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約9年ぶりの来日! TMDK第4の男からオーストラリアの剛腕紳士へ "ザ・ビジネス" スレックス特集

約9年ぶりの来日! オーストラリアの剛腕紳士 "ザ・ビジネス" スレックス特集

 

今回はノアに約9年ぶりの再来日を遂げたスレックスを紹介。

彼のホームマットであるMCWマットでの名勝負好勝負を中心に、ノア参戦後いかに彼が成長し、オーストラリアを代表し、世界に勝負出来る選手となったかを紹介していく。来日のカードはまだまだ弱いが、今すぐにでもヘビー・ジュニア問わずメインイベンターとして君臨出来る高い実力を誇る選手です。

 

 

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Melbourne City Wrestling(MCW) Homecoming 2021 2/6/2021


MCW世界ヘビー級王座戦-3ステージズ・オブ・ヘル
(1本目:通常形式、2本目:フォールズ・カウント・エニウェアマッチ、3本目:ラダー・マッチ)
アダム・ブルックス(c)対スレックス

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 宿命のライバル対決。昨年の1月に対戦した後、スレックスはROHと契約しアメリカに。ベルトを守るアダムもスレックスを追って、ROHに参戦し、周年大会で一騎討ちする予定、カードまで発表されていたものの、COVIDの関係で大会は中止。ROHはTV放送を持つ団体の中でも復活が遅いこともあり、スレックスも母国へ戻らざるを得なくなってしまった。その中で、MCW復活大会で1年越しの再戦がラインナップ。そして雌雄を決する舞台として3ステージズ・オブ・ヘルの形式が選ばれた。

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 まず1本目は通常形式。動きを確かめる様なシーンはあっても、冒頭の演舞的なシーンから、溜めを作りながら、ギアを入れると極上の攻防の数々は健在。このクラスだと、緩急を自在に使える上、急の凄さは世界最高品質。世界中のどのマットでも拍手喝采を得られる確信を持てる程、どこを切り取っても見事。

 10分だったが、普通の試合の20分位の密度がある。ムーブだけではなく、2人ともアピール力があるのも強く、両者ベビーフェイスでも、淡白にならないのが素晴らしい。丸め込み合戦を経て、両者必殺級の技を温存した上で、関節技でスレックスが一本。この結末も見事。問題がないまま2本目へ。
 2本目はエニウェア戦。スレックスがすぐさま椅子を投入。椅子越しのキックに椅子へのツームストーンで畳みかける。まさか2本連取で終わらないよなと思ってしまうところへの畳み掛けは、意表を突くことが出来、その後スーパープレックスを受けたアダムが、受けた勢いを利用して、場外への道連れ式ブレーンバスターで流れを断ち切るハイセンスぶりも良い。仕切り直し方が他とは違う。
 その後ペースを落としながらも、椅子や花道での攻防で激しさを増していく展開。1本目が素晴らし過ぎるので、どうしても見劣りはするものの、スポットの入れ方や内容は間違えていないので、良い状態のまま試合を運べている。そしてテーブルに寝かしたスレックスへ、アダムがラダーからのスワントーンボム。スーサイドな一発でタイに戻し、3本目はラダー・マッチ。
 ただでさえラダー・マッチは難しい形式なのに、3本勝負の3本目ならば余計。3本勝負の最後にラダー・マッチが用意されるのは、過去にも例はあったが、エクストリーム・ルールズやラストマン戦の様なそれまでの死闘感と必ずしもリンクする決着の仕方をする形式ではないのが作用する。

 今回も例に漏れず、必殺技の攻防やラダーの凶器化、テーブル葬に椅子トラップへの投げと激しく手広くやって、クオリティを落とさない様にしているのは素晴らしいけれども、ラダー・マッチの性質上、間延び感が出て、熱が逃げやすくなる。今回はそれまでの2本と同じ位の時間を設定し、ラダー・マッチ感を出す攻防から試合を作る形。それ自体は選ばれたものにしか出来ない高みへの挑戦だが、エンタメ性というサポートがない中でやるのは難しさが出てしまった。

 激しさを持続させながら、もう少しコンパクトにまとめれば名勝負レベルを維持出来ただろう。しかし、散々好勝負名勝負をやってきた両雄の再戦とあって、景色を変えるには、これ位の冒険はあっても良く、実際にハイレベルな内容を残したのは賞賛に値する。通常形式やハードコアなしの3本勝負の方がより歴史に残る試合になったとは思うが、この試合もオーストラリアマット史の1ページに、確実に語り継がれるものを残してくれた。文句無しに好勝負。
評価:****1/4

 

 

MCW 100 18/8/18


MCWインターコモンウェルス王座戦
スレックス(c)対ウィル・オスプレイ

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尊大な肉体派ヒールのスレックスと、至宝奪還を狙う天空の戦士オスプレイ。Jr.の枠を既に超えてベスト・イン・ザ・ワールドの座をひた走るオスプレイ。この試合でも序盤は猛スピードで華麗な演舞を見せ、中盤でペースを落とし重みを追加。エモーショナルな打撃戦を加えつつ、激しい一進一退と切り返しでまとめていく、ビッグマッチ仕様の高レベルな構築を見せる。

 只この構築は、成功すれば名勝負間違いなしの手法だが、失敗するとオスプレイの凄さしか目立たないパターンに陥る事が有るハイリスクハイリターンなもの。だがこの試合では、オスプレイの兄貴分オカダとも戦った事もあり、ノア参戦経験もあるスレックスの大立ち回りが光る。ヒールアピールも入れながら、パワーでもスピードでも対応出来る。何よりもオスプレイのスピードに完全について行けているのは驚き。

 必殺技がコークスクリュー・キックというのも良く、切り返しやカウンターを生み出しやすいのもポイント。フェイントでトルネードDDTに応用が出来るのも強い。これで終わりだという所から、一押し二押しがあり、まるでIWGP戦を見ているかの様な大熱戦。ノーマークではあったが、両者の実力と狙いがピッタリハマったマジックタイム。
 文句無しに名勝負。
評価:****3/4


MCW End Game 2018 18/11/17
MCWインターコモンウェルス王座戦
アダム・ブルックス(c)対スレックス

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 序盤の数分で、互いのキャラクター、前回の対戦での出来事に基本的なレスリング、テクニカルな切り返しという複数の要素を回収してしまう所に凄さを感じ、その後は小悪党アダムが狡猾に攻めれば、次第にスレックスは支持を集め始める。攻守が細かく入れ替わるスリリングな展開。

 ヒールプレイはあるけれど、一番の魅力は攻防の充実度の高さ。ロングマッチでもなければ、ハードコアもないけれど、十分テクニカルさも軽快さも重厚さもあるので、変な仕掛けをする必要なし。

 試合を通してバランス感覚と構築能力の高さも示していた。攻防を紡ぐだけで特別感が出る。再戦もオーストラリアマットのトップランナー対決に相応しい内容となっていた。文句なしに好勝負。
評価:****1/4

 

MCW Clash of The Titans 2019 19/3/16

MCW世界ヘビー級王座戦&MCWインターコモンウェルス王座戦-Winner Takes All
ジーノ・ガンビーノ(WH ch)対スレックス(IC ch)

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 タイトル対タイトル。ジョナがWWEに行き、オーストラリアシーンでヘビーのトップ2の決戦。スレックスが必殺技を打ち込んで、そこからガンビーノがエスケープしそのまま場外戦。ラフとマネージャーの介入でガンビーノが重厚感たっぷりに支配するも、スレックスもキレのある動きで応戦と、これまで2人が築いて来たもの、団体が作り上げて来たもの全てを見せた訳ではないが、選りすぐりの良い所をピックアップ。

 WMやビッグイベントでやるようなエンタメ全開のシンプルかつ王道の攻防。それが決してみずぼらしくならない所に、トップたる所以を感じる。コテコテの勧善懲悪の内容だが、攻防面においてもツボを押さえているし、変に過激技満載の物量勝負よりもスッキリしていて観やすさもある。

 最後リングマットを剥いだシーンの伏線回収がない等全編通して駆け足感が目立ったのは惜しかったが、綺麗にまとまった内容。タイトル対タイトルといった大一番はこれくらいの方が適切。好勝負。
評価:****

 

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