世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

Wrestling Revolver Ready Or Not! Review "未完の大器覚醒!"マリーナ・シャフィール対マイク・ベイリー/RED対SGC&マーシャ他

Wrestling Revolver Ready Or Not! 3/16/2024

 

www.trillertv.com

 

youtu.be

 

 

“スピードボール”マイク・ベイリー対マリーナ・シャフィール

youtu.be

youtu.be

 

 


 ベスト・イン・ザ・ワールドの手によって未完の大器マリーナが遂に覚醒を遂げる。Bloodsportでのマーシャ戦を超え、シュートスタイルモンスターとして君臨したこの試合を振り返る。
 マリーナが覚醒したといっても、当然この試合のタクトを握り、的確なセルで場の空気と土台を作り上げ、その上で容赦ない攻撃も叩き込む厳しさと優しさを併せ持つベイリーの類稀なる実力があってこそこの試合が成り立ったのが前提。
 しかし、試合開始のマリーナのマウントポジションを奪っての掌打ラッシュに始まり、ベイリーを上回るフィジカルの力とバックボーンであるMMAの技術を駆使した打撃、サブミッションで押さえ込む。ベイリーを少し上回る上背と、フィジカル負けしないところが、女子に全力のハードヒットで対峙することの心配感を感じさせなかったのは大きい。一進一退をしやすい状況であった。

 それに加え、エプロンへの攻撃やマリーナの首に全体重が乗っかったベイリーのムーンサルトなどマリーナの試合ではかつてなかった程ハードな攻防が続いていく。いつ粗が出るかと危惧していたが、ベイリーのフォローもあり、終盤に何とか辿り着くとそこからは怒涛のラストスパート。
 軸となる打撃の打ち合いも絶妙に決め、腕十字を決めながらの丸め込み合戦でも緊張感や熱気を維持しながら進める。ベイリーの必殺フルコースを受けても立ち上がり跳ね除けていき、己のスタイルは崩さず、持てる武器を最大限昇華させていくマリーナの予想を遥かに超える活躍で場内大爆発。

 手が付けられない無双モードの中、フィニッシュも一見地味だが、世界観を活かした最高の形。逆にありきたりなKOやスリーパーではなかったのも功を奏し、落ちたベイリーをリングに放り捨てたシーンの格好良さは非常に印象的。
 スタイル的には近く、ベイリーの腕を持ってすれば凄い試合になると予想はしていたが、その予想を遥かに超え、マリーナの潜在能力を最大限引き出した大熱戦。中々これをAEW本体でするのは難しいけれども、これを観たモクスリーやブライアンが飛び跳ねて喜ぶのが目に見える内容。この2人だけでなくトニー・カーンも彼女の評価を変えることでしょう。
 未完の大器、モルドヴァの超新星が1試合とはいえ、大親友ロンダやシェイナの高みに並んだ瞬間。REVOLVERだからこそ実現したBloodsportよりもBloodsportな一戦は、2024年を代表するシュートスタイルマッチの逸品となりました。必見!
 名勝負。
評価:****1/2

 

Wrestling REVOLVER世界タッグ王座戦
グリゾルド・ヤング・ベテランズ(c)(ザック・ギブソン&ジェームス・ドレイク)対グッド・ルチャ・シングス(リンセ・ドラド&サムライ・デル・ソル)

youtu.be


 初代NXT UKタッグ王者GYVと元WWEタッグ王者カリストが、ルチャ・ハウス・パーティでの盟友リンセ・ドラドを従え登場。GYVがルチャに対応する動きを見せると、アメリカンプロレスに対応したルチャドールのドラド&デルソルはルチャらしい華麗な動きや閃きを見せつつも、わかりやすい戦いぶりも披露。

 改めてWWEに持っていっても通用する様なWWEスタイルとインディスタイルの良いところ取りの様な試合内容。絶好調GYVにここまで戦える状態をキープしていたドラド&デルソルも見事でした。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

エリミネーション・ゲームスマッチ
RED(スティーヴ・マクリン、リッキー・シェイン・ペイジ、アレックス・コロン&キラー・ケリー)対セカンド・ギア・クルー(マンス・ワーナー、1コールド・マンダース、マシュー・ジャスティス)&マーシャ・スラモヴィッチ

 


 時間差入場の4対4のデスマッチ。エリミネーション・ルールが適用され、勝ち残りで決着。GCWのレギュラーとして今も活躍するマンサー、マンダースにマーシャ。かつてGCWで活躍していたコロン、RSP、ジャスティスにGCW関係者ではないがラフやハードヒッティングを得意とするマクリン&ケリーを加えた猛者揃い。

 選手が矢継ぎ早に登場し、それぞれテンポ良く見せ場を作る。デスマッチを引退(最近復帰しつつあるが)したRSPがガラスボード葬を被弾、デスマッチはしないケリーが蛍光灯束葬を被弾するなどこのスポットならこの選手が受けるだろうという予想を裏切っており、この試合の特別性を示す。

 これだけの猛者が集っただけあり、体の張り方や凶器の使い方、スポット量もかなりのもの。マーシャがRSPやコロンの様なかつてのCZW&GCWのデスマッチトップレスラーと戦う画を見る事が出来るのも熱い。
 マーシャとケリーが抜けた後もビッグスポットとしてスカフォードからの投げや山積みのドアへのスーパープレックスを放つ一方、フィニッシュへの伏線も進行。リーダーマクリンも強者だが、その脇を固める両翼コロンとRSPが全力で活躍。攻守に渡り、試合構築とビッグスポットを担当。久々に彼らのデスマッチファイターとしての本気を見る事が出来た。

 フィニッシュは、GCWで行われているストーリーに合わせた格好のダブルクロスから。ある意味予想の範疇といえるが、実際のフィニッシュがスカフォードからの攻撃だったのと、それまでの内容が物量も質も備わっている大乱戦で大満足。インディレベルでここまで整った多人数タッグデスマッチは中々観ることが出来ない。

 好勝負。
評価:****

全体評価:9