世界のプロレス探検隊

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Impact Wrestling Rebellion 2022 Review ムース対ジョシュ・アレキサンダー/ミゲル対エース対ベイリー

Impact Wrestling Rebellion 2022 4/24/2022

 

www.fite.tv

 

AAAレイナ・デ・レイナス王座戦
ディオナ・パラッツォ(c)対タヤ・ヴァルキリー

youtu.be


 新旧王者対決であり、新旧インパクト女子部門のエース対決。AAAを意識したルチャムーブで入り、ディオナもヒール要素はかなり少なく、シンプルに攻防で競う一進一退が中心。ディオナなので実力で形に出来るものの、インパクトでこのカードからあくまでも最低レベルを超えたようなもの。

 トリブレマニアなのか、ディオナの契約切れからの親友ブリット・ベイカーの待つAEW/ROHが近づいたのかは謎だが、長らくエースとしてメインを張ってきたディオナの試合やストーリーにしては静かすぎるのは気がかり。平均的良試合。

評価:***1/4

 

Impact Xディビジョン王座戦-トリプル・スレットマッチ
トレイ・ミゲル(c)対エース・オースチン対”スピードボール”マイク・ベイリー
 今の軽量級戦線のトップが揃った3人。1人ヒールのエースを捕まえた序盤から徐々に3人入り乱れて、連鎖ムーブに立体的な攻撃も交えて土台を作る。無理に派手に行かなくてもペースは保っても、クオリティを落とさずに進められるのはこの3人の強さ。

 そこから中盤以降は、独創的な凄技を解禁し、リミッターを外していく。ギアを一度入れると瞬く間に魅了する現在のXディビジョンのトップ達。ミッドカードで制約があるとはいえ、その中でもTVプロレスに魅力を落とし込んで成立させているので、オープニングで盛り上げ要員のみではなく、ミッドカードの大切な中締めでも起用出来るのは強い。

 

 今の充実し切ったミゲルを落とし、世界最高の1人ベイリーに巻かさないのは勿体ないけども、ストーリーを回すならヒールのエースではあるので、難しい所。華麗なハイフライング、3ウェイらしい目まぐるしさ、それに頼り切らずに成立出来るレスラーとしての充実度も堪能出来るXディビジョンの魅力が詰まった好勝負。
評価:****

 

Impact世界王座戦
ムース(c)対ジョシュ・アレキサンダー

 

 BFGでベルトを強奪してから半年寝かせた抗争も遂に決着。ジョシュの家族や契約状況も巻き込み、丁寧に作り上げたストーリー同様、この試合もビッグマッチらしく丁寧に入った前半戦。どちらも強さが売りな為、そこを損なわずに進める。

 最初はファイヤーマンズキャリーでテイクダウンを仕掛けたジョシュが、妻ジェイドを挑発するムースを見ると殴りかかる展開に変えていくのは上手いが、わかりやすさは余りなく、良くも悪くも堅実。フェイスヒールのダイナミズムは活かせずに中盤までじっくりと作り上げる。

 空気を変えるきっかけとなったのはジョシュの10連ジャーマンから。大舞台限定の特別な攻撃からは狙い通りに事が進み出し、ヘビー級同士の重厚な打ち合いが嵌っていく。ムースのパワーと身体能力に、ジョシュの執拗なアンクルロック狙い、一進一退の攻防に大きなスパイスを与えたジョシュのスタイルズ・クラッシュ。レフェリーのブラインドを突いたチープショットからのニアフォールとスリル満点のクライマックスにかけて一気に加速。終盤6分余りの上がり方は中々のレベル。

 

 ストーリーを丁寧に作り上げた種蒔きが、単にあわやというシーンを沢山織り込むだけでは回収出来ない熱を生み出していた。流血やテーブル等もっとビッグマッチ仕様に出来た事は沢山あるけども、それぞれのレスラーの能力を信じたからこその硬派なロングマッチ。インパクトのサイズだからこそ出来た内容ではあるものの、頂上決戦に相応しい熱戦でした。好勝負。
評価:****

 

全体評価:8.5