世界のプロレス探検隊

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AEW All In London 2024 Review スワーブ・ストリックランド対ブライアン・ダニエルソン/MJF対ウィル・オスプレイ他

AEW All In London 2024 8/25/2024

 

www.trillertv.com

 

 

 

 

AEW世界トリオス王座戦-ラダー・マッチ
ザ・ペイトリアーキー(c)(クリスチャン・ケイジ、キルスイッチ&ニック・ウェイン)(w/マザー・ウェイン)対ハウス・オブ・ブラック(マラカイ・ブラック、ブロディ・キング&バディ・マシューズ)対ブラックプール・コンバット・クラブ(クラウディオ・カスタニョーリ&ウィーラー・ユータ)&PAC対バン・バン・ギャング(ジュース・ロビンソン、オースチン&コルテン・ガン)

 


 メインイベンターも張れるメンバーかつ複数人、複数人ラダー・マッチの経験も豊富なメンバーも揃っており、WWEばりに統制が取れておりエンタメ性もクリスチャン中心に追加出来ており、その上インディテイスト溢れる連鎖攻撃、連続ダイブスポット、更にはTLC、特にテーブルをこれでもかと投入するド派手さ。

 12人ラダー・マッチという大人数の割には、全員と全チーム、更にはセコンドのマザー・ウェインにまで見せ場が行き届いており、単品でメイン級だが、クドさもなく、オープニングの役割も担う事に成功。見事なオープニング、過去での上位の多人数ラダー戦です。
 好勝負。
評価:****

 

AEW女子世界王座戦
“タイムレス”トニー・ストーム(c)(w/ルーサー)対マライア・メイ

 


 AEWの中でもトップクラス、女子部門では一、二を争う抗争である本抗争。ストーリーとキャラクターがしっかりしていれば、多少のことも目を瞑れる。

 ストーリーから来るリターンも大きい上に、鋭角なスープレックスに場外床でのパワーボム、鉄階段でのストーム・ゼロに代表されるように、スターダム仕込みのハードな攻防を多数披露。アメリカンプロレスの魅力とジャパニーズプロレスの魅力、両方を兼ね揃えている上に、UKシーンで頭角を表したトニーと、UK出身マライアによる対決のため、ホームアドバンテージもある。
 タイムレスギミックを中々超えられる選手はいなかったが、マライアは物真似を必要としなくても、実の母に平手を見舞う、ルーサーを攻撃する、流血して狂乱の姿も見せると自身の力でサクセスストーリーを完結させたのも大きなポイント。

 WWEファンにも否定出来ないむしろWWEファンも好きになる全方向対応型好勝負といっても過言ではない激戦でした。
評価:****

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カジノ・ガントレットマッチ(好きなタイミングで使える王座挑戦権を得る。)

 


 超豪華ランブルマッチ。
 歴代ROH&PWG王者勢揃いな上に、オレンジ、オカダやJJ、ハングマン辺りの強者メンバーも勢揃い。JJ対ハングマンの様なストーリーを反映させた攻防も含まれているのも的確。そして大きな点は3つ
 まずは、マライア・メイの幸運のキスにより巻き起こった、ナイジェル・マッギネスの13年ぶりの復帰(とオアシスの復活)。しかも母国での復帰。ブランクを余り感じさせないファイトと鍛えられた肉体。更には対ザック、対オカダ、対オライリーに代表されるマッチアップも実現と。正直この時点で勝ちは決まっていたが、そこに、噂されていたリコシェの参戦。

 リコシェも少ない見せ場でしっかりと持ち味を発揮。管理プロレス、最近はその傾向は少なくなったとはいえ、ヘビー級天国であるWWEから解き放たれたリコシェの活躍は非常に楽しみ。

 そして最後は小狡く全てを掻っ攫っていく小悪党クリスチャンが、クリスチャンに1番ピッタリな演出を与えられて、その期待通りに輝いていたのが印象に残る。これぞクリスチャンというフィニッシュも絶妙でした。

 好勝負。
評価:****

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AEWアメリカン王座戦
MJF(c)対ウィル・オスプレイ

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 オスプレイはゲーム『アサシンクリード』とのコラボ&キャリアの歴史を辿るVTR付の特別仕様の入場。
 ファストペースで始まった試合だが、ただ早い凄いだけではなく、オスプレイのハイフライング&ハードバンプとMJFのパワフルな攻撃&ヒールプレイが冴え渡っている。全編通して言える事だが、全ての攻防に意図が感じられる。アクション面も全てハイレベルな中に、意味を持たせることを両立する次元の違う戦い。

 一頃に比べ絞ってキレが増しているオスプレイ。一時期封印もしていたサスケスペシャルやコークスクリュープレスに得意のオスカッターと鋭く、高く舞う魅力を取り戻している。

 その世界最高のオスプレイに対して、アクション面での物足りなさを一切感じないMJFのレベルの高さも恐ろしい。小悪党感を失わずに、オスプレイと張り合う。凄さで勝負をしなくても勝負出来るMJFが、凄さの頂点にいるオスプレイと堂々渡り合う。改めて類稀なる存在である事を示す。

 大熱戦のクライマックスは、カメラマンへの誤爆からのベルトショット、レフェリー誤爆、そしてダニエル・ガルシアの登場とてんこ盛りの内容。特別な舞台に相応しい特別な名勝負となりました。
評価:****1/2

 

AEW TBS王座戦
メルセデス・モネ(c)(w/カミーユ)対Dr.ブリット・ベイカーD.M.D

 


 オスプレイを過剰摂取したことによる副作用とAEWをWWE復帰への踏み台にしているとしかAEWファンに思われていないモネと複数のバックステージの出来事の噂により支持を受けていないベイカーの試合。スケールは大きく、内容も安定しているが、ヘイターが集まりがちな両人の試合らしいヘイトの集まり方である。

 良い試合には違いないが、彼氏アダム・コールの様にベビーフェイスが合わないベイカーは、ヒール/フェイス両方で高いレベルを出せるモネと比べると見劣りしており、華はあるけど人気はない、フィジカルの迫力がない版シャーロット・フレアーの様な印象を受ける。

 シャーロットは、支持はなくても、身体能力で殴り倒せるからこそ女王だが、雪崩式パワースラムのカウンターとズルしていただきの演出だけでは個人の貢献度としては弱い。レッスルマニアメインイベンターであり、スタジアムと野外慣れしているモネの余裕綽々の試合運びがベイカーを制した内容。

 ただ、トニー対マライアの爆発とMJF対オスプレイの大爆発があった後で観客が疲れている上に、ハードルが中々上がっていたため、反動で辛辣な評価が増えた格好。ただAEW女子部門のスターパワーと話題性、試合内容のアベレージは確実に向上している。
 中々良い試合。
評価:***1/2


AEW TNT王座戦-コフィン・マッチ
“スケープゴート”ジャック・ペリー(c)対ダービー・アリン

 


 1年前、あの大事件を起こしたペリーが同じウェンブリーのセミで凱旋というドラマ。この位置でペリーを持ってくることに意味がある。
 顔面に画鋲を貼り付けた人間凶器と化したダービーは、変わらずのスーサイドっぷり。棺桶にフルスピードで突っ込むトペ自爆に、手を縛られてのハードバンプで持ち味を発揮。対するペリーは、ガラスの破片を持ち込み、あの因縁を煽る。

 セミといいつつも、通常形式が続いた中で、メインに向けての小休止ファンマッチ要素もある。全体的にダービーの名シーンハイライトという様な試合内容でした。2人の実力や勢いを持ってすれば、時間を与えれば好勝負レベルに作り上げることは可能だが、ここを抑えたからこそメインの大爆発が起きたと言っても過言ではない。

 小休止にしては十分印象に残るシーンは含まれており、最後はスティング登場のおまけもある。全てはメインのために。平均的良試合。
評価:***1/4

 

AEW世界王座戦-タイトルvsキャリア
スワーブ・ストリックランド(c)(w/プリンス・ナナ)対ブライアン・ダニエルソン

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 今1番勢いに乗っている王者スワーブ対プロレスリングの申し子、生ける伝説と化しているブライアンによるワシントン州出身対決。ブライアンは、『Final Countdown』で入場し、リングサイドには妻のプリー・ベラ(ガルシア/ダニエルソン)と子供たちも観戦。

 序盤から一進一退の攻防。ブライアンは、大一番用の場外へのスプリングボード・サマーソルトアタックを決めれば、スワーブはエプロンに置いたリングベルへのデスバレーを決め、これでブライアンは流血。

 テクニシャンで語られるブライアンだが、スタジアム仕様の構築で、グラウンドやサブミッションに拘ることはせず、観客を煽り、盛り上げ、ダメージ表現で悲壮感も引き出す。これが最高レベルで出来る上に、最高のテクニックを持つからこそブライアン・ダニエルソンはプロレスリングの頂点にいる。ウェンブリーという大会場ですら掌握してしまう。改めてベストインザ・ワールドに値する存在である事を再認識出来る。
 スワーブもブリー他家族に見せ付ける様な甚振りなどヒール調の試合構築をしながらも、完全にヒールではないけれども、凶悪な存在でもある。

 微妙な立ち位置である事を逆に有効利用し、絶対的な存在に自らを昇華させている。このブライアンを相対しても全く価値が落ちない。このスワーブならばブライアンは負けてしまうだろうと十分に感じさせていた。スワーブの活躍も極上のものでした。

 大流血に加え、ホミサイドオマージュのコップ・キラー他痛めているブライアンの首をへし折る様な攻撃を連発したスワーブと耐えながらも決死の反撃を続けるブライアンによる一進一退。
 特別だが外連味はない。ハングマンを絡ませるなどエンタメ性も備わっており、レベルも高いけれども、あくまでもプロレスリングの頂上決戦である。リアルな面を失わないブライアンの世界観に、魅力を失わずスワーブが真っ向から挑んだ試合は、極上の内容と極上の結末となり、レッスルマニアでの王座奪取に匹敵する、家族と祝福するという追加要素を加味するとそれ以上の感動的な名シーンを見る事が出来ました。プロレス史に残るベストマッチとベストモーメントでした。

 文句無しに名勝負。

評価:****3/4

全体評価:10+