシアトル・シーホークスカラーのギアを着用し、支持を受け、一方では人気者ハングマンに容赦なくブーイングが飛ぶ展開。当初予定していたフェイスヒールとは逆転していたが、2人のアドリブ力の見せ所。

 ハングマンがヒール調で対応することで、違和感を生み出させない。出来る選手はどのシチュエーションでも高いレベルで対応可能。逆にフェイスヒールの逆転現象をガソリンに、スワーブが小気味良い波状攻撃を放ち魅了。

 終盤では、ハングマンが鉄階段でのデッド•アイを見舞えば、スワーブは久しぶりに腕攻めフルコースを解禁し、バックショットを封じる。華麗かつ理にも適っている引き出しを開ける事でボリュームアップ。ナナを絡めたフィニッシュもダーティだがクールに決めており、充実の締めくくり方。

 スワーブがメインイベンターの器であることを示す一方、ハングマンの対応力が格段に上がっている事も改めてアピール。団体の象徴として確実な仕事ぶり。

 地元だからこその難しい状況だったのを、まるでトラップのビートの様に、見事に乗りこなした名勝負。
評価:****1/2

 

ブライアン・ダニエルソン対ザック・セイバーJr.

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 テクニカルレスラー世界一決定戦。ワシントン州出身のブライアンは、スワーブと同じくシアトル・シーホークスカラーのギアを着用し登場。

 解説に来ていたモクスリーが述べていた様に、一つの行動の中に、複数のオプションが持っている。そしてそのビジョンは共有されている。共有されているからこそあえてそれを裏切ったり、強弱を付けたりと単なる腕の取り合いが極上の攻防に早変わり。奇術師的なテクニック合戦も当然あるものの、コンバットスポーツ的なスリリングさを打ち出しており、単に上手さを競うだけではなく、そこに厳しさ激しさがあり、闘いを感じる事が出来る。

 中盤はザックが、ブライアンが負傷していた手〜腕に狙い付ける形。本来持つ技術から考えればかなりシンプルな味付けだが、ビルドアップを遂げた今のザックだからこそ、打撃で重みを生み出す事が出来、重厚さを試合にもたらしている。

 手〜腕にダメージを負ったブライアンだが、負傷箇所を使わずともローキックやその他サブミッションで完璧に反撃。それまでの攻撃に対するダメージを表現し、試合展開全てに意味を持たせる。追われる立場のブライアンは、試合をコントロールしながら、ザックの脅威をスケールアップさせ、追う立場のザックはブライアンを倒す為の手を全て尽くす。

 大会場のPPVというサブミッションが武器のレスラーにとってかなり難しい環境において、ブライアンのサポートにより、遂にザックの真の力を表現することに成功。変に縮こまらずキャッチーな打撃の打ち合いや丸め込み合戦も取り入れるなど多角的な魅せ方でTVプロレス的な要素も十分確保。高すぎる実力で高すぎる期待値を打ち破る期待以上の大熱戦。

 文句無し5スターマッチ。
評価:*****

 

AEW世界タッグ王座戦
FTR(c)(ダックス・ハーウッド&キャッシュ・ウィーラー)対オージー・オープン(カイル・フレッチャー&マーク・デイヴィス)
 大ボリュームの大会に燃え尽きた観客は、何をやっても盛り上がれない。まさに試合構成の犠牲者。デイヴィス、キャッシュ共負傷し、激戦の割には、リターンは少なく、雪崩式シャッターマシーンという超大技で形を付けざるを得ない。

 環境や場面が違えば、昨年のロイヤルクエストほどには行かなくても、好勝負位は簡単に到達出来たはず。クオリティとそれに対するリターンが全く比例しなかった一戦。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

AEW TNT王座戦-3本勝負
クリスチャン・ケイジ(c)対ダービー・アリン

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 クリスチャンがPPVのメインに返り咲き。ダービーは初のメインという記念すべき一戦。遺恨精算の3本勝負ということもあり、レスリングは省き、印象に残るシーンを多く配置する形で進行。

 クリスチャンのヒールプレイとダービーのクレイジー過ぎるクレイジーバンプを軸に、要所は一進一退の攻防も披露。

 3本目はリングのマットを剥いだ板剥き出し状態で。レフェリー失神にまさかのダブルクロスとストーリーで走り切った形。ストーリーとその間の試合が上手く行っていったことが、この試合に良い方に作用。

 AEWというよりもTNA/インパクトっぽい内容だが、そこにダービーがいることでAEWとして成立するのは強い。そして試合後はお待ちかねの”エッジ”アダム・コープランドの登場と熱狂のメインイベントでした。

 好勝負。
評価:****

全体評価:9.5