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AAW Destination Chicago 2021 Review+α フレッド・イェーハイ対ジョシュ・アレキサンダー/ダニエル・ガルシア対デイビー・リチャーズ他

AAW Destination Chicago 2021 9/2/2021

 

 

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AAWタッグ王座戦
InFAMy(c)(Joease&ロビン・スティール)対ジェイク・サムシング&スタリオン・ロジャース

 ジュース・ロビンソン戦を終えたマンダースを襲撃したInFAMyの前に現れたのは、スタリオンとサムシング。WRSTLINGとしてかつて団体を席巻したタッグが復活。復帰したスタリオンは元気一杯。風格も付いており、勢いを活かすだけの技量もある。サムシングもインパクトでのキャリアメイキングマッチを経て好調を維持。

 この様な2人相手では分が悪いInFAMyだったが、乱戦ベースのスタートから上手く試合を落ち着かせて、反撃には連携技を駆使して対抗していたのは印象的。スピードを落とし切ってしまいがちな試合展開で、乱戦の勢いとスピード感を保ちつつ、最後まで走り切ったのは見事。InFAMyは、個々としてもタッグとしても実力実績で劣る中でも、勝機を見出す動きをしていたのは好感でした。彼らの中ではベストワークに近いでしょう。最後はマンダースを絡めてフィニッシュとなったが、スタリオン&サムシングの再会とInFAMyの奮闘、狙い通りの良試合でした。中々良い試合。
評価:***1/2

 

AAWヘリテージ王座戦
マイロン・リード(c)対エース・オースチン

 Rockstar Proからの戦友対決。同世代で歩んできた道も似ており、手を合わせることも多々あった両者が、インディにおけるホームマットというべきAAWで王座戦シングルを戦うのは感慨深く、2人ともシングルレスラーとして躍進を続ける今だからこそ組む意味もある。華やかな動きと小気味良い攻防を重ねていきながら、大技で魅せ、要所ではビッグダイブで爆発と理想通りの試合内容。

 重すぎず軽すぎない、彼らの良さが1番出る試合の進め方を的確に出来ていた。エースがヒールワークに頼らなくても、ここまで出来たのは大きな収穫。インパクトとMLWの若き実力者同士の激闘でした。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

試合後この前の試合のCall Your Shotスクランブルマッチを勝ち抜いたハキーム・ゼイン(ロヒット・ラジュ)が登場し、その権利を行使。仲間のカラムの介入もあり、すぐさま王座獲得。更にエースだけではなく、Impact Wrestlingのバックステージ・インタビュアーであり、プロレスラーでもあるエースの彼女ジア・ミラーにも手を加える。

 

ダニエル・ガルシア対デイビー・リチャーズ

 腕の取り合いからトップポジションを奪い合うグラウンドに、部分攻めと両者得意のテリトリーで戦う形。スタイルも同じである為、良い試合になるのは確定していたが、ガルシアがデイビーと同じレベルの技術の高さを見せ、デイビーがガルシアと同じレベルのキレのある動きを見せる。互いが互いを高め合う。デイビーが飛ぶ鳥を落とす勢いの若きガルシアと同じレベルで戦えるとは感嘆の一言。

 グラウンドでは同レベルだったが、打撃的にはデイビーの方が上回っており、やはりベスト・イン・ザ・ワールドの座に付いた事のある者の強さは計り知れないとひたすら驚く試合。ガルシアがこの翌日「AEW Rampage」でのダービー・アリン戦を控えていようが関係ない、手に汗握るスリリングな激闘。シュートスタイルにおけるトップクラスの内容。

 もっともっと見たくなる、長い時間も欲しくなるけれど、20分以内のサイズだからこそ、鋭さが前面に出ていて、時間を絞った場合の良さがあった。お互いの持ち味がこれでもかと発揮された好勝負です。

評価:****

 

AAWヘビー級王座戦
フレッド・イェーハイ(c)対ジョシュ・アレキサンダー
 現王者イェーハイとイェーハイが倒した前王者マンス・ワーナーの前の王者がジョシュという対決。
 冒頭10分はグラウンド中心。ロングマッチに対応出来る時間の使い方はしつつも、手法は細かく変えていて、飽きさせない。この2人がレスリング力に長けたレスラーである事を改めて示す。一方でイェーハイのヒールキャラも非常に立っている。
 軽い場外戦を挟み、主導権を握り合う展開が続く次の10分。互いの必殺技であるコウジ・クラッチやアンクル・ロックを見せ、終盤への伏線を張りながら、脚攻めに繋げて20分経過。ここまでは、ハイレベルな内容であるものの、ヒールキャラが付いたとはいえ、イェーハイはイェーハイで、TJPの様にテクニックの他にハイフライングを使えたり出来るわけではないので、渋く玄人好みの試合展開にはなってしまうのは仕方がなく、ジョシュが迫力押しを出来るので、カバーは出来ているけれども、渋めの内容で収まってしまうのを危惧していた。

 しかし、適度に得意技の攻防を経た後で、一つ変化が起きたのは、30分経過手前。イェーハイが鉄柱で腕を破壊し、その流れでジョシュが流血するシーン。これはヒールで獰猛なキャラクターを手に入れた今のイェーハイだからこそ生まれたシーン。ジョシュもダウンモードに切り替えていくのも見事な対応。これはTVプロレスも並行して取り組んでいるジョシュの受け手としての上手さも光った。このシーンがあったことで、転換点が生まれ、単なるテクニック合戦で終わらない様にしたのは大きかった。

 その後ジョシュが持ち直し40分経過。挑発にキレたジョシュがラッシュをかけるシーン、ジョシュが最近得意としている連鎖ジャーマンの攻防、しかも最後の1発をカオスセオリー式にするセンスも素晴らしい。丸め込み合戦など観客が沸きやすい攻防を織り交ぜ、上手く勢いをもう一度付けて、ラスト10分へ。

 ラスト10分は、イェーハイのコウジクラッチとジョシュのアンクルロックの掛け合い、耐え合いにもう一度帰結しながら、消耗戦モードへ。その中でもシャープ・シューターの使い方は本当に絶妙でした。ジョシュが必殺のC-4スパイク(ダブルアーム式パイルドライバー)を決めた後、一旦決めてを失って、必殺技でもないキャメルクラッチを決めにいったのも、セオリーではないが、手を尽くしたという精神状態を示す細かさ。これはインディマットだから出来る遊び心。その後に掟破りの攻撃を狙いにいくシーンで最後の力を振り絞るも、60分フルタイム。

 AAWというトップインディとはいえ、インディマットなので、インパクトでのTJPよりも試合内容的には、洗練され切ってはいないものの、イェーハイのエグみをあえて残すという挑戦。そしてその挑戦を完全に成功に繋げてしまうのは天晴れ。緩急硬軟巧みに使い分けるジョシュの試合運びの上手さ、どの様な攻防でも最高品質を叩き出せる実力、短時間でも長時間でも関係なく名勝負を作り出せるからこそ、両方のエッセンスを必要に応じて使える。それでいて、わかりやすいハードヒットや投げ技も備えていて、玄人好みに寄りすぎない。万人受けもする。だからジョシュのロングマッチは飽きない。カート・アングルとクリス・ベノワの要素を持つハイブリッドでありながらも、決してコピーではなく、ジョシュ・アレキサンダーを確立し、常に向上しているのが賞賛の一言。

 ここまではジョシュを褒めちぎったが、王者イェーハイも見事な仕事ぶり。技術の高さは元々備えていたが、獰猛なヒールというキャラクターを活かす動きや振る舞いは、元々備えていた変幻スタイルを昇華させ、必要な所で打撃や投げを見舞っていて、グラウンド一本槍にしなかったのも良し。メジャー向きではないにしても、日本やトップインディでは確実に戦力となり続けるでしょう。
 マニア向けではあるものの、日米のメジャーに劣らないハイレベルな激闘。内容の濃さに圧倒される名勝負です。
評価:****1/2

 

 

 

総評。
 タッグ→スクランブル→ハイフライング→シュートスタイル→女子→ルチャ→60フルタイムのテクニカル&ハードヒッティングな激戦と、元々客席の熱は少し弱めで、尚且つガルシア対デイビー辺りで既に疲れていた影響もあり、盛り上がりは少なかったものの、バラエティに富んでいて、サプライズの王座交代も複数あり、更に王座戦のクオリティが格別なものばかりと見応え満点。長いとはいえ、確実に全編通して見る価値のある名大会。年間ベスト級の素晴らしい大会でした。

 

全体評価:10

 

AAW Savages And Kings 8/7/2021

 

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フレッド・イェーハイ&スタリオン・ロジャース対エディ・キングストン&マット・フィチェット

 ミステリーパートナータッグとなっていたこの試合。キングストン側はフィチェット。そしてイェーハイ側は、先日WWEをリリースされたカート・スタリオンことスタリオン・ロジャースが登場!
 この試合では大スターとなったキングストンが軸として展開されるのかと思いきや、この試合はAAWでは、シングルプレイヤーの道を歩んでいるフィチェットをプッシュする試合。ハイフライングを抑え目にして、グラウンドにも対応出来る、むしろグラウンドベースと言える程のスタイルチェンジを進めていて、対するイェーハイもロジャースもそれが出来る選手だけに、上手く嵌っていて、場外戦やサポートでは、キングストンのスターパワーによるフォローも効いている。

 フィチェットの大活躍が続き、そのまま試合を決めてしまうサプライズもあったが、試合後のキングストンのマイクにもあるように、キングストンが戻ってくる事で、後進を押し上げる。今回はその為の試合でした。

 試合はフィチェットに活躍の場を与え、試合後はキングストン貫禄のマイクで感動的に締める。これぞインディ界の兄貴分らしい胸打たれるシーンでした。中々良い試合。
評価:***1/2