東京女子プロレス(TJPW) WRESTLE PRINCESS Ⅴ 9/22/2024
中島翔子対さくらえみ
「努力」に対するイデオロギーがテーマ。
ただ戦うためのテーマを見つけるしかないだけで、中島も既に努力だけでは到達出来ないレベルのレスラーには到達している。
確かにAEWの巨大ロスターの壁に阻まれているさくらを見れば、努力や才能、実力だけではどうすることもできないものがあることは良くわかる。しかし、レスラースキルだけを見れば、AEWのトップレスラー以上のものは十分示した内容となっているのも事実。
実直な中島を飲み込む海千山千のさくらという構図。現世代のトップの1人中島を全く物ともしないさくらの凄さを堪能する試合であり、アジャ戦同様さくらにも勝負論を持って対峙出来る中島も流石の技量。
決してロングマッチではないものの、上記のテーマを反映させながら、完成度の高い攻防をこれでもかと披露していく形。高い技術と限界まで身体も張っていく激しさに、息つく暇を与えないスプリント感。2人のレベルの高さがこれでもかと反映された重厚な大熱戦でした。
好勝負。
評価:****
瑞希&ザイア・ジャオ対VENYU(VENY&上福ゆき)
東京女子初参戦のザイアとゲストのVENYに配慮した試合展開。その甲斐もあって、ザイアはWWE時代で見せられなかった良い動きを多数見せ、VENYは支配的な動きで違いを見せる。
しかし、瑞希だけでなく上福も全く劣らず、見せ場を生み出していたところに大きな進化を表している。上福対ザイアの一騎打ちは非常に楽しみ。ザイアは、このクオリティを維持出来るならば、TNAやその他の団体でも活躍出来るでしょう。
平均的良試合。
評価:***1/4
インターナショナル・プリンセス選手権試合
荒井優希(c)対宮本もか
基本技、オールドスクールな技が殆どながら、十二分にインパクトを与える事、スケールを大きくする事が出来てしまう荒井の力に、宮本も正確にその勢いに乗りながら、気迫を示し、ライバル関係を示す。
そのライバル関係から来る熱さ、激しさがこの試合の肝である。自分が今出来る事以上のことはしない潔さと背伸びしなくても戦える現状への自信を色濃く感じた内容です。
中々良い試合。
評価:***1/2
プリンセスタッグ選手権試合
でいじーもんきー(c)(鈴芽&遠藤有栖)対121000000(山下実優&伊藤麻希)
王者が後輩で挑戦者が先輩という構図。
チャレンジマッチ的になりそうなものではあるが、個々の成長とタッグとして1発逆転を持っている今のでじもんの状況が勝負論を面白くさせる。海外でも活躍を続けるワンミリの2人だが、やはりホームでこそレスラースキルをフルで発揮出来るといっても良い。
得意の連携でもコミカルさを出せば喰われるとわかってからは、シリアスに潰しを意識する試合運びを徹底。厳しい攻撃の数々ででじもんを圧倒するも、でじもんもトリッキーな動きで撹乱し反撃。
ワンミリがトップシングルレスラー2人のタッグということもあり、スピード偏重というよりも重厚感や溜めを大事にする試合展開になっており、これまでのタッグ王座戦との差別化を図れており、何よりもでじもんのスピードという武器が映える。そして要所での山下対遠藤のマッチアップも非常に充実。
山下の猛攻を耐え得る存在になった遠藤が、アンダードッグとしての魅力を放ちながら散っていく様も見事。個々のマッチアップ、タッグとしてのマッチアップ両方楽しめる濃密な激闘でした。
好勝負。
評価:****
プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合
渡辺未詩(c)対水波綾
最強の侵略者(というには愛されて認められているのもポイント)である水波。
強大な壁をいかに超えて雪辱を果たすかがキーポイント。チャレンジマッチ的な見せ方自体はあるものの、渡辺のパワフルな面は十分に表現しており、トップ王者としての存在をキープしたことにより、水波の屈強な存在が際立つ相乗効果を生み出している。
力強い肉弾戦の数々の中に、簡単にジャイアントスイングを決めさせない、ティアドロップや各種得意技を惜しみなくこれでもかと放つと実績差を超えるための仕掛けをしっかりと入れることで水波の脅威を最後まで表現し切っていたのは見事。
だからこそその水波を超えた渡辺の価値が更に上がっていく。わかりやすい凄さの中に細かな配慮も存分に散りばめられている。初見やライト層も玄人も納得出来る説得力満載の素晴らしいメインイベントでした。
文句無しに好勝負。
評価:****1/4
全体評価:9.5