世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

PROGRESS Wrestling Chapter 135: Super Strong Style 16 Tournament Edition 2022 Day1&2 Review "敗者団体追放戦! 鮮血のブラックスワン"カーラ・ノワール対スパイク・トリベット他

PROGRESS Wrestling Chapter 135: Super Strong Style 16 Tournament Edition 2022 – Day 1 6/3/2022 

SSS16 2022 1回戦
チャーリー・デンプシー対チャールズ・クロウリー
 リーガル愛息デンプシーのショーケースマッチになりそうな展開も奇術師ギミックのクロウリーもキャラクターを活かしつつ、テクニカルな面でも対応していて、デンプシーが凄いで終わらせなかったのは非常に収穫でした。

 平均的良試合。
評価:***1/4

 

SSS16 2022 1回戦
アラミス対ロビーX
 AAAのエストレージャアラミスとUKシーンのエストレージャロビーの激突。ロビーは身体を絞っていて、更に動きのキレが増している。アラミスはいつも通りキレキレなので、見応え満点の華麗なハイフライ合戦が展開。縦横無尽に飛び回り、一つ一つの攻防の完成度も良く、いつも戦っている様な感覚を覚える。ロビーも日本のジュニアやルチャ方面でもっと売れる事が出来る可能性を十分に示した激闘。何度でも見たい熱戦です。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:7

 

PROGRESS Wrestling Chapter 135: Super Strong Style 16 Tournament Edition 2022 – Day 2 6/4/2022 

PROGRESSタッグ王座戦-ラダー・マッチ
The 0121(c)(マン・ライク・デリース&ダン・マローニー)対サンシャイン・マシーン(TKクーパー&チャック・マンボ)対スモーキン・エーシズ(チャーリー・スターリング&ニック・ライリー)
 タッグ王座戦線を彩ってきた3チームによるラダー戦。安定のSM対SA対決が確実にクオリティを叩き出し、要所では力技で0121がアクセントを付けるスポットフェスト系ではなく、ラダーを登るシーンで多くのアイデアを出して魅せ、その合間で個々のアクロバティックな攻撃、正確な連携技を披露。

 最後はテーブルではなく、マンボのサーファーギミックを活かしたサーフボードをテーブル代わりに使用。コミカルにならずかなり破天荒な使い方をする事で勢いが落ちなかったのも効果的。最高の盛り上がりを巻き起こしたオープニングでした。

 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

SSS16 2022準々決勝
チャーリー・デンプシー対クリス・リッジウェイ
 今大会注目カードの一つ。ウィリアム・リーガルの実の息子にして、ランカシャースタイルも継承、WWEでも活躍する期待の新星デンプシーとPROGRESSだけでなくUKシーンの屋台骨を支え続け、ノアでも再び活躍中のリッジウェイの激突。極めたら極め返す。投げられたら投げ返すと全編通して攻防が全く途切れないのが印象的。

 初対決のはずだが何年も何回も試合をしているライバル対決かの様な鬩ぎ合いを展開。飄々としたデンプシーにクールなリッジウェイ、表情で熱さを出す様な選手ではないが、一つ一つの動きの鋭さで心の中の燃えたぎる炎が見えて来る。

 ブライアン・ダニエルソンの様にキャトル・ミューティレーションで絞り上げるデンプシーに対し、鼓太郎オマージュボディのエルボーに中嶋の様なバーティカルスパイクとノア殺法で叩きのめすリッジウェイ。

 最初から最後まで殆どシームレスに試合が続き、激しさ、疾走感、スリル感が一切なくならなかったのご見事。注目の組み合わせ、玄人好みではあるものの、期待以上の素晴らしい内容となりました。

 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

アイクイット・マッチ-ルーザー・リーブスPROGRESS
カーラ・ノワール対スパイク・トリベット
 敗者追放戦。ブラック・スワンの素顔を暴き、団体から追い出そうとする極悪貴族トリベット。時間をかけたストーリーの決着戦。

 序盤はエルボーの打ち合いからそれぞれの必殺技を見舞う展開だが試合の空気感には合っておらずスロースタート。ハードコア要素がないとカーラにトリベットが勝る要素はなかったものの、場外戦からハードコア要素を強めていくと、ハードコアやデスマッチで名を上げていたトリベットの領域に。

 ボトル攻撃に椅子攻撃、ステージのパイルドライバーでカーラを一気に瀕死に追い込む展開。ブラック・スワンが滅多になかったハードコア戦でグロッキーとなり、挙げ句の果ては殆ど見せたことがない流血姿となり引き込んでいく。トリベットもザ悪党という表現力も良い。

 カーラのブラックスワンギミックに合わせた演劇的なハードコアは、ウィル・オスプレイ対ジミー・ハヴォックなどかつての PROGRESSが得意分野としていたもの。大量の椅子に留まらず、大量の画鋲、カーラがジムを経営している事を活かしたトランポリンといったわかりやすく派手な凶器群から、ロープにチェーンでカーラを括り付けての椅子攻撃とアイクイット戦に相応しい演出と陰鬱な内容に仕上げていき、降参しないカーラに対し、会場に来ていたカーラの妻を引っ張り出し無理やり降参させ、カーラ・ノワールから素顔のトーマス・ドーキンスに無理やり戻してしまうという強硬手段に出たトリベット。

 元々喋らないギミックなのでこれしかない演出。決着戦といいつつも更なる抗争の前触れだったという結末だが、久々にPROGRESSらしさ満点のハードコア戦。カーラ、トリベットのギミックがあってこそだが、それを最大限活かした流血戦に出来たのは、団体が復調してきたサインといっても良いでしょう。

 文句無しに好勝負。
評価:****1/4

全体評価:8.5+