世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW WrestleDream 2024 Review ブライアン・ダニエルソン対ジョン・モクスリー/オスプレイ対リコシェ対TAKESHITA他

AEW WrestleDream 2024 10/12/2024

 

www.trillertv.com

 

 

“ハングマン”アダム・ペイジ対ジェイ・ホワイト(w/ジュース・ロビンソン)
 乱戦ペースからスタートし、場外戦での鉄階段攻撃やエプロンへの投げといった要素で抗争を感じさせ、通常技の攻防でも荒々しく試合を進めていく。

 ブランクを感じさせないジェイとスワーブとの抗争が落ち着き、やることがなくなってしまったハングマン、今の現在地を印象付ける試合でもありましたが、脚攻めでハングマンの格を保ちつつ、ジェイが復帰の勢いそのままに超えていく。

 ジェイのトップフェイスとしての活躍は、ヒール天国となった今のAEWにとっては大きいでしょう。中々良い試合。
評価:***1/2

 

AEWインターナショナル王座戦-トリプル・スレットマッチ
ウィル・オスプレイ(c)対リコシェ対KONOSUKE TAKESHITA(w/ドン・キャリス)

 


 オスプレイとのシングルにGLEAT参戦を経てチューニングを済ましつつあるリコシェ。今のオスプレイにはない浮遊感を活かしているのも大きい。
 完成されたオスプレイとリコシェに割って入れる日本人というそれだけでスペシャルな竹下。1対1対1が3でもなく、10でもなく、100にするのが恐ろしい。迫力で劣らない上に、受け手としても付いていける。ハイフライヤー2人の攻防の魅力を倍増させるパワーハウス役、2人に劣らないハイフライングも出来るとまさにコンプリートプレイヤーの存在感を示している。

 3ウェイとしても元々ある攻防に必ずプラスアルファをもたらすアイデア力も特筆すべき点。圧倒的な攻防の数々に心奪われる内容。テーブル破壊も豪快な一撃。フィニッシュはいつものドン・キャリス絡みだが、この試合でこの結末ならこうするしかないというものなので、許容範囲内。それまでの内容で十二分に元は取れている。AJ対堕天使対ジョーに匹敵するレベルの3ウェイでした。MOTN。
 文句無しに名勝負。
評価:****3/4

 

3本勝負
ホログラム対ザ・ビースト・モートス

 


 年間ベスト級の3ウェイの後、スワーブとMVPのスキットを挟んだものの、燃え尽きた会場と観客に同系統のハイフライングを持ってくるのはいささか無理がある。

 動きや攻防自体はオスプレイやリコシェに匹敵するものを誇っているものの、あの3ウェイの後だとさすがに効果は半減していく。2本目が変に長かったり、1、2本目で記憶させた得意技をもう一回3本目で決めていく選択は悪くないものの、焼き増しに見えてしまったのは否めない。

 もっとコンパクトにするか、ダービー対ブロディと順番を入れ替えても良かった。個々は非常に素晴らしいものの、線にはなり切れなかった。

 まあまあ良い試合。
評価:***1/2

 

ダービー・アリン対ブロディ・キング

 

 過去にはコフィン・マッチまで到達したカード。抗争としては既に一段落しているものの、相性は変わらず良く、久しぶりにこの試合を見たくなるのも理解出来る。

 ダービーのスーサイドなハードバンプとハイフライングにブロディの猛獣パワーが見事に噛み合った内容。このカードの良いところを凝縮したハイライトの様な良試合でした。
 中々良い試合。
評価:***1/2

 

AEW世界タッグ王座戦
ヤング・バックス(c)(マシュー&ニコラス・ジャクソン)対プライベート・パーティ(ゼイ&クエン)

 


 試合前のVTRには、PPの師匠であるアメージング・レッドが登場しPPを鼓舞。
 バックスからも焚き付けられたPPが、場外戦での高所ダイブや同じステーブルメイトだったハーディーズの連携を見せ、特別性を煽るも、基本的にはバックスがコントロールする盤石の展開。憎たらしいまでに強く巧いバックスの連携を耐えながら、あわやというシーンを作り続けるPP。

 実力差は流石に感じさせるとはいえ、PPが王座を獲るならここしかないという試合内容とシチュエーションの中で、その機運をぶった斬るシビアな結末。良い試合には違いないが、クライマックスは冗長気味で、ドラマ性を高める事は出来なかった。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

AEW世界王座戦
ブライアン・ダニエルソン(c)対ジョン・モクスリー(w/マリーナ・シャフィール)

youtu.be

 

 


 Final Countdownを流しながら乱闘という意表を突いたスタート。ブライアンは首のダメージを表現しながら観客の声援を力に変えて攻めるこれぞベビーフェイスという立ち振る舞い。

 対するモクスリーは、厳しい首攻めを軸に構築。格闘技のエッセンス、ラフファイトとこれまで築き上げたスタイルは活用しつつも、「あえて観客のリアクションを気にしない」これまでよりもダークに試合を進めていくスタイルにモデルチェンジ。

 トップに立ち続けてもなお新たな挑戦をし、それをトップレベルで形にするモクスリーの凄さも堪能出来る。王者としての期間とフルタイムレスラーとしての期間が終わってしまうかもしれない環境下を最大限活かした試合展開。

 これでもかとニアフォールの攻防を織り交ぜ、クラウディオやPAC、もしくはクリスチャンまでいつ出て来るかわからない空気もありながら、ブライアンのラスト・ダンスを徹底的に楽しませた上で、凶悪なヴィランモクスリーの強さを示す儚いフィニッシュも印象的。

 ブライアン・ダニエルソンの総決算とジョン・モクスリー、そしてAEWの新章到来を感じさせる内容を、ストーリー偏重ではなく、最大限レスラースキルを反映させて表現したのが実に巧妙。試合後のスキットも含めて、今後のストーリーが楽しみになります。
 文句無しに好勝負。
評価:****1/4

全体評価:9