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GCW The Art of War Games Review ウォー・ゲームス戦 MDK軍対44 OH!/ジョン・モクスリー登場!!

GCW The Art of War Games 9/4/2021

 

www.fite.tv

 

2リング・ラダー・スクランブル・ファックフェスト
シェイン・マーサー対ジェイク・ランダー対ニンジャ・マック対ダンテ・レオン対ジョーダン・オリヴァー対ニック・ウェイン対Yoya


 場外ポイ捨て連発、ハイフライヤー達による高難易度ダイブスポット、ラダーを使ったクレイジー・スポットの連発、ドア破壊とこれぞスポットフェストという見事な狂いっぷり。ラダー戦の割には、ラダー破壊スポットが少なかったものの、その分マーサー関係の怪力スポットが火を噴き、レオンとマックのライバルコンビが爆発。この試合は、余計な言葉はいらない試合。とにかく観て驚いてハッピーになろう!

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

ウォー・ゲームスマッチ
Team MDK(ニック・ゲイジ、EFFY、マシュー・ジャスティス、マンス・ワーナー、AJグレイ&アレックス・コロン)対44 OH!(リッキー・シェイン・ペイジ、アティカス・クーガー、エリック・ライアン、ボビー・ベバリー、エディ・オンリー&グレゴリー・アイアン)


 大会前のインスタライブで、先攻後攻のコイントスを行った結果、MDK軍が先攻となる。金網に覆われた2リング、高所足場2台、ドア、ガラスボード、大量の蛍光灯束が設置されたリングでのウォーゲームスがMDK軍と44 OH!の最終決戦の舞台。

 正直抗争の旬は過ぎている中での最終決戦に加え、GCWが、ゲイジ対RSP戦2試合以外のMDK軍対44OH!のストーリーを活かす事が出来なかったこと、Cage of Deathの様にエリミネーションルールが適用されていないことなど、様々なマイナス要素がカバーされず、そのまま表れてしまったのが、この試合の序盤。RSPがチェーンで施錠し、ゲイジを金網に入れない様にするも、あっさりチェーンカッターでチェーンを切断し、金網に入ってしまう間抜けなシーンが、それを象徴している。カルトヒーローの姿はどこへやら、RSPがすっかりアティカス、ライアン、ベバリーと同じポジションになっていたのは悲しい限り。

 アティカス、ライアン、ベバリーとコロン、マンサー、ジャスティス辺りが、何とかセットアップしようと奮闘。そして全員揃ってからはデスマッチモードが加速。持ちネタは出ているが、ストーリー性は皆無。個々のスターパワーは高いが、別にこのメンバーである必要はないという印象を持ってしまうほど、とことん物量押し。特にアティカス以外の44OH!であるICW NHB勢の扱いはやはり悪く、ライアン&ベバリーはSGCの2人と同等の実力実績を持つだけに、今回はまだスポットが与えられていた方にしても、非常にもったいない使われ方をしていた。

 その一方で、スポットの量と質は、かなりのもの。デスマッチ/ハードコアシーンでは、トップレベルの選手ばかりで、凶器もガラスボード、蛍光灯、ドア、椅子と上級なものばかりで、加えて度肝を抜く高所落下シーンも複数ありと、まさにHOLY SHIT!と言いたくなるものばかり。最後は、この試合の後にデスマッチ引退を発表したRSPを制裁する形で、豪快にフィニッシュ。

 コロナがなければ、昨年最高の形で実現出来たのにと悔やまれるものの、上質な無秩序なデスマッチスポットフェスト。しかし、デスマッチプロレスリングにはなれなかった。

 この後のメインにも関連することだが、ブッキング力は、AEWを筆頭にメジャーどころとのパイプが強く、インディ最高級のブッキング力で、スター路線は大成功を遂げていて、優れた演者が、伸び伸び仕事が出来る環境にあるものの、ストーリーで補佐しなければいけないところは、上手く補佐出来ない今のGCWを良くも悪くも象徴した内容でした。今のGCWのみを見ている人にとってみれば、凶悪な勧善懲悪で楽しめる内容ではあるものの、GCWと並行してCZW、ICW NHBやIWAも見ている人からすれば物足りなさが残る。

 悪い年のCoDよりは遥かに良いレベルだが、伝説的なCoDと比べると遠く及ばない。それこそゲイジが参戦していたCoD 5と7やCoD 6を超える事は出来なかった。中々良い試合。

 

評価:***1/2

 

 

GCW世界王座戦
マット・カルドナ(c)対フランク・ザ・クラウン
マット・カルドナ(c)対ジョン・モクスリー

 ウォーゲームスの後に、凶器が散乱した金網の中で、長尺のヒールプロモで燃え尽きかけた観客の火を再び灯し、WWE弄り、サベージ的コスチュームにシナインスパイアのスピナーベルトとゲイジ戦に引き続き、カルドナのベストワーク。カルドナ節が冴えに冴え渡る。それでいて、ミック・フォーリーの娘ノエルの彼氏フランク・ザ・クラウンを秒殺し、その後Gレイヴァーの手下に扮したジョン・モクスリーに瞬殺されるという、全く美味しくない仕事を最高に美味しくする。ジョン・モクスリーの王座戴冠、ニック・ゲイジとの再遭遇に目も心も奪われたものの、マット・カルドナの大活躍がなければ、名シーンは生まれなかった。ショートリリーフにしては豪華すぎで、しかも最高級の働きを見せた。

 モクスリー対ゲイジは2021年最重要カードだが、ゲイジ戦から数大会でのカルドナの働きは、彼の評価を大きく上げ、キャリアにおけるベストモーメントとして刻まれる事でしょう。カルドナのプロモの上手さは、必見。ザック・ライダー時代しか知らない人は、180度その評価を変えることになるでしょう。
 このプロモがあり、モクスリー対ゲイジが、翌日のALL OUTの成功を後押しする最高の雰囲気、期待感を作ったといっても過言ではない。

評価:なし

 

全体評価:8